BUYUDEN 武勇伝

BUYUDEN 武勇伝

小学生の男の子が、ある少女に影響されてボクシングを始め、その才能を開花させていく長編作品。「週刊少年サンデー」の2011年16号から、2014年9号まで連載された。

正式名称
BUYUDEN 武勇伝
ふりがな
ぶゆうでん
作者
ジャンル
ボクシング
関連商品
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作風

ボクシングを題材としている。世の中に冷めた目を向けていた少年が、ふとしたきっかけでボクシングに熱中し、ボクサーとして大成していく姿を描く。主人公である武勇の成長譚となっており、連載開始当初は小学生だったが、物語が進むにつれて中学生、そして高校生へと成長していく。この形式は、満田拓也の代表作である『MAJOR』と同様である。

あらすじ

小学生編

武勇は、勉強とスポーツをそつなくこなす優等生。それゆえに周りのレベルの低さに呆れており、何事にも熱中できない毎日を送っていた。しかしある日、中学生の不良に絡まれてしまう。素直に金を渡して穏便に事を済ませようと考える勇だが、その場に居合わせた要萌花に助けられる。女の子に助けられたことを屈辱に思う勇だったが、彼女がボクシングの技で不良を倒す姿を目の当たりにして、次第に萌花に好意を寄せるようになり、ボクシングにも興味を抱くようになる。2人は星豹真と出会い、彼の紹介によってスターボクシングジムに入会。勇のボクサーとしての物語が、幕を開ける。

中学生編

小学校卒業とともに、別の学校に通うことになった武勇と、網膜剥離でボクシングができなくなってしまった要萌花。お互い2年間ほど会わない日々が続いていたが、ある時、たちに絡まれている呉悠之介を助けたことで再会する。萌花は勇がボクシングを続けていたことに安堵するが、が病死してスターボクシングジムの規模が縮小してしまったことを知る。そこで、勇がより恵まれた環境でボクシングの練習をできるよう、行動を開始する。そんな中、バンタム級の天才ボクサーである剣隼斗と出会った勇は、練習の場として私立千葉誠堂館高等学校を紹介される。勇は、中学を卒業したら誠堂館に通うことを決意するが、ボクシングを生業とすることに反対する両親と衝突してしまう。

作家情報

満田拓也は、広島県出身の漫画家。主にスポーツ関連の漫画を発表している。1988年、「週刊少年サンデー」で連載された『健太やります!』がデビュー作となる。代表作は1994年より連載された『MAJOR』で、本作『BUYUDEN』を連載後、続編である『MAJOR 2nd』を発表している。

登場人物・キャラクター

武 勇 (たけ いさむ)

乃木小学校に通う6年生の少年。学業優秀、スポーツ万能だが、それを鼻にかけた様子が見られ、他者に対しては内心冷めた目を向けている。しかし、偶然出会った要萌花に一目惚れをし、彼女の影響を受けてボクシングを始める。始めた当初は、経験者たちとの差を見せつけられて圧倒される日々が続くが、徐々にカウンターパンチャーとしての才能を開花。 トレーナーである星や星明奈に注目されていく。さらに、ボクシングに熱中することにより、冷めた性格も改善されていき、ついにはプロボクサーを志すに至る。

要 萌花 (かなめ もか)

乃木小学校に通う6年生の少女。生まれは大阪で、言葉や姿勢などに関西人らしい軽快さを感じさせる。父親はプロボクサーの要誠二で、要萌花本人も、彼の影響でボクサーとしての鍛錬を積んでいる。その強さは、空手の有段者だった中学生・春日を軽々とKOしてしまうほど。また、学業も優秀で、武勇以上の成績を収めて、彼を驚かせている。 しかし、第12回全国キッズボクシング大会で網膜を傷つけてしまい、ボクシングから離れることを余儀なくされてしまう。

春日 (かすが)

乃木小学校付近の中学校に通う不良のリーダー。空手の有段者で、他の格闘技を見下している。不良を率いているだけあって、見た目は強そうに見える。要萌花にいやらしい目を向け、彼女から「ロリコン大魔王」と呼ばれて激高。殴り掛かろうとするが、実際の実力は大したことがなく、返り討ちに遭ってしまう。

