DIVE!!

DIVE!!

森絵都の同名小説が原作の、中学生の飛び込み競技を題材にしたスポーツ漫画。選手として高みを目指す中で、仲間たちと実力が乖離していくことによって生じる軋轢やそこから生まれる葛藤、思春期特有の感情など人間ドラマも繊細に描かれている。「週刊少年サンデー」2007年28号から2008年27月号にかけて連載された作品。2008年には原作小説版が熊澤尚人監督、林遣都主演で『ダイブ!!』のタイトルで映画化された他、2017年7月からはフジテレビ系列他でTVアニメ化もされている。

正式名称
DIVE!!
ふりがな
だいぶ
原作者
森 絵都
漫画
ジャンル
その他スポーツ
関連商品
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概要・あらすじ

富士谷要一の飛び込む姿に憧れて飛び込み競技を始めた坂井知季は、飛び込み自体は好きだが、これといって目立つ選手ではなかった。同じくミズキ・ダイビングクラブに所属している同級生の大広陵丸山レイジとともに、競技というよりも飛び込み自体を楽しんでいた。しかし、クラブは親会社の都合により閉鎖の危機に陥ってしまう。

そんな状況を打開しようと、麻木夏陽子がクラブにやって来る。選手としては平凡に見える知季に特別な才能を見出した夏陽子は、知季をトップアスリートへと成長させようと厳しく指導する。しかし、平凡な男子中学生である知季が一流選手となるためには、多くの試練を体験することもまた必然であった。

登場人物・キャラクター

坂井 知季 (さかい ともき)

ミズキ・ダイビングクラブに所属する中学1年生男子。6年前に富士谷要一が飛び込みの練習をしている姿を見て憧れ、飛び込み競技を始めた。もともと勝負っ気がある性格ではなく、飛び込みも競技としてというより、入水の爽快感や大広陵や丸山レイジといった仲間と一緒に楽しむことに主眼を置いていた。しかし、クラブの新任コーチである麻木夏陽子が坂井知季の隠れた才能を見抜き、知季自身もその可能性を信じて練習に励むようになる。 以降、生活のすべてを飛び込み競技の練習に捧げたことから、実力に差がついた陵たちとの間に軋轢が生まれるが、強い信念でそれも乗り越えていく。そして知季は、日本を代表する選手へと成長していき、憧れの存在でしかなかった要一と肩を並べるまでになる。

富士谷 要一 (ふじたに よういち)

ミズキ・ダイビングクラブに所属する高校1年生男子。父親はミズキ・ダイビングクラブのコーチを務める富士谷敬介で、両親ともにかつての五輪代表選手という、いわゆるサラブレッド。中学時代は3年連続中学生チャンピオンとなっており、実力は折り紙つき。自分の実力を自覚しており、クラブ存続のためには自分が活躍すればいいと公言するほどの自信家でもある。 坂井知季のことは、当初はただの後輩としか見ていなかったが、次第に覚醒していく知季のことを、ライバルとして認識していく。

沖津 飛沫 (おきつ しぶき)

麻木夏陽子にスカウトされ、青森からやって来た高校2年生男子。「幻のダイバー」ともいわれている沖津白波の孫にあたる。津軽の海にひたすら飛び込んできたため豪快な飛び込みを得意とし、小手先の技術はまったく使わない。しかし、坂井知季や富士谷要一との試合を通し、技術の大切さを学ぶ。

麻木 夏陽子 (あさぎ かよこ)

ミズキ・ダイビングクラブの立て直しのために赴任して来た、新任の女性コーチ。エキセントリックな言動が目立つが、海外留学して学んできたコーチング術は確かで、クラブの飛び込み選手たちを成長させていく。赴任してすぐに坂井知季の隠れた才能を見抜き、すでに名声を得ている富士谷要一をも超える才能を持っていると直感。 平凡な飛び込み選手だった知季を徹底的に鍛え上げる。

大広 陵 (おおひろ りょう)

ミズキ・ダイビングクラブに所属する中学1年生男子。同い歳の坂井知季や丸山レイジは数少ないクラブ仲間。短気だが熱血漢で、とても友達想い。麻木夏陽子が来るまでは、3人の中では飛び込み選手としては一番優秀だった。しかし、夏陽子が知季に厳しくコーチをするようになってからは、知季との仲に亀裂が入ってしまう。 その後、夏陽子が鍛え上げた知季との戦いを経て自分の才能のなさを知り、飛び込み競技を辞めてしまう。

丸山 レイジ (まるやま れいじ)

ミズキ・ダイビングクラブに所属する中学1年生男子。同い歳の坂井知季や大広陵は数少ないクラブ仲間。臆病なところはあるが、慎重でいつも冷静沈着。夏陽子が知季に厳しくコーチをするようになってからは、知季との仲に亀裂が入ってしまう。その後、夏陽子が鍛え上げた知季との戦いを経て、自身に才能がないことを自覚するが、それでもクラブのサポートをやめなかった。

坂井 弘也 (さかい ひろや)

坂井知季の弟で、歳は1つ下だが、学年は知季と同じ中学1年生。そのため、知季とは兄弟というより幼なじみの友人のような関係になっている。知季の彼女である未羽に想いを寄せており、知季が飛び込み中心の生活をするようになり、放って置かれるようになった未羽と付き合うことになる。このことで一時的に知季と衝突するものの、知季がもともと未羽に興味がなかったことを知り、のちに和解する。 飛び込み選手としての知季のことは、別世界の人のようだと感じつつも応援している。

