ユキは地獄に堕ちるのか

ユキは地獄に堕ちるのか

16歳の誕生日を機に覚醒し、不思議な能力を身に付けた6人の男女が、その力を使って心の闇を喰らう敵を祓い、800年前の宿命の相手を封印するために奔走する。恋に悩み、友情に燃える6人を描く宿命の物語。「ララ」2014年4月号から2016年11月号にかけて掲載された作品。

正式名称
ユキは地獄に堕ちるのか
ふりがな
ゆきはじごくにおちるのか
作者
ジャンル
ダークファンタジー
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概要・あらすじ

京都の山奥にある小さな村で生まれ育った鳴滝ユキ鳥辺野天哉壬生秋羅桂真夏斗二ノ瀬呉葉常盤春花の6人は、小さい頃からずっと一緒だった幼なじみ。しかし、そのうち年上の4人が、中学を卒業した翌日、1年後に戻るとの書置きを残して突然姿を消してしまう。そして1年後。村に残された1歳年下のユキと天哉は、学校で謎の黒い影に襲われる。

そんな彼らの前に姿を現したのは行方不明になった4人のうちの1人、秋羅だった。秋羅は不思議な力を使って黒い影を撃退し、2人のピンチを救う。弱々しかった秋羅が強い力を使う不思議な姿へと変貌を遂げたことに、ユキと天哉は驚きを隠せずにいたが、この不可解な状況の説明を受け、自分たち6人が謎の黒い影「外道」を封印するために生まれた「宿命の子」であることを知る。

16歳の誕生日に覚醒するといわれる能力を身につけ、1年の修行を経て、次々に戻って来た幼なじみたちと再会し、自らも覚醒を果たす天哉。一方で、ユキは誕生日を過ぎても他の5人のように、明確な覚醒が訪れないことに不安を感じ始める。

登場人物・キャラクター

鳴滝 ユキ (なるたき ゆき)

六辻村で生まれ育った15歳の女子高校生。六道の二柱となる地獄道を司る鳴滝家の末裔。宿命の子であり、外道をあるべき場所へ送る役割を担っている。封印を守る者として鳥辺野天哉、壬生秋羅、桂真夏斗、二ノ瀬呉葉、常盤春花と6人で新生活を送ることになる。幼い頃から6人の関係を誰よりも大切に考えており、天哉には密かな想いを寄せている。 実家の両親は六辻村で民宿「むつじ」を営んでおり、村の人々の憩いの場となっている。いつも明るい前向きな性格だが、何かと失敗も多く、母親の口癖である「かまへんかまへん、どないとでもなるもんや」をおまじないとして、心の支えにしている。高く結んだポニーテールがトレードマーク。能力を使う時には人格が別人のように変わり、尖った耳、鋭い目つきになり、頭部から3本の角が生える。 覚醒の兆候はあるものの、16歳の誕生日を過ぎても覚醒しきらないことに不安を抱えている。

鳥辺野 天哉 (とりべの たかや)

六辻村で生まれ育った15歳の男子高校生。実家は寺を営んでいる。六道の二柱となる天道を司る鳥辺野家の末裔。宿命の子であり、外道をあるべき場所へ送る役割を担っている。本来その力が覚醒するのは16歳の誕生日と決まっていたが、誕生日を待たずに自力で強引に覚醒させた。基本的に女性に対して節操がない女たらしで、身勝手で自己中心的なドS男子。 封印を守る者として鳴滝ユキ、壬生秋羅、桂真夏斗、二ノ瀬呉葉、常盤春花と6人で新生活を送ることになる。幼い頃から秋羅とは犬猿の仲で、何かといがみ合うことが多い。一方で、春花を1人の女性として見ており、強い思い入れを持っている。能力を使う時には顔から体にかけて花のような模様が発現する。 ユキが作ったコーン入りコロッケが大好物。

壬生 秋羅 (みぶ あきら)