勇の母 (いさむのはは)

武勇の母親。彼の学習成績のみを気にしている典型的な教育ママ。勇が周囲を見下す大きな要因となっている。勇がボクシングを始めたいと言った時も、当然ながら反対の姿勢を示すが、勇の父の執り成しもあって、渋々ながら認めている。

勇の父 (いさむのちち)

武勇の父親。堅実な生き方を良しとしており、勇の母ほどではないが、息子には勉学に励んで一流の大学を出てほしいと考えている。一方、勇がボクシングをしたいと言った時には理解を示し、スターボクシングジムに通うことを許可している。ただし、プロボクサーになるために私立千葉誠堂館高等学校に通いたいと言われた時は、断固として突っぱねている。

星 豹真 (ほし ひょうま)

スターボクシングジムの練習生で、小学6年生の少年。会長である星の息子。姉の星明奈もボクシングをしているため、星豹真自身も自然と、幼い頃からボクシングに慣れ親しみながら育ってきた。内心では自分に才能がないと感じており、ボクシングに情熱を向けることができずに、小学卒業とともにきっぱり辞めるつもりでいた。 しかし、武勇と要萌花に出会ってボクシングへの情熱を取り戻し、星が亡くなってからもトレーニングを重ねている。

星 明奈 (ほし あきな)

スターボクシングジムの練習生の少女。会長である星の娘。中学時代まではバスケットボールに夢中で、選手として活躍していた。しかし、靱帯断裂のため断念し、父親の反対を押し切る形でボクシングを始める。要萌花とは女性として早々に意気投合している。萌花が、萌花の母に黙ってスタージムに通おうとした時は、厳しい態度を取り、きちんと話し合うように促している。 星が亡くなると、弟の星豹真とジムを畳もうかとも考えるが、武勇の存在もあって思いとどまっている。

(ほし)

スターボクシングジムの会長で、星豹真と星明奈の父親。質実剛健を絵に描いたような男性で、厳しさと優しさを併せ持ち、武勇や要萌花などからも信頼されている。中でも亘春海からは実の父親のように敬われており、星自身も、亘の将来に強い期待をかけていた。しかし、ある時彼が狭心症であることを知ってしまい、突き放そうとしてしまう。 ほとぼりが冷めたら事実を打ち明けるつもりでいたが、その前に星自身が病魔に蝕まれ、帰らぬ人となってしまう。

亘 春海 (わたり はるみ)

スターボクシングジムの練習生で、小学6年生の少年。幼くして両親を失っており、将来に悲観していた。星と出会ってボクシングへの情熱に目覚め、彼を実の父親のように慕いつつ、プロボクサーを目指すこととなる。第12回全国キッズボクシング大会では、同門である星豹真を2回戦で下し、その後も順調に勝ち進んで見事に優勝する。 しかし突然、星からボクサーには向いてないと宣告され、失意の淵に立たされてしまう。その理由は狭心症を患っていたためだが、そのことを知らぬまま星とは死別してしまい、裏切られたという想いだけが残ってしまう。

萌花の母 (もかのはは)

要萌花の母親。大阪から引っ越して来たため、娘とともに大阪弁をしゃべる。夫である要誠二を、ボクシングにおける事故で失っているため、萌花がトレーニングを続けていることを快く思っていない。一方で、彼女が父親をいかに慕っているかも知っているため、学業をおろそかにしないという条件付きで、スターボクシングジムに所属することを許可している。

要 誠二 (かなめ せいいち)

要萌花の父親。有名なプロボクサーで、娘の萌花からも強く憧れられていた。しかし、乾甲児との試合で負った傷がもとで、帰らぬ人となってしまう。この事故は萌花の母や乾はもちろん、娘である萌花にとっても痛恨の出来事として記憶され、彼女がボクシングに本格的に打ち込むきっかけとなった。

ビューティー関 (びゅーてぃーせき)

女子バンタム級のボクシング選手。同じバンタム級である星明奈と対戦した際には、減量によりスタミナが落ちていたにもかかわらず、明奈の猛攻に耐え凌ぎつつ、激しい打ち合いを演じた。2人のラッシュの応酬は、観戦した武勇にも強い感動を与え、要萌花にも明奈に劣らない強者と称賛された。

