EとT。~えいがとてんし。~

EとT。~えいがとてんし。~

映画が大好きな男子高校生・榎久大五郎は、天使のオーラを持つ少女・琴弾桜と出会い、仲間たちと共に桜を主演女優に据えた映画を撮り始める。映画制作を通じて関係を深めていく大五郎たちの姿を描いた青春ラブコメディ。「週刊少年サンデー」2014年第27号から2015年第34号にかけて連載された作品。

正式名称
EとT。~えいがとてんし。~
ふりがな
いーとてぃー えいがとてんし
作者
ジャンル
ラブコメ
 
部活動
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あらすじ

第1巻

映画が大好きな男子高校生・榎久大五郎は、高校の入学式で天使の輪と羽を持つ少女・琴弾桜と出会う。桜を気に入った大五郎は、早速これから設立予定の映画研究部に勧誘しようとする。桜の天使の輪と羽はなぜか大五郎にしか見えず、桜本人にすら天使のオーラを放っている自覚がないようだった。大五郎はこれに困惑しつつも、桜とコミュニケーションを取り続けるが、そのうち桜もまた、自分を特別扱いしない大五郎に関心を持つようになる。桜は天使の力が放つオーラのせいで、男性には異常なほど好意を持たれ、女性には男性たちからひいきされているという理由で嫌われていた。そこで桜は、現状を変えるために映画研究部へ入部を決意。桜の友人の本八幡八千代もそれに付き添い、部員は大五郎、桜、八千代に加え、大五郎と中学時代からいっしょに映画を作っていた所茶々清瀬海の五人となり、正式に映画研究部は設立された。しかしその直後、桜が校内のバスを勝手に運転したせいで、映画研究部は生徒会に目をつけられてしまう。そこで大五郎は、バスの運転は映画撮影の一環であるとウソの説明をし、辻褄を合わせるためにバスと桜を中心にした映画を撮ることにする。

第2巻

バス事件から一週間が経過し、榎久大五郎ら映画研究部は、ついに新作映画「燃えよ恋龍」の上映日を迎えた。しかし完成品を見た生徒会長たちの反応は薄く、琴弾桜は生徒会長に、あなたはとてもかわいらしいが、カメラを通すとまるで魅力を感じないと言われてしまう。こうして上映会は終わり、映画研究部は存続を認められることとなったが、翌日から謎の人物の妨害に遭うようになる。そして部室にする予定だったバスに落書きをされたうえ、漫画研究部にバスを奪われてしまう。その犯人は桜の双子の姉・琴弾ゆなだった。さらにゆなには、桜とは正反対に悪魔の角と羽が生えており、その角と羽は一定の条件下で犬や猫の耳としっぽに変わる不思議な力があった。そんなゆなから、自分を映画研究部の部長にすればバスを返してやると言われた大五郎はそれに従って、彼女を六人目の部員として迎えるのだった。しかし、新設の映画研究部の活動状況は相変わらず厳しく、部費は1円しか与えられずにいた。そこで大五郎たちは、動画投稿サイトに成績の悪い桜が無事追試に合格するまでを記録したドキュメンタリー作品を投稿し、広告収入を得ることにする。

第3巻

榎久大五郎のカメラが壊れてしまい、映画研究部の面々は新しいカメラを買うため、CMエキストラのアルバイトをすることになった。アルバイト中、大五郎は監督・の横暴な態度に疑問を抱くが、彼女との会話がきっかけになり、楠が以前自分が感動した作品「夏」の監督であることを知るのだった。さらに楠から新しいカメラをプレゼントされた大五郎は、新作撮影に意欲を燃やし、まずは拝島朋己琴弾桜に告白する様子をカメラに収めようとする。しかし、朋己が桜にふられた途端に異変が起こる。朋己は身体が鬼の姿に変貌したうえ、別人のように攻撃的になってしまったのだ。一晩置いたことで朋己は元に戻るが、その代わりに桜への思いをすっかり忘れてしまっていた。桜から過去にも似た事件が起きたと聞いた大五郎は、桜に告白してふられた男性はしばらく鬼になってしまうが、その後思いが消えるのではないかと仮説を立てる。そこで大五郎は、桜をヒロイン役に恋愛映画を撮り、作中で大五郎演じる主人公が桜にふられれば、それを見た男性たちには朋己と同じ現象が起こり、桜は異性からのアプローチから解放されるという作戦を立てる。しかし大五郎に惹かれ始めている桜は、これを複雑に思っていた。