未羽 (みう)

坂井知季の彼女で、学年は知季と同じ中学1年生。知季に惹かれて付き合うことになったものの、知季が未羽との接し方に戸惑っていたため、会話も弾まない不安な日々を過ごしていた。さらに知季が飛び込み競技に熱を入れるようになったため、ますます疎遠になってしまう。そんな中、自分のことを気遣ってくれる坂井弘也へと気持ちが移っていき、知季とは別れることになる。

山田 篤彦 (やまだ あつひこ)

アスカ・ダイビングクラブ大阪に所属する男子高校生。ド派手なピンクの水着を身に着けていることから、「ピンキー」と呼ばれている。高校生飛び込み選手としては指折りの実力の持ち主で、富士谷要一のことをライバル視している。無名だった坂井知季との試合では、予想以上の演技を見せる年下の知季に調子を狂わされてしまうが、知季の実力を認めてからは調子を取り戻して真の実力を発揮する。

松野 清孝 (まつの きよたか)

アスカ・ダイビングクラブ大阪に所属する男子高校生。山田篤彦の取り巻きの1人。高校生とは思えないほどの老け顔で、同じアスカ・ダイビングクラブ大阪に所属する俵屋町子からは「松野のオッサン」と呼ばれている。目立つタイプではないが、演技の安定感から北京合宿に呼ばれるほどの実力の持ち主。

辻 利彦 (つじ としひこ)

アスカ・ダイビングクラブ大阪に所属する男子高校生。山田篤彦の取り巻きの1人。篤彦や松野清孝に比べると見劣りはするが、それでも名門のアスカ・ダイビングクラブ大阪に所属するだけあって、高校生の中では有数の実力者。常に飄々としており、その性格がお調子者の山田の助けになることもある。

秋月 湊 (あきつき みなと)

中学選手権を制した女子飛び込み選手。富士谷要一も一目で実力を認めるほど、飛び抜けた技術を持っている。しかし経験は浅く、飛び込み競技を始めてからまだ1年ほどしか経っていない。常に冷静なポーカーフェイスで、人を寄せ付けない雰囲気を漂わせているが、北京合宿で坂井知季と出会い、ともに行動し会話を交わしていくことで明るくなっていく。

黄 糧 (こう りゃん)

中国でもトップクラスの実力を持つ、飛び込みチーム「中華飛行隊」のメンバーの男性。その中でも戴易辰とともに、ナショナルチームに最も近いエース格とされ、「黄虎」の異名を取る。北京合宿に来た坂井知季たち日本の飛び込みチームをレベルが低いと思い込み、練習の邪魔だと言って憚らない。しかし知季と富士谷要一との戦いを通して、知季たちの飛び込み競技への想いと技術の高さを理解し、好敵手と認めるようになる。

戴 易辰 (たい えきしん)

中国でもトップクラスの実力を持つ、飛び込みチーム「中華飛行隊」のメンバーの男性。その中でも黄糧とともに、ナショナルチームに最も近いエース格とされ、「白龍」の異名を取る。口には出さないが、黄糧と同様に北京合宿に来た坂井知季たち日本の飛び込みチームを、練習の邪魔になると見下していた。

孫コーチ (そんこーち)

中国でもトップクラスの実力を持つ、飛び込みチーム「中華飛行隊」のコーチを務める老人。選手時代には金メダルを獲得し、コーチとしても何人ものメダリストを育ててきた中国の生ける伝説。高みだけを目指して視野が狭くなっていた黄糧の鼻っ柱を折るため、坂井知季たち日本チームとの試合を組む。

幸也 (さちや)

ミズキ・ダイビングクラブに所属する男子小学生。ゴシップ好きで、坂井知季たちに刺激的な情報を色々と持ち込んでくる。ミズキ・ダイビングクラブに通っているがあまり水泳には熱心ではない。しかし、飛び込み競技のルールがわからない坂井弘也に解説をするなど、それなりの知識は持っている。

富士谷 敬介 (ふじたに けいすけ)

ミズキ・ダイビングクラブの男性コーチで、富士谷要一の父親。若い頃は自身も飛び込み競技の選手で、五輪代表選手になったこともある。父親とコーチとしてのけじめをつけるため、要一には「コーチ」と呼ぶように教育しており、そのことで微妙な距離感が生まれてしまっている。

場所

ミズキ・ダイビングクラブ (みずきだいびんぐくらぶ)

大手スポーツメーカー「ミズキ」直営のダイビングクラブ。天才的な飛び込み選手である富士谷要一の他、坂井知季や沖津飛沫らが所属している。かつて飛び込み選手だった「ミズキ」の元会長が、日本の飛び込み競技の振興のために設立した。しかし元会長が亡くなってからは、赤字事業として会社のお荷物部門となり、事業整理の危機に陥っている。 だが、新任コーチの麻木夏陽子が振るう辣腕によって知季らが成長するにつれ、事業整理の危機を免れるようになる。

アスカ・ダイビングクラブ大阪 (あすかだいびんぐくらぶおおさか)

飛び込み界のエースとして知られる寺本健一郎が所属する、日本最強のダイビングクラブ。山田篤彦や松野清孝など、代表選考に残るレベルの飛び込み選手も多数所属しており、全国大会では上位のほとんどをアスカ・ダイビングクラブ大阪の選手が占めている。

クレジット

原作

森 絵都

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