梅原 誠太 (うめはら せいた)

第12回全国キッズボクシング大会の1回戦で武勇と対戦した相手。千葉県出身。温和な性格の少年で、体格も勇ほど逞しくはない。病弱な身体を鍛えるために、誠太の父からボクシングを勧められ、病気を克服したという過去を持つ。そのため、父への恩返しとして、大会を勝ち抜きたいという想いは人一倍強い。リング慣れしていない勇に対して有利に立ち回るが、彼のカウンターの一撃を受けたことによりアドバンテージを喪失。 互いに一進一退の攻防を繰り広げることとなる。

誠太の父 (せいたのちち)

梅原誠太の父親。息子想いの男性で、誠太の体質改善のためにボクシングを勧め、現在は彼のトレーナーを請け負っている。堅実なボクシングを信条としており、相手をノックアウトさせるのではなく、いかに有利な判定に持ち込むかを重視していた。また、親子そろって礼儀正しく、試合後は武勇の健闘を讃えていた。

筧 将人 (かけい まさと)

第12回全国キッズボクシング大会の1回戦で要萌花と対戦した相手。大阪府出身。自信家だが、その自信に見合うだけの資質を持っており、乾甲児の教えを受けて実力をさらに伸ばしている。当初は萌花を女子だと侮っていたが、ライバル視していた亘春海が彼女に注目していること、そして何より、試合を通してその気概を認めることになる。

乾 甲児 (いぬい こうじ)

筧将人のトレーナーで、吾妻雫の父親。かつて要誠二と対戦し、その時の怪我で誠二が帰らぬ人となっており、そのことを少なからず引きずっている。一方、要萌花の前ではリアリストのように振る舞い、ボクシングを続ける気を失くすような言動を見せる。その真意は、命を落としてしまった誠二の娘にまで危険が及ぶことを避けるため。 萌花が将人相手に善戦したので、彼女に素質があることを認めつつも、ボクシングを続けることには難色を示した。また、娘である雫に対しても、ボクシングを辞めるよう求めているが、聞く耳を持たれていない。

吾妻 雫 (あづま しずく)

第12回全国キッズボクシング大会の2回戦で武勇と対戦した相手。乾甲児の娘で、父親からはボクシングを反対されているが、まったく聞く耳を持っていない。勇同様、カウンターを得意としているうえに、対戦相手の癖を見抜く能力に特化しており、その戦術に勇は苦戦を強いられた。なお、吾妻雫の母親と乾は離婚しており、雫いわく、「元気だが、よりを戻すつもりはない」とのこと。

呉 悠之介 (くれ ゆうのすけ)

私立古手川中学校に通っている少年。武勇の中学時代の同級生で、のちに県立けやき台高校に進学したため、同級生となる。小学校時代、港とタカにいじめられており、偶然再会してしまい再び因縁を付けられるが、勇と要萌花によって助けられる。のちに萌花に好意を抱き、彼女の勧誘を受けて、県立けやき台高校のボクシング同好会に所属することとなる。 ひ弱そうな見た目に反してボクシングの才能があり、所属してすぐに、いくつかの勝ち星を挙げている。

(みなと)

小学校時代に呉悠之介の同級生だった少年。典型的な小物といえる不良で、小学校時代にいじめていた呉と偶然出会い、再び彼に絡むが、要萌花と武勇に一蹴される。のちにけやき台高校に進学したため、3人を見返そうとするが、勇には「ザコ星人」と呼ばれ、東会にカモにされるなど、ロクな目に遭っていない。

タカ

港とつるんでいる不良少年。一応はプロボクサーを志しているが、港とともに呉悠乃介に絡むなど、素行は最悪である。さらに、通りがかった武勇に軽くあしらわれてしまい、上には上がいると自覚するに至る。高校に進学した後は、勇には手を出さないようにと港に忠告するが、東涼介に一目置くなど、相変わらず人を見る目がない。

剣 隼斗 (つるぎ はやと)