六辻村で生まれ育った16歳の男子高校生。修羅道を司る壬生家の末裔。取り憑いた外道を祓う力を持っている。16歳の誕生日を迎えた日から、修業のために1年間姿を消していたが、鳴滝ユキと鳥辺野天哉の誕生日を前に再び合流。桂真夏斗、二ノ瀬呉葉、常盤春花を含めた6人で新生活を始める。ユキのことが大好きで、彼女のいうことなら何でも聞く。 犬猿の仲である天哉に対して「死ねばいいのに」と言うのがが口癖だったが、「死」という言葉をユキから禁止されたことで「現世から消えればいいのに」に変わった。実家は道場を営んでいるが、幼い頃からひ弱で女の子っぽかったこともあり、道場を嫌っている。修行中は、大好きなユキを守れるようにという一心で努力した。 ユキがつくった肉なしコロッケが大好物。初めて虚宿と戦った際、体に虚宿が入り込み、右腕に取り憑かれてしまう。

桂 真夏斗 (かつら まなと)

六辻村で生まれ育った16歳の男子高校生。餓鬼道を司る桂家の末裔。取り憑いた外道を祓う力を持っている。16歳の誕生日を迎えた日から、修業のために1年間姿を消していたが、鳴滝ユキと鳥辺野天哉の誕生日を前に再び合流。壬生秋羅、二ノ瀬呉葉、常盤春花を含めた6人で新生活を始める。能力を使う時には頭部に2本の角が生えた子供の姿に変身する。 幼い頃から変わらない天然脱力系キャラで、いつも笑顔だが、子供姿なのをいいことに、ユキと一緒にお風呂に入りたがったり、悪意なくエロネタをぶつけてくる。

二ノ瀬 呉葉 (にのせ くれは)

六辻村で生まれ育った16歳の女子高校生。畜生道を司る二ノ瀬家の末裔。16歳の誕生日を迎えた日から、修業のために1年間姿を消していたが、鳴滝ユキと鳥辺野天哉の誕生日を前に再び合流。壬生秋羅、桂真夏斗、常盤春花を含めた6人で新生活を始める。能力を使う時には狼のような動物か、獣の耳としっぽを持った人の姿に変身する。 取り憑いた外道を祓う力を持っている他、嗅覚、移動力に優れているため、誰よりも早く現場に向かうことを役目としている。女子力が高く、ちょっと気の強いお姉さんキャラ。

常盤 春花 (ときわ はるか)

六辻村で生まれ育った16歳の女子高校生。六辻村にある神社の一人娘で、人間道を司る常盤家の末裔。宿命に関して、幼い頃から誰よりも厳しい教育を受けている。16歳の誕生日を迎えた日から、修業のために1年間姿を消していたが、鳴滝ユキと鳥辺野天哉の誕生日を前に再び合流。壬生秋羅、桂真夏斗、二ノ瀬呉葉を含めた6人で新生活を始める。 取り憑いた外道を祓う力の他、察知、探索、結界の能力を持ち、誰よりも早く外道の存在を察知・確認できる。しっかり者の優等生タイプ。

虚宿 (きょしゅく)

六辻村に長年封じられてきた外道の大天狗。外道のボス的存在で、悪意の塊と伝えられている。鳴滝ユキたちにとって宿命の相手。現世で宿命の子と初めて戦った際、壬生秋羅の体内に入り込み、右腕に取り憑いた。まだ完全に封印が解けているわけではないので、本来の力を発揮できずにいるが、隙あらば秋羅の心を喰らおうと虎視眈々と狙っている。

右近 (うこん)

六辻寮の管理人を務める少年。長い髪を後ろで束ねており、古風な話し方をする。六辻村の業を背負う宿命の子に関することに詳しい。見た目は子供だが、中身は老人のような謎多き人物。死後の世界である冥土では、頭に獣の耳が生えた姿になる。その正体は、六辻村にある稲荷神社の白狐。

左近 (さこん)

右近と対になるもの。その正体は、六辻村にある稲荷神社の白狐。長い髪を後ろで束ねており、古風な話し方をする。外見は右近とよく似ているが、すぐに泣く気弱な性格で、人間を嫌っている。