登場人物・キャラクター

榎久 大五郎 (えのく だいごろう)

華峰(かみね)高校1年5組に在籍する男子で、映画研究部に所属している。前髪を目の上で切り、あごの高さまで伸ばした黒のボブヘアを頭の低い位置で一つに結んでいる。所茶々からは「榎くん」、琴弾桜と清瀬海からは「大」と呼ばれている。明るくまじめな性格で、無類の映画好き。小学5年生の時、海といっしょに華峰高校の文化祭で見た映画研究部の作品「夏」に感動し、それが楠の作品とは知らないまま、映画制作を始めた。そこで中学時代は海と茶々の三人で、時にゲスト出演者の拝島朋己も交えて映画を撮っていたが、華峰高校入学を機に映画研究部の設立を決意した。そして入学式の朝に桜の特異体質を知り、彼女を主演にして映画を撮れば、いい作品ができるに違いないと確信する。そこで桜とその友人である本八幡八千代を勧誘し、五人で映画制作を始めた。映画では監督とカメラマンを担当しており、撮影するのは得意だが、演じるのは下手。そのため、男性キャラクターの役者は海に任せきりだったが、高校1年生の夏に桜を特異体質から救うため出演を決意した。映画では桜にふられる主人公を演じることになる。

琴弾 桜 (ことひき さくら)

華峰(かみね)高校1年5組に在籍する女子で、映画研究部に所属している。琴弾ゆなの双子の妹。出産の際に日付をまたぎ、琴弾桜が4月2日生まれ、ゆなが4月1日生まれになってしまったために学年が違う。前髪を目の上で切り、亜麻色の髪の毛を腰の高さまで伸ばしたロングヘアをハーフツインにしている。頭の上には天使の輪が浮かび、背中には天使の羽が生えており、これらは桜の感情に応じて輝いたり、パタパタ動いたりする。しかし、これは榎久大五郎にしか見えず、大五郎は桜がいるだけで天使の輪から放たれる強い光をまぶしく感じるが、周囲は大五郎が不自然にまぶしそうにしていると受け取っていた。また、桜はこの天使の力の影響で男性から異常なほど人気があり、桜の周囲に群がる男性たちが輪を作る現象は「男の輪(メンズサークル)」と呼ばれている。さらに、女性に対しては効力が違い、天使のオーラの影響を受ける女性もいれば、影響を受けず桜を嫌っている女性もいる。さらに、男性教師にも人気があり、テストの点も勝手に加点されてしまうため、勉強は本八幡八千代に教えてもらっている。二中学校出身で、八千代とは当時からの友人。本来は明るく気の強い性格ながら、日常生活を送れないほど周囲から人気があるために、周囲に迷惑をかけているという意識が強く、本来の自分を出せずにいた。しかし、大五郎との出会いをきっかけに変わろうと決意する。特技は歌で、歌唱力および声質共に申し分ない。

所 茶々 (ところ ちゃちゃ)

華峰(かみね)高校1年5組に在籍する女子で、映画研究部に所属している。前髪を目の上で切り、左寄りの位置で分けてカールさせ、後ろの髪を胸の高さまで伸ばした金色のロングウェーブヘアにしている。頭にリボンカチューシャを付け、眼鏡をかけている。体型は細めで、胸が小さいことを気にしている。西中学校出身で、榎久大五郎と清瀬海とは当時からの友人。穏やかで心優しい性格だが、やや気弱で恋愛には奥手。以前から大五郎に思いを寄せているが、打ち明けられないまま友人関係を続けている。中学時代から大五郎、海と共に映画制作をしており、役者を務めている。そのため、いつも撮影直前まではおとなしいが、いざカメラが回り始めると別人のように堂々と演技する。華峰高校入学後は、これまで通り三人で映画を作ろうと考えていたが、華峰高校には映画研究部が存在せず、新たに設立するには部員が最低五人必要なことを知る。さらに大五郎が琴弾桜に関心を抱いたことで、大五郎が桜に思いを寄せているのではと焦るようになる。しかしすぐに桜の苦悩を知り、本八幡八千代も交えて三人で親しくなっていく。