路上でボクシングを活かしたパフォーマンスを行っている男性。自らを「ハヤブサ仮面」と称している。覆面を被っており正体は不明だが、武勇および要萌花が中学生と知ると、剣隼斗という名前と、勇同様中学生であることを明かした。パフォーマンスをしていたのは、私立千葉誠堂館高等学校に進学するためだったが、推薦入学が決まったため、その必要もなくなった。 小学校時代は亘春海を下しており、中学生にしてプロ候補の高校生を相手に、互角のスパーリングをやりあうほどの実力者。勇同様追い込まれると燃えるタイプで、逆境に強い。後に誠堂館高校に入学し、誠堂館四天王の筆頭として恐れられるようになる。また、勇とは互いに認め合うライバルとして、幾度も拳を交えた。

巻 栄太 (まき えいた)

私立千葉誠堂館高等学校に通う少年。高校バンタム級で二冠を達成している強豪ボクサーで、高校ボクシング界の怪物。中学生である剣隼斗に一目置いており、彼が練習に訪れる際には、スパーリングの相手を頼むこともある。

島崎 (しまざき)

私立千葉誠堂館高等学校に通う少年。武勇や剣隼斗のような、誠堂館に出稽古に訪れる中学生に洗礼を与えるという悪趣味な男。勇に対しても自らスパーリングの相手を名乗り出て、3ラウンドでレフリーストップにまで追い込んだ。しかし、やがて勇からボクシングの癖を完全に見破られてしまい、1週間と経たずに苦戦を強いられるようになってしまう。

荒木 (あらき)

私立千葉誠堂館高等学校ボクシング部の総監督を務める壮年の男性。才能のある選手の発掘に躍起になっており、ボクシングに打ち込む中学生を対象に、誠堂館の施設を開放している。中でも剣隼斗には大きく注目しており、彼に対して誠堂館に推薦入学が内定したことを嬉しそうに語った。また、剣が紹介した武勇にも一目置くようになり、是非誠堂館に来てほしいと勇本人に告げている。

東 涼介 (あずま りょうすけ)

県立けやき台高校に通う2年生の少年。斜に構えた性格のヤンキーで、東会という不良集団を結成していた。逆らう人間には容赦をせず、時にはスタンガンを使うなど汚い手も厭わない。しかし、仲間想いの一面があり、一度認めた相手に対してはそれなりに敬意を払っている。亘春海にボコボコにされ、見返すチャンスとして亘本人からボクシング同好会を紹介され、気まぐれに入部する。 当初はヤンキーらしく、根性を見せていなかったが、徐々にボクシングの魅力に取りつかれ、本気で打ち込むようになっていく。また、亘ともいがみ合うことなく、仲間として認めあっている。

青木 (あおき)

県立けやき台高校に通う2年生の少年。東会の1人で、東涼介とは子供の頃からの付き合い。お互い、煮え切らないヤンキーとして振る舞っていたが、東が本気でボクシングに打ち込むようになり、取り残されたような感覚を覚えてしまう。その鬱憤から、秘かにボクシング同好会の設備に落書きをするなどの嫌がらせをしていたが、東に見咎められる。 しかしその際に、ルールさえ守れば好きなだけ殴り合いができると、不良らしい観点からボクシングの魅力を語られ、ともに同好会で活動するようになる。

水戸 (みと)

県立けやき台高校の教師を務めている女性。新任教師として赴任した際に、東会の連中から嫌がらせを受け、不良に対する嫌悪感を抱くようになる。亘春海らから、ボクシング同好会の顧問を務めるよう懇願されるが、東涼介が所属すると聞いて一度は拒否した。しかし、東が謝り、亘自身もボクシングによって更生したと聞き、思い直して顧問を務めるようになる。 その後は真面目に活動するようになった東を見直すが、武勇の不運によって振り回されることもあった。

(みやこ)

私立西田工業高等学校に通う少年で、ボクシング部の部長。腕は立つが、面子を潰そうとするものには味方であっても容赦をせず、ガラも悪い。勘違いから因縁をつけ、村岡を倒した東涼介と対戦する。しかし、そこで故意にいたぶったため、駆けつけた亘春海の怒りを買う。亘をも撃破し、のちに練習試合という形で武勇と対決するが、彼のペースにはまって敗北。 都自らが下した東や亘を含めた県立けやき台高校のレベルの高さを思い知り、彼らを今後のダークホースになると予測するに至った。

