ヤングジャンプで連載されているショートコメディ漫画です。
「誰かの会話に聞き耳立てる」という漫画は電車内でJKがダベるだけのヤツ。 (カドカワデジタルコミックス)(以下、電ダベ)を髣髴とさせます。
【舞台はレストラン】
主人公はどこにでもいる普通のサラリーマンで仕事疲れでファミレスに寄るのが日課。
そこには見た目は不良だが何気ない会話をする「ファミリヤン」の溜まり場。
そんな彼女たちの話に聞き耳を立てて癒される…というのが1話での流れですが、電ダベを知ってるとどうしても比較してしまうのが玉に瑕です。
唯一の違いはショートか4コマかぐらいです。あと舞台が電車かレストランか。
【ギャグ漫画としてのキレ】
正直に言ってしまえばギャグ漫画としてのキレは弱いです。
ネタの構成で笑わせようというより、勢いで笑ってもらおうという感じが強く出ています。
サラリーマンが話のギミックを司っているわけでもなく、本当に話を聞いているだけ。
掲載誌故かちょっとエロいネタの回もありますがまぁ、そこは雑誌の色なので別にいいかなと。
【優良不良のバーゲンセール】
話が進むにつれて感じるのは「彼女たちは不良である必要があったのだろうか」という点です。
やりとりが普通の女子高生と何ら変わりませんし、「見た目不良だけど中身は純粋」であるギャップも最初は新鮮味がありますがそれまでです。
唯一の不良っぽい迷惑行為が11話のレストラン内での大騒ぎ(それも何故か咎められてませんが)と13話のサボタージュぐらいです。
「普通の女子高生グループの中に1人ぐらい見た目が不良だけど良い奴がいる」のであればそれはそれでギャップとなり、作品の良いアクセントとなったのですが、この漫画では「登場するメインキャラクターがサラリーマンを除いて不良のみで尚且つみんな良い子」なのでギャップ狙いが続かないところが残念だと思いました。
因みにサラリーマン以外の男性キャラとして「タカ」がいますが彼の出番は1巻中では2回しか登場回がありません。扱い辛かったんでしょうか。
【そもそもサラリーマンが彼女たちの話を盗み聞きする漫画では？】
舞台はレストランと書きましたが既に5話の時点でレストラン内にいないし、9話では話の8割が路上です。
サラリーマンがまるっきり登場しない回(12話-14話)がある時点で「優良ガールズトーク盗み聞き」というコンセプトが崩れてしまっています。
電ダベでは必ずサラリーマンの関口が登場し、主人公たちの話題に心の中で「賛同する」「突っ込む」「疑問を投げかける」というコンセプトを守っていたというのに……
こういった話がある時点で「別に不良でなくても」「別にレストランじゃなくても」「別にサラリーマンがいなくても」という負の感想を持ってしまうのは否定できません。
このような「コンセプト崩し」が発生してしまうと作品の「質」が落ちてしまうと個人的に考えています。
【最後に】
レストラン版「電ダベ」をやろうとしたら思いのほかスベってしまったショート作品。
この作品がどれくらい続くのかは分かりませんがショートとしても、キャラものとしても中途半端なのが残念の一言に尽きます。
雑誌掲載時とコミックスでサブタイトルが違います(例：雑誌5話「暴威 魅逸 我愛流(ボーイミーツガール)」 単行本5話「想像(イメージ)だけじゃ測れないヤン！」)がここに手を加えてもあまり意味が無いのでは……
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