PとJKが結婚なんてとんでもない設定だったり、笑いの要素ももりだくさんな割に、それぞれの登場人物のもつ事情がシリアスなことが多い本作。過去にもDVを受けても母を守ろうとする大神くんや、おそらく父親に売りを強要されていた唯などといった重い内容を、作者さんは敢えて描いているのだと感じていました。
今回は殺人事件の被害者家族である功太とその加害者のお話。
父親が殺された過去から解放されずにいる功太の苦しみ、葛藤、弱さがどんどん彼を闇へと引きずり込んでいくのですが…。
たかだか１７～１８歳のカコに何を背負わせようっていうのよ、功太君！というのが私の最初の印象。功太もまだ２０代半ばの悩める青年なので、一番近くにいるカコにすがりたい、甘えたいと思うのは当然なのですが、カコはまだようやく自分の人生を考え始めた高校生だよ～。
カコの行動に批判的な読者さんもおいでのようですが、私はふたりで一緒に闇に落ちてどうする、と考えます。カコは世間知らずでおバカだけど、肝の据わった器の大きな女だと思っています。そんなカコだから大神君や唯ちゃんは救われたのではないでしょうか。一見無鉄砲だったり、無神経だったりする直情的な判断の中に「なんだか分からないけどこっちの方が幸せだ、だから行く」というカコの大きな決断があるように思います。
このエピソードはこれからが佳境だと思うので、あくまでこうなったらいいな、という考えで書いていますが、きっとカコの中にあるドーンとした部分に功太は救われるのではないでしょうか。
まだ高校生の世間知らずでおバカなカコがたくさん考えうんと成長し、ダークサイドに落ちそうな功太さえも引き戻し、柔らかく受け止めてくれるといいなと思い、次巻に期待します。
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