村岡 (むらおか)

私立西田工業高等学校に通う少年で、ボクシング部の部員。勘違いから因縁をつけてきた東涼介と、私立西田工業高等学校の部室で対戦する。しかし、経験こそあるものの総合的な能力は東に劣っており、序盤こそ勢いで飲み込もうとするものの、最終的には東のペースに飲まれて敗北する。

寺石 (てらいし)

私立西田工業高等学校に通う少年で、ボクシング部の部員。県立けやき台高校との練習試合で呉悠之介と対戦する。呉にとっては初の練習試合の相手で、殴り合う恐怖に駆られる彼を一時は圧倒する。しかし、要萌花の応援によって奮起した彼のカウンターを食らい、敗れる。さらに、経験の浅い呉に敗れたことで、都から叱責されてしまう。

猪瀬 (いのせ)

私立西田工業高等学校に通う少年で、ボクシング部の部員。県立けやき台高校との練習試合で東涼介と対戦する。自分は敗れた村瀬とは違うと意気込み、重さのあるパンチで東を追い込もうとするが、反撃を決められ、先にダウンを取られる。その後も食らいつき、相打ちの形で顔面にストレートを叩きこむが、猪瀬の方がダメージが大きく、立ち上がれずに敗北した。

入江 (いりえ)

私立西田工業高等学校に通う少年で、ボクシング部の部員。県立けやき台高校との練習試合で亘春海と対戦する。しかし、都に敗北して闘争本能をたぎらせ、かつての勘を取り戻した亘の前には手も足も出ず、一撃も攻撃を命中させられないまま倒れ伏した。

轟 瑠奈 (とどろき るな)

県立けやき台高校に通う1年生の少女。ボクシングに興味があると自ら申告し、マネージャーとして入部をする。しかし実際にはボクシングに興味はなく、武勇に一目惚れをしたため、彼に近づこうという狙いがあった。そのため、勇が想いを寄せる要萌花をライバル視するが、根は真面目な性格なので、マネージャーとしての業務を疎かにすることはなかった。 なお、勇にはそれとなくモーションをかけているものの、まったく気づかれていない。

角 裕介 (すみ ゆうすけ)

私立千葉誠堂館高等学校に通う少年で、誠堂館四天王の1人に数えられている。剣隼斗とは四天王の仲間だが、同じバンタム級であるため、ライバル意識を抱いている。四天王であることを鼻にかけた節があり、他校の生徒を見下し、そのことを剣や南原毅に咎められることもある。しかし実力は本物で、サブマリンフックとサブマリンアッパーを使いこなして亘春海に勝利し、武勇を相手に互角に打ち合う活躍を見せた。

(だん)

私立千葉誠堂館高等学校に通う少年で、誠堂館四天王の1人に数えられている。角裕介とは対照的で、冷静な性格をしており、試合に私情を挟むことは一切ない。剣隼斗の実力を誰よりも認めており、団自身もドラゴンアッパーと呼ばれる強烈な必殺ブローで東涼介を一撃で倒すなど、四天王の名に恥じない強さを見せる。

丸 一輝 (まる かずき)

私立千葉誠堂館高等学校に通う少年で、誠堂館四天王の1人に数えられている。やや軽い性格だが、仲間たちの強さには一目置いており、剣隼斗と互角に打ち合った武勇を強者と認めている。真半身スタイルと呼ばれる、常に右手を突き出した姿勢が特徴。しかしその右手は決して目くらましではなく、右手を払おうとした隙を突いてゼロレンジジャブで撃墜するという戦法を取り、多くの相手をマットに沈めている。

南原 毅 (なんばら たけし)

私立千葉誠堂館高等学校のコーチで、関東高校ボクシング強化合宿対抗戦の主催者。武勇とは顔見知りで、彼が誠堂館に入学できなかったことを残念に思っている。高慢な態度を取った角裕介を叱責するなど真面目な性格だが、一方でノリが良く、事故に繋がらない限りは自由に練習させるといった懐の深さも見せる。