先輩 (せんぱい)

鳴滝ユキと同じ高校に通う男子生徒であり、先輩。付き合っている彼女のマユミが、鳥辺野天哉に好意を持ったことを怒り、天哉を逆恨み。それが原因で外道に取り憑かれ、天哉と行動をともにしていたユキを襲う。壬生秋羅によって外道は祓われたものの、自らを取り戻すには時間がかかっており、自宅で絶対安静状態となっている。

マユミ

鳴滝ユキと同じ学校に通う女子生徒で、先輩と付き合っている彼女。鳥辺野天哉に興味を持ち、先輩をほったらかしていたため、先輩の怒りに火をつけた。その後、先輩が外道に取り憑かれたことが原因で、長期間連絡が取れなくなったことに不信感を抱き、これをきっかけに自らも外道に取り憑かれてしまう。

閻魔 (えんま)

死後の世界である冥土で、嘘や隠し事を罰する役割を担う女性。グラマラスで色気たっぷりだが、審判を下すときの様相は、大の男でも泣き出すほど怖いといわれている。虚宿について詳しく知っており、軽いノリで壬生秋羅に取り憑いた虚宿を祓おうと試みるも失敗に終わる。右近のことをかわいがっている。

(ゆき)

800年前、身重の遊女が六辻村の空き家で産んだ子。盗みで日々を食いつなぎ、村人から蔑まれていたため、あまり幸せとはいえない毎日を送っていた。しかし俊良と出会って互いに想い合うようになり、子供をもうけたことで一時の幸せを手に入れた。現在は転生して鳴滝ユキの中に存在している。ユキが覚醒すると表に現れる覚醒後の姿であり、ユキの記憶はすべて把握している。 気が強く、態度が大きい。

俊良 (しゅんりょう)

修行僧の男性で圓良の兄。800年前、5人の僧と修行中に六辻村を通った際、村の厄介者として蔑まれていた雪と出会い、何かと目をかけ始める。やがて雪に惹かれ、彼女との間に子供をもうけたが、村人によって雪や子供と引き裂かれてしまう。その後、外道から村を守るために自らを犠牲にし、死亡した。

圓良 (えんりょう)

800年前、5人の僧とともに修行していた修行僧の男性で、俊良の弟。鳥辺野天哉の先祖にあたる。雪に惹かれて仏の道を違えていく俊良を心配し、嘆いていた。外道に蝕まれて命を落とすこととなったが、閻魔のもとで俊良の魂を救いたいと懇願した雪に同意し、宿命を背負って現世に戻ることになる。その後、現世で雪と俊良の子を我が子として育てた。

場所

六辻村 (むつじむら)

京都の山奥にある小さな村で、鳴滝ユキ、鳥辺野天哉、壬生秋羅、桂真夏斗、二ノ瀬呉葉、常盤春花らが生まれ育った場所。村の小学校は全員で10人前後と少数で、村民の数も少ないため、全員が家族のように暮らしている。800年以上前から、数十年に一度、農作物がひどい不作となる年が訪れることがあり、山の神にいけにえを差し出すことで土地を守ってきたといわれている。 他に、100年に一度、外道の封印を守るため、六道の守家として、村の業を背負った宿命の子が生まれるといわれており、その子供だけが現世を守ることができると伝えられている。

六辻寮 (むつじりょう)

鳴滝ユキ、鳥辺野天哉、壬生秋羅、桂真夏斗、二ノ瀬呉葉、常盤春花がともに生活を送ることになった寮。京都市内にある伝統的な木造建築の京町屋で、東には京都御所、南には二条城があり、昔ながらの京町屋が立ち並ぶ場所にある。

その他キーワード

外道 (げどう)

輪廻から外れた人外のもの。人間や動物などの体を憑代として、心の闇を喰らう。そのため、一度外道に取り憑かれると、祓った後は肉体よりも精神の再生に苦労し、回復までには時間がかかる場合が多い。1人の人間が外道に取り憑かれると、それにつられて近しい人の人生を狂わすことになるため、一度外道が現れた場所にはさらなる外道が発生しやすくなるという特徴がある。

