〇なにが問題だったのか?
「善悪の定義づけ」に尽きます。
創作物ならばその作品世界の中で善悪の価値観が必ず定義されているものです。
それさえ定義されていれば、例え主人公が悪逆非道であっても「これは悪い行いなのだ」と
読者は安心して物語を読み進める事が出来ます。
擁護派は「この作品よりも酷いイジメを描いた作品はあるのに、なぜこの作品ばかりを責める
の?」と言いますが、それらの作品についてはその定義がしっかりと作品内でつけられている
ので問題にはならないのです。
「聲の形」にしろ「ミスミソウ」にしろ、その中でイジメというものが「悪」「人の業」として
しっかり定義されています。
本作は物語の構造上、特に第一話において「イジメ」を定義出来ていません。結果としてイジメが
あって当然の世界として描かれており、読者はそこにまず強烈な違和感を覚えます。
作者の最大の誤算は、イジメを身を持って体験した人がこの世の中には相当数いるという事実に
気づけなかった事ではないでしょうか。イジメを体験した人々からすればそれが恋心を持つに
至るという示唆はあり得ないし考えたくも無いものです。
「イジメ」の本質とは「存在否定」です。対してこの作品からにじみ出る作者の「イジメ」への
イメージは「ツンデレの最上級」なのでしょう。ファンも作者と同程度の認識だと感じます。
「こんな青春を送ってみたかった」というファンのツイートを見た時は頭を抱えてしまいました。
最後まで読み終えて、作者はその人生の中でイジメを経験せずに済んだ幸せな人だったと確信します。
(もしもイジメの経験があるというのならその経験を生かせない創作者として致命的な欠陥があることになります)
そして我々経験者は、イジメを知らない人々がこの程度の認識であることを思い知らされ、出版社には
良識の低さを露呈され、更にはこれを支持・擁護する人々が現れるという現実にただただ愕然とするのです。
「イジメ」の社会認識がこの程度であることをこの作品は図らずも浮き彫りにしてしまいました。
〇純粋に作品のみの評価
キャラ・(境遇などの)設定・仕草・ポーズ・リアクション・セリフの一言一句に至るまで全てどこかで
見た既視感。二次創作とまでは言いませんが同人誌だからこそ通用する作家さんだったろうと思います。
擁護派が第一に挙げる「絵がかわいい」が全てでしょう。絵がかわいくもなく好みでもなければ、これほどまでに
擁護される作品にはならなかったと確信します。
同人・ライトノベルしか読まない世代には、主人公の言動・行動がストレートに響くようですが、他の表現にも
触れて人生経験が多少ある人間ならば、この作品の登場人物の重要局面での言動・行動にイチイチ納得出来かね
ます、「え?なんでそうなるの?」と。借り物の言葉は使いどころを間違え全てが薄っぺらい。
作品は作者の経験から来る人生観が露骨に出ます、「作者の人格否定」なんて言葉も出てますがつまりはそういう事です。
〇pixiv・KADOKAWAについて
さて、この作品がpixiv・KADOKAWAの専有媒体で編集者と共に一から作られていたならばまず日の目は見な
かったでしょう。
最近は売れている同人作家・Web作家の作品を拾ってきては本だけを出すという流れが定着しつつあります。
この方法ならば責任は作家に集中します、まさにこの作品などそのパターンです。
今後もこのやり方は増えていくでしょうし問題作も同様に増えていくでしょう。
そうなった時にこのご時世です、「表現規制」派が見せしめに引き出す作品に事欠かない事態になるんではないでしょうか。
同人での価値観というのは一般の価値観とは大きくかけ離れていることを改めて思い返すべきです。
「幼児性愛」「レイプ」「近親相姦」「快楽殺人」「人肉食」と言った本来重いはずのテーマが「ご飯おかわり~」
みたいなノリで描かれ、(未成年者含めて)売買される世界です。一般の人々からは距離を取るべきものなんです。
300万PV、400万PVと宣伝を打っていましたが、この内の何割かは「あの作品もう打ち切りになったかな?」
「なぜまだやっているの?」という否定派の数字が多数含まれていることをお忘れなく。