広池 (ひろいけ)

明修高等学校に通う少年。関東高校ボクシング強化合宿対抗戦で、呉悠之介と対戦する。先んじてラッシュを仕掛けて先制し、攻めで押し切ろうとするが、呉が得意とするカウンターを食らい、一撃でKOされる。呉の成長を証明する結果とされてしまった。

原 研二 (はら けんじ)

明修高等学校に通う少年。全身の筋肉が打撃を通さず、その様が重装甲に見えるため、兄の原研一と合わせてパンツァーブラザーズと呼ばれている。剣隼斗すら一目置くほどの強者で、青木を軽々と下し、武勇と対戦する。しかし、体格に恵まれているが攻撃そのものは大振りで、それを見切った勇にとっては強敵足り得ず、彼の渾身のショートフックを受けて敗れ去った。

原 研一 (はら けんいち)

明修高等学校に通う少年で、弟の原研二と合わせてパンツァーブラザーズと呼ばれる。打たれ強さも弟同様で、明修のエースとして広く知れ渡っている。東涼介と対戦し、経験、及び体格で劣っている彼を序盤は圧倒する。しかし、予想外に食らいつかれたことで、ケリをつけようと右ストレートで勝負を仕掛ける。その際にガードが空いたため、東からもストレートを受け、相打ちに持ち込まれて、原研一のみが立ち上がれずに敗北した。

集団・組織

東会 (あずまかい)

県立けやき台高校における不良集団。東涼介が頭を張っているため東会と呼ばれている。しかしその実態は、東を含めて4人の集団という小規模なもので、単なる厄介者の集団と認識されている。さらに、星に見限られたと思い込んで荒れていた亘春海とトラブルになり、早々に解散させられてしまう。しかしこれが縁となり、東と青木はボクシング同好会の一員として迎えられることになった。

誠堂館四天王 (せいどうかんしてんのう)

私立千葉誠堂館高等学校のボクシング部で、特に強い実力を持つ4人に与えられる称号。剣隼斗を筆頭に、いずれも全国レベルの強豪で構成されている。誠堂館のコーチである南原毅は、四天王をスパーリングで下せれば賞金を出す、といったパフォーマンスを行うなど、アイドル的な側面も見られた。なお、決め技としているパンチに、それぞれ独自の技名を付けている。

場所

乃木小学校 (のぎしょうがっこう)

武勇、要萌花、星豹真が通っている小学校。特にこれといった特徴がないため、優等生である勇にとっては退屈極まりない場所である。また、近所に中学校があり、そこに所属する不良によって、カツアゲなどの被害に遭う生徒も見られた。

スターボクシングジム

星が会長を務めているボクシングジム。星の子供である星豹真、星明奈や、亘春海が所属しており、のちに武勇と要萌花も所属することになる。埼玉の中では大手と呼べるジムで、明奈や亘の活躍などもあり、かなりの熱気と賑わいを見せていた。しかし、星が病によって急逝すると、形だけのジムとなってしまう。 それでも豹真と勇はこのジムに所属し続け、彼らが高校生になるまで存続している。

私立古手川中学校 (しりつこてがわちゅうがっこう)

武勇および呉悠之介が通う中学校。有名な私立中学で、校内設備なども充実している。勇はこの学校でも優等生で、ボクシングと並行して水泳も行っていたため、水泳によるスポーツ推薦の話も持ち上がっていたが、はっきりと断っている。

私立千葉誠堂館高等学校 (しりつちばせいどうかんこうとうがっこう)

スポーツの名門校。ボクシングにも力を入れており、高校バンタム級で二冠を達成している巻栄太も在籍している。また、ボクシング部の施設は一般にも開放されており、剣隼斗や武勇など、出稽古に出ている中学生などもいる。剣はこの学校に推薦入学が決まっている。勇もここを目指そうとしたが、勇の父が突然リストラに遭ってしまい、進学の道は絶たれてしまう。

県立けやき台高校 (けんりつけやきだいこうこう)