清瀬 海 (きよせ かい)

華峰(かみね)高校1年5組に在籍する男子で、映画研究部に所属している。前髪を目の上で切った前下がりの黒の短髪にしている。カチューシャのように、眼鏡を頭にかけている。所茶々からは「清くん」と呼ばれている。西中学校出身で、榎久大五郎と茶々とは当時からの友人。いつも笑顔のおっとりとした性格をしている。大五郎とは長い付き合いで、実はずっと大五郎に思いを寄せている。しかし、同性である自分との交際は難しいと思われることと、そもそも大五郎はいっさい恋愛に関心がないことを理解しており、胸に秘めたまま友人として接している。小学4年生の冬、初詣で大五郎と今年一年の誓いを立てるが、自分はすぐその誓いを破ってしまったものの、大五郎は今年一年泣かないという誓いを守り続けていることを好ましく思っていた。しかし、華峰高校の文化祭で映画研究部の作品「夏」を見た大五郎が号泣し、同時に映画に関心を抱くようになった姿を目の当たりにする。そこでいっしょに映画制作を始めるが、それは大五郎に恋しているからではなく、撮影されるのが好きだからと嘘をついている。部員が少ないこともあって、ほぼすべての作品で主人公、あるいは主人公の相手役を務めている。

本八幡 八千代 (もとやわた やちよ)

華峰(かみね)高校1年5組に在籍する女子で、映画研究部に所属している。前髪を目の上で切り、金色の髪の毛を顎の高さまで伸ばしたボブヘアにしている。二中学校出身で、琴弾桜とは当時からの友人。気が強く世話好きな性格で、天使のオーラのためにまともな日常生活を送れない桜をつねにサポートしている。しかし、桜を大切に思うあまり過保護気味で、桜に近づく男性たちにも必要以上に攻撃的になってしまうところがある。やくざの娘で、非常に裕福な家庭に育つが、それは周囲には隠している。非常に多趣味で、なにかに関心を持つと徹底的に勉強するが、飽きるとそれまで得た知識をまったく忘れてしまう。そのため、部屋には高価なカメラや望遠鏡、歴史の資料など夢中になった趣味のグッズが大量に残されている。華峰高校入学当初は映画には特に興味がなく、榎久大五郎のことも桜に群がる男性の一人だと捉えていた。しかし桜が大五郎に関心を持ったことで、いっしょに映画研究部に入部して、映画制作に励む事になる。大五郎のカメラが壊れてしまった時は、新しいカメラを購入するために、大五郎たちに父親の仕事関係のアルバイト先を紹介した。

琴弾 ゆな (ことひき ゆな)

華峰(かみね)高校に通う2年生の女子で、映画研究部に所属している。琴弾桜の双子の姉。出産の際に日付をまたぎ、誕生日が4月1日となってしまったために、2日生まれの桜より1学年上となる。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした紺色のボブヘアにしている。桜とは対照的に、頭には悪魔の角が二本、お尻には悪魔のしっぽが生えている。これは特定の状況下で犬の耳としっぽ、あるいは猫の耳がしっぽに変化するが、なにが変化のスイッチになるのかは不明。この角あるいは耳としっぽは、やはり榎久大五郎にしか見えない。桜に変装している時は一見桜と見分けがつかないが、発するオーラがまるで違うため、「ニセヒキ」と呼ばれている。クールな性格で、感情表現が苦手。さらに全身から発する悪魔のオーラの影響で人間関係をうまく築けず、孤立しがちである。以前は管弦楽部に所属しており、顧問も認めるサックスの腕を誇る。しかしトラブルを起こして退部し、漫画研究部に入部した。映画研究部から部室であるバスを奪い、自分を映画研究部の部長にしてくれるならバスを返してもいいと話を持ち掛ける。

拝島 朋己 (はいじま ともみ)