出版社はそろそろ数字の大きさだけでなく数字の内容を見れるようになってください。
この後に及んでpixivが第二巻の広告を打って出たのには溜息が洩れました。。
〇最後に作者さんへ
普通は漫画なんて「無関心」か「好き」のどちらかですが、この作品に関しては「読んだ人が傷つく」というけっこう
珍しい現象が起こりました。長く漫画を読んできましたがなかなか無いです。
おそらくあなたも傷ついたでしょう。レビューは読まれていないと思います。
それでも、これほどまでになって尚あなたには何千人もファンがついています。この出版不況の中、軽く炎上しても
出版社は売れると判断し2巻も紙本で出版されました。
身の丈に合ったテーマならば商業作家としても成功なさると思います。
でもいつかは私たちのレビューを見てください。

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いじめっ子といじめられっ子のビターな恋物語 2 (ジーンピクシブシリーズ) コミック – 2018/1/27
十虎
(著)
このページの読み込み中に問題が発生しました。もう一度試してください。
――わたし 今、結城くんに…キスされた…!?
いじめられっ子の雪音、彼女をいじめる奏汰。
ある日、二人の親が再婚し、一つ屋根の下で暮らすことに。
小田切のおかげで逃げずに立ち向かうと決めた雪音だったが、家族旅行で奏汰と二人部屋になり――!?
いじめられっ子の雪音、彼女をいじめる奏汰。
ある日、二人の親が再婚し、一つ屋根の下で暮らすことに。
小田切のおかげで逃げずに立ち向かうと決めた雪音だったが、家族旅行で奏汰と二人部屋になり――!?
- 本の長さ164ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2018/1/27
- ISBN-104040696174
- ISBN-13978-4040696171
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2018/1/27)
- 発売日 : 2018/1/27
- 言語 : 日本語
- コミック : 164ページ
- ISBN-10 : 4040696174
- ISBN-13 : 978-4040696171
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中3.4つ
5つのうち3.4つ
10グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中にエラーが発生しました。ページを再読み込みしてください。
- 2018年3月18日に日本でレビュー済み作品を読んでどう感じるかはその人の自由なので否定はしません。
私個人としては、二巻で終わるのは勿体無い作品だなと感じてます。
絵の可愛さと、話のテンポ、まとまり方、今後への期待を込めて星4をつけました。
以下、ややネタバレありの感想です。
いじめの描写が酷すぎると批判的な言葉が多いですが、こういう作品は以前からありますし、単純にいじめっこといじめられっこという設定なだけで、作品のテーマはいじめではないと、私は思っています。なので、いじめの描写は可愛らしい絵とコミカルなテンポで緩和し流してる感じかなと、その程度にしか感じず、不快感はそれほどないです。
二巻でやっといじめっこの男の子の心に変化が起きて、主人公も前向きになって、これから物語が恋の話へと深く進んで面白くなるのかなと思っていたので、おわりが消化不良で残念です。もっと二人の続きが読みたかった!(批判的な言葉が多くて打ち切りになってしまったのだったら、作者様も本当に本当にやりきれないですよね)
個人的には、いじめっこの男の子の細かい描写(下駄箱で小さく呟くところや、最後に涙を流して走っていくところなど)が切なく描かれていて、うまいなぁ~って思いました。
- 2018年2月18日に日本でレビュー済み男性主人公から女性主人公への手ひどい虐待描写で炎上している本作ですが、
