緋の稜線

緋の稜線

昭和元年に生まれた各務瞳子は女性の生き方に悩みながらも、第二次世界大戦を経て逞しく生きる。彼女の家族達もまた過酷な運命を辿る。作者佐伯かよのの作品の中で、最も長い。(1994年)第23回日本漫画家協会賞優秀賞受賞。

正式名称
緋の稜線
ふりがな
ひのりょうせん
作者
ジャンル
第二次世界大戦
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概要・あらすじ

昭和元年、旧家・胡桃沢家に生まれた各務瞳子は、女性の生き方に疑問を覚えながらも、望まない見合いをして各務昇吾に嫁ぐ。夫・各務昇吾は結婚後すぐ出征し、家業の菱屋百貨店は第二次世界大戦で崩壊する。終戦後菱屋百貨店の再興を決意した各務瞳子は様々な試練を超えて逞しく生きていく。

登場人物・キャラクター

各務 瞳子 (かがみ とうこ)

東西大学の教授胡桃沢貴寿の三女として昭和元年(1925年)に東京で生まれる。16歳で見合い相手の各務昇吾と結婚。幼い頃から女性の生き方に疑問を持ち、自立した生き方を目指す。第二次世界大戦後、各務昇吾が社長を務める菱屋百貨店を再興し、副社長に就任。様々な困難を乗り越えて経営に辣腕を振るう。

各務 昇吾 (かがみ しょうご)

各務瞳子を幼い頃見初め、7年後に見合いの席で再会し結婚。家は菱屋百貨店を経営する。結婚後、すぐに第二次世界大戦に出征。終戦後しばらく行方が分からなかったが、米軍の通訳として帰国し、各務瞳子が再興した菱屋百貨店の社長を務める。副社長としてつとめる妻各務瞳子を信頼し、共に事業を拡大させる。

高杉 寿々子 (たかすぎ すずこ)

東西大学の教授胡桃沢貴寿の次女で各務瞳子の姉。第二次世界大戦中、恋人と共に反戦思想ありとの疑いで逮捕される。終戦後は家に戻り菱屋百貨店の再興に協力し、戦後は新聞社東亜日報に勤める。各務瞳子の幼なじみ高杉龍一と再会し結婚。戦争孤児4人を引き取って育てる。

各務 和音 (かがみ かずね)

各務昇吾の妹。各務昇吾の妻各務瞳子は義姉だが2歳年下。奔放で自分に正直な性格。兄各務昇吾を慕い、各務瞳子には冷たくあたる。第二次世界大戦中は各務昇吾が不在の中、各務瞳子と共に逞しく生き延びる。戦後、ミス銀座に選出されたのをきっかけに女優になる。

高杉 龍一 (たかすぎ りゅういち)

各務瞳子の幼馴染で第二次世界大戦時には特攻隊員として出征。復員後は「隼の龍」の異名でヤクザとして生活していたが服役。出獄後、各務瞳子の姉である胡桃沢寿々子(高杉寿々子)と結婚。関東高山組の四代目を襲名する。のちに組を建設会社に発展させる。

山田 吾平 (やまだ ごへい)

眼鏡をかけた実直そうな風貌。第二次世界大戦前は菱屋百貨店で仕入れを担当していた。終戦後復員して瓦礫になった菱屋百貨店を訪ね、各務瞳子と再会する。各務昇吾が不在の間、各務瞳子とともに菱屋百貨店の再興に尽くし、その人柄を良く知る。

各務 健吾 (かがみ けんご)

昭和21年(1946年)に誕生する。各務瞳子と各務昇吾の長男。幼い頃、母各務瞳子の幼馴染嵯峨美新之助の母に連れ去られたことがある。学業は優秀でT大学に入学し、卒業後は菱屋百貨店を経営する母各務瞳子の紹介で北斗デパートに就職する。伯母高杉寿々子の養女高杉リサに思いを寄せつつも様々な女性に出会う。

各務 昇平 (かがみ しょうへい)

各務瞳子と各務昇吾の次男。有能な兄各務健吾と妹各務望恵にコンプレックスを抱く。大学受験に失敗した後家を飛び出し、外国を転々とする。長じてからは長めの黒髪に鋭い目つきになる。

各務 望恵 (かがみ もえ)

各務瞳子と各務昇吾の三番目の子で長女。幼い頃は、時折飢えた子どものような眼をして、伯母各務寿々子は気にかけていた。学業成績は優秀。兄各務健吾に思いを寄せるようになる。

高杉 市子 (たかすぎ いちこ)

高杉龍一と高杉寿々子の養子。戦争孤児で高杉リサ達と4人で焼け跡を放浪していたところを、高杉寿々子に引き取られ、養女として育てられる。思春期を迎えた頃、共に引き取られた義妹・高杉リサが周囲の目を惹きつける姿に成長したことにコンプレックスを覚える。後に母高杉寿々子寿々子と同じく新聞社東亜日報に勤める。

高杉 リサ (たかすぎ りさ)

高杉龍一と高杉寿々子の養子。戦争孤児で高杉市子達と4人で焼け跡を放浪していたところを、高杉寿々子にひきとられ育てられる。米軍兵だった父と日系二世の母との間に生まれ、亜麻色の髪でスタイルの良い体型をしている。成長して外務省に勤務する。各務瞳子の長男各務健吾に思いを寄せる。

雨月 (うげつ)

眼鏡にオールバックの男性。大阪を基盤とする丸福百貨店の経営に携わる。各務瞳子が菱屋百貨店の大阪進出に際して苦労していたところ援助の手を差し出す。関西弁で普段は冷静な口調だが、交渉時になると押しが強い。

胡桃沢 貴寿 (くるみざわ たかひさ)

各務瞳子、高杉寿々子達の父。髭を生やした紳士。東西大学で教授として教鞭を取る。古風な考え方だが、娘たちの生き方を尊重する。後に教え子の橘金太達の尽力で、胡桃沢貴寿の名を冠した奨学基金が設立される。

橘 金太 (たちばな きんた)

眼鏡をかけたバイタリティ溢れる男性。東西大学で各務瞳子の父胡桃沢貴寿から教えを受けた。各務瞳子の姉高杉寿々子の夫高杉龍一とは東西大学で同期。帝国食飯というレストランチェーンを経営する。

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