家庭の事情により私立千葉誠堂館高等学校に入学できなかった武勇が、やむなく入学した県立の高校。私立古手川中学校などとは打って変わって生徒の素行が悪く、ボクシング部も存在しない。しかし、勇とともに要萌花や呉悠之介、亘春海も入学しており、彼らを中心にボクシング同好会が誕生。東涼介や青木、轟瑠奈も加入し、次第に規模を拡大していく。

私立西田工業高等学校 (しりつにしだこうぎょうこうとうがっこう)

県立けやき台高校の付近に存在する私立高校。東涼介がこの学校のボクシング部員とトラブルを起こしており、仲裁に訪れた武勇の提案によって、けやき台高校との練習試合が組まれることになる。部長である都は、東や亘春海を下す実力者だが、他のメンバーは1人として、練習試合で勝利することができなかった。

明修高等学校 (めいしゅうこうとうがっこう)

関東高校ボクシング強化合宿対抗戦の1回戦で、県立けやき台高校と対戦した高校。パンツァーブラザーズの異名を持つ、原研一、原研二の兄弟が在籍しており、彼らの知名度から剣隼斗からも一目置かれている。一方、彼ら以外は実力不足であるという話もあり、武勇たちはいかにしてパンツァーブラザーズを攻略するかを課題としていた。

イベント・出来事

第12回全国キッズボクシング大会 (だいじゅうにかいぜんこくきっずぼくしんぐたいかい)

小学生を対象とした、ボクシングの全国大会。その名の通り、全国各地から64人の選手が参加し、トーナメント形式で優勝を争う。スターボクシングジムからは、当初は亘春海だけが出場する予定だったが、武勇、要萌花、星豹真も参加を希望している。

関東高校ボクシング強化合宿対抗戦 (かんとうこうこうぼくしんぐきょうかがっしゅくたいこうせん)

私立千葉誠堂館高等学校が主宰する合宿に参加した高校による、トーナメント形式の団体対抗戦。5回勝負で、先に3勝した方が勝利となる。県立けやき台高校もこの対抗戦に参加し、2回戦で誠堂館と対戦することとなった。

その他キーワード

かまいたち

剣隼斗が使用する必殺ブロー。アッパーで顔を上げ、顎に左フックを打ち込み、間髪入れず、こめかみに右フックを打ち込むコンビネーション技である。頭部の急所を同時に2発捉えることにより、相手は何が起こったかわからないまま倒れ伏す。剣はこの技を使って、2階級上の選手を倒したこともある。しかし、武勇はあえてこれを打たせ、大きなダメージを防ぐどころか、カウンターまで狙うことに成功している。

サブマリンフック

角裕介が使用する必殺ブロー。ロングレンジから体重を乗せ、まっすぐに左の拳を叩きつけるオープンブローぎりぎりの一撃。姿勢が潜水艦、拳が潜望鏡に見えることからサブマリンフックと名付けられている。角はこの技を、姿勢を低くした状態から不意打ちのように繰り出しており、そのため初見でこの技を見切ることができた選手はいない。 ただし、武勇だけは顔をわずかにそらせて、ダメージを半減させることに成功している。

サブマリンアッパー

角裕介が使用する必殺ブロー。サブマリンフックと同じ姿勢から、右手を使って放たれる強力なアッパーで、相手がサブマリンフックに警戒した際に用いられる。サブマリンフックとサブマリンアッパーを使い分けて相手を惑わせる戦法は、剣隼斗にもその有用性を認められている。

ゼロレンジジャブ

丸一輝が使用する必殺ブロー。肘から先を鞭のように扱い、強く柔らかいリストで、ほぼゼロレンジからマシンガンのようにジャブを放つ。その素早さは、角裕介をして「ゼロレンジジャブから逃げられる奴はいない」と言わしめるほど。

ドラゴンアッパー

団が使用する必殺ブロー。左手の一撃でガードをこじ開けた先に、右手から繰り出されるアッパーカット。団の持つパワーの影響から、サンドバックを吹き飛ばすまでの凄まじい威力を誇る。東涼介はこの一撃のみでダウンし、そのまま立ち上がることができなかった。

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