これを性別逆転させてヒロインから男性主人公への理不尽なイジメ・暴力描写となると、なぜかラブコメでは一般的な、ありふれたものとして扱われているんですよねぇ。
男性が女性を虐げる描写だとこのレビュー欄のようにみんなから叩かれるのに、なぜかラブコメで理不尽暴力ヒロインが主人公を虐げる描写は非難されない、むしろ「萌え」などともてはやされるという不思議。
どうやら、日本は男性から女性へのハラスメントは厳しく指弾されるのに、女性から男性への理不尽暴力は甘く許されてしまう女尊男卑社会になってしまったようです。
この本で男性主人公がヒロインに加えている暴力・イジメ描写にお怒りの方々は、ラブコメにおけるヒロイン⇒男性主人公への暴力描写にも思いをはせ、それも許されないことであると憤っていただきたいものです。
- 2018年1月31日に日本でレビュー済み1巻を読んであまりの内容に怒りがこみ上げてきた。
私は残虐的・猟奇的な作品は好む方だが、それとは方向がズレている。
強姦魔が被害者家族の前で開き直り、雄弁にジョークを言い放たれるようなう感覚に陥った。
一旦落ち着いて、もう一度読み直してみると
絵は可愛く描けているのに、内容と作画の表現が噛み合っておらず、
原作が別にいるのか?と思った。
調べているとこの作者は元々
「いじめっ子といじめられっ子が一つ屋根の下で暮らす話」
というタイトルでweb連載しており、それがpixivで商業展開されてから出版されたものだった。
web版の方はネット漫画ではよくあるノリで、特に違和感は感じなかった。
すぐに「ああ、こういう感じが描きたいんだな」と理解した。
不快だとも全く思わなかった。
web版のシーンは商業版に全て描かれており、ストーリー上の違いは無い。
そうなってくると、何故最終的にこのような形になったかは容易に想像がつく。
MFC ジーンピクシブシリーズの傾向を見てみると、中高生女子寄りの作品が多い。
ターゲットのニーズに合わせ、絵柄を可愛く・表現をコミカルに・少し病的でありつつも親しみやすい表現に。
タイトルも女子の好むワードに変更。
ページ数を補うために大人達とのやりとりを増やし、イジメに悩むシーンを追加(勿論コミカル風)。
空白のシーンを補完することによって、
本来心の闇が垣間見えたイジメっ子は、より分かり易いキャラクターになった。ただのゴミ野郎へ。
心を押し殺し、笑って誤魔化していたイジメられっ子は、一切共感できないサイコパスへ進化した。
結果、人間の体と心を弄ぶ最も卑劣な犯罪行為を「どんなネタでも恋になっちゃえば関係ない!」と笑顔で言い放つような狂った作品の完成である。
恐らくであるが、好きで自分の描きたい絵や漫画を描いていただけの、まだ何も分かっていない作者と
編集側の「このノウハウに当て嵌めとけば商業作品っぽくなるだろう」という最低の行為との化学反応によって、
この作品は出来上がったのだろう。
加害者側との恋愛はストッックホルム症候群が有名なので、本来はそれほど騒ぎ立てる事では無いはず。
ここまで叩かれる原因は、イジメという問題を扱っておりながらも内容から感じられる「無自覚」さであろう。
「イジメ?違いますよ。ただ遊んでいるだけです」
「ほら、本人もそんなに気にしていなさそうでしょ?」
担当を信じて言われるがまま書き直したのであろう事から、本当に無自覚だったと伝わってくる。
「聲の形」のような加害者が自分の行為に罪を感じ、向き合っていく中で相手との関係に変化が生まれて行くようなストーリーのはずなのに、描写がズレているのだ。
更に、「こういうのがどうせ受けるんだろ。読者は全員馬鹿だし」という売り手の思惑も丸見えになっている。
中身が透けたオブラートに包まれているのがより腹立たしい。
まだ先のあった作者はこの作品によって二度と評価される事は無くなった。
担当者・編集は悔い改めるべき
絵は可愛く描けているので、活動を続けるのなら名前を変える事をオススメする。
- 2021年11月9日に日本でレビュー済みまだこの作品存在してたの?もう消えて欲しい。それだけが望みです。
ウワサだと桐谷というペンネームで活動を再開したらしい。
別にイラストだけなら構わないからもう漫画は描かないでくれ。