華峰(かみね)高校1年6組に在籍する男子で、空手部に所属している。前髪を眉上で短く切ってもみあげを長く伸ばし刈り上げている。頭頂部の髪の毛は金色で、額より下の髪の毛は黒である。背が高くがっしりとした体型。穏やかで落ち着いた性格ながら、恋愛には免疫がなく、暴走しがちである。榎久大五郎ら映画研究部の面々とは、中学2年生の夏に空手の腕を買われ、新作に出演してほしいと頼まれたことで知り合った。その際、大五郎の映画に対する強い情熱に触れ、映画の完成後も親しく付き合うようになる。琴弾桜のことは中学時代から知っており、好感を抱いていた。華峰高校の入学後は、熱烈なアプローチを繰り返すようになる。大五郎を介して桜へラブレターを送るが、ラブレターが長すぎるだけでなく愛情が重すぎたために、その後何度送っても返事をもらえずにいた。この現状を変えるべく桜をデートに誘い直接告白するが、ふられてしまった途端に性格も別人のように乱暴になり、桜と大五郎を困らせた。翌日、二人に謝罪したが、その時にはもう桜への恋愛感情もなくなっていた。

生徒会長 (せいとかいちょう)

華峰(かみね)高校の生徒会長を務める女子。前髪を眉が隠れないようにM字型に切り、腰の高さまで伸ばした黒のストレートロングヘアにしている。目の高さの髪の毛の一部だけが、動物の耳のようにはねている。非常に小柄な体型で、下級生に対しても敬語で接する。まじめな性格で、何に対しても公正な立場を取っている。映画研究部の設立を認め、校内に置かれたままになっている古びたバスを彼らの部室として提供する。しかし、そのバスを映画研究部員たちが勝手に運転しているのを目撃して激怒し、廃部にしようとした。その後、榎久大五郎からバスの運転は映画撮影の一環であると説明されたことで、完成品を見せることを条件に廃部を撤回した。そして完成した「燃えよ恋龍」を観るが、これを機に映画研究部への関心はなくしてしまう。プロレスが特技で、自分より恵まれた体格であっても平気で投げ飛ばしてしまう。

(くすのき)

映画やCMの監督を務める女性で、年齢は20代。華峰(かみね)高校の卒業生でもある。前髪を目の上で切って真ん中で分け、胸の高さまで伸ばしたロングウェーブヘアにしている。目が細く、いつも目を閉じているように見える。裏表のある性格で、目上の人や役者には非常に温厚に接するが、目下の人には乱暴な口調で話す。榎久大五郎たちとは、自分が監督を務めるピーナッツのCMに、大五郎たちがカメラ代を稼ぐためにエキストラとして参加したことがきっかけで知り合った。その際、生意気な態度の大五郎と清瀬海に腹を立て、何度も危険な爆破シーンに参加させた。しかし、打ち上げで大五郎たちと改めて話した際、大五郎が映画制作を始めたきっかけが、自分の作品「夏」であることを知る。そこで大五郎を応援することを決め、後日新しいカメラをプレゼントした。酔っぱらうと、すぐに服を脱いでしまう。

その他キーワード

燃えよ恋龍

華峰(かみね)高校映画研究部が制作した映画。榎久大五郎たちが高校1年生の春に撮影・上映した。ジャンルは恋愛アクションで、主演は琴弾桜、相手役は男装した所茶々が務めた。ストーリーは、極端に異性にもてることを気に病む桜演じる主人公が、茶々演じるヒーローに告白するがふられてしまう。ヒーローから、自分よりも強い女性になれば交際してもいいと言われた主人公は、清瀬海演じる陳老師の力を借りて修行を開始。最終的に見事ヒーローに勝利するが、彼にはほかに思いを寄せる女性がいることを知る。上映時間は15分。

密着! 赤点少女 (みっちゃくあかてんしょうじょ)

華峰(かみね)高校映画研究部が制作したドキュメンタリー映画。榎久大五郎たちが高校1年生の夏に撮影・投稿し、主演は琴弾桜が務めた。ストーリーは、高校1年生の1学期の中間テストで全教科赤点を取ってしまった桜が、追試で無事合格するまでを記録した内容になっている。動画投稿サイト「Yuh Tube(ユウチューブ)」に3回に分けて投稿されたが、再生数は芳しくなかった。

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