人間道 (にんげんどう)

六辻村の要である六道のうちの1つ。修羅道、畜生道、餓鬼道を司る者とともに、天道、地獄道を司る者を守る役割を担っている。常盤家の常盤春花がその宿命を背負っており、外道を祓い、人間道への門を開く。そして外道をあるべき場所へ還すための手助けを行う。主な能力は察知、探索、結界を作ることで、誰よりも早く外道の存在を確認し、知らせる能力に優れている。 満月の夜には各々の能力と煩悩がもっとも強まるとされているが、他の五道と違い、人間道は逆に能力が弱まってしまう。

修羅道 (しゅらどう)

六辻村の要である六道のうちの1つ。人間道、畜生道、餓鬼道を司る者とともに、天道、地獄道を司る者を守る役割を担っている。壬生家の壬生秋羅がその宿命を背負っており、外道を祓い、修羅道への門を開く。そして外道をあるべき場所へ還すための手助けを行う。満月の夜には各々の能力と煩悩がもっとも強まるため、激しい怒りと闘争心がかきたてられる。

畜生道 (ちくしょうどう)

六辻村の要である六道のうちの1つ。人間道、修羅道、餓鬼道を司る者とともに、天道、地獄道を司る者を守る役割を担っている。二ノ瀬家の二ノ瀬呉葉がその宿命を背負っており、外道を祓い、畜生道への門を開く。そして外道をあるべき場所へ還すための手助けを行う。主な能力は戦闘時に狼のような獣に変身することで、嗅覚、移動力に優れているため、誰よりも早く現場に向かうことを役目としている。 満月の夜には各々の能力と煩悩がもっとも強まるため、理性を失った獣のようになってしまう。

餓鬼道 (がきどう)

六辻村の要である六道のうちの1つ。人間道、修羅道、畜生道を司る者とともに、天道、地獄道を司る者を守る役割を担っている。桂家の桂真夏斗がその宿命を背負っており、外道を祓い、餓鬼道への門を開く。そして外道をあるべき場所へ還すための手助けを行う。主な能力は戦闘時に小さな少年の姿に変身し、弓を扱い戦うこと。 満月の夜には各々の能力と煩悩がもっとも強まるため、常にひどい空腹感に襲われ、物を食べ続けるようになってしまう。

天道 (てんどう)

六辻村の要である六道のうちの1つ。人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道を司る者の力を借り、地獄道を司る者とともに外道を祓い、あるべき場所へ還す能力を持っている。鳥辺野家の鳥辺野天哉がその宿命を背負っている。満月の夜には各々の能力と煩悩がもっとも強まるため、色欲に溺れてしまう。

地獄道 (じごくどう)

六辻村の要である六道のうちの1つ。人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道を司る者の力を借り、天道を司る者とともに外道を祓い、あるべき場所へ還す能力を持っている。鳴滝家の鳴滝ユキがその宿命を背負っている。満月の夜には各々の能力と煩悩がもっとも強まるため、業火の力が暴走し、顔から火が出るようになる。

宿命の子 (しゅくめいのこ)

六辻村に生まれる六道の守家としての業を背負う子供たち。800年ほど昔、六辻村で修行し暮らしていた僧侶が、周囲を荒らす強い外道を封じた。しかし、その封印の効力はおよそ100年だったため、それ以降、封印を守るために、六辻村には業を背負う宿命の子が産まれるようになったと伝えられている。その子らは六道を司る6つの家系「六家」から生まれ、代々強い絆で結ばれている。 それぞれ人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道を司る者が、外道を還す力を持つ天道、地獄道を司る者を守る形で、現世の平和を守ってきた。各自の能力は、宿命の子が16歳の誕生日を迎える日に覚醒するといわれており、覚醒した者の腕には覚醒の証として数珠が現れる。

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