おれは鉄兵

おれは鉄兵

全国を転々としながら宝探しをする自由奔放な父親に育てられた上杉鉄兵。枠にとらわれない野生児・上杉鉄兵が、竹刀をその手に剣道で大暴れする痛快学園もの。第7回講談社出版文化賞児童まんが部門受賞(1976年)。

正式名称
おれは鉄兵
ふりがな
おれはてっぺい
作者
ジャンル
剣道
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概要・あらすじ

明泉の山中で、父親と一緒に財宝発掘に明け暮れる野生児・上杉鉄兵。学校にも通わず、畑から作物を失敬したり、ダイナマイトで警察署を吹き飛ばしたりと破天荒きわまりない親子だったが、実は東京の名家の出身だった。十二年振りに連れ戻された鉄兵は、名門校王臨学園に編入させられる。剣道部に入部し、剣道で頭角を現す鉄兵だったが、学力、素行ともに不適格と見なされ退学処分となってしまう。

上杉鉄兵の剣道の腕前を知るライバル校東台寺学園からの手招きで、東台寺学園剣道部へと入部した鉄兵は関東中学高校選手権大会に出場し、強豪校を相手に破竹の勢いで勝利していく。

登場人物・キャラクター

上杉 鉄兵 (うえすぎ てっぺい)

赤ん坊の頃から父の埋蔵金探しで日本全国を転々とする野生児で、十二年ぶりに父の実家である上杉家に帰った。まともに育っていれば中学二年生。周囲の状況にお構いなくわき見をしたり振り向いたり道草を食ったりと、己の道を己の歩幅で歩く性格。ただし、一度目標を見つけて行動を起こすと、周囲が驚くほどの粘り強さと集中力を見せる。 上杉家の子どもということで、名門の王臨学園中等部へと編入される。ふとしたことから剣道部へ入部し、実力を発揮する。人の欠点を見つけ出すのが天才的に上手く、相手を挑発して判断力が鈍ったところでとどめの一撃を食らわせるのが定番の戦法。しかし、学力、素行ともに不適格と見なされ退学。その後東台寺学園剣道部主将の招きもあって同学園中等部二年五組、通称、戊組(ぼぐみ)に編入。 関東中学高校選手権大会にて目覚ましい活躍を見せ、団体戦・個人戦ともに優勝へと導いた。

中城 (なかじょう)

養護施設樅の木学園の学園寮に入寮しており、学園寮の子どもたちからは「おっきいちゃん」と呼ばれて親しまれている。野生児にも等しい上杉鉄兵を相手にケンカし、一歩も引かない肉弾戦を繰り広げるタフな男。剣道全国大会中学生部門昨年度の優勝者で、現在は東台寺学園剣道部の高等部に在籍。 鉄兵が剣道を始めるきっかけとなった。山火事事件で三ヶ月の停学を食らった鉄兵たちに期間の終了を告げに来るが、自らの意志で財宝発掘の仲間に加わった。

上杉 広美 (うえすぎ ひろみ)

上杉鉄兵の父。荷物に紛れ込んだ幼い鉄兵とともに十二年前に家を出たが、以前は大蔵省の主計局に勤める役人だった。吉野大尽の埋蔵金を掘り当てようと、鉄兵と二人で来る日も来る日も穴を掘り続けている。落盤事故に遭い土砂に押しつぶされ即死したと思われたが生きていた。上杉家に連れ戻されたあともたびたび家を抜け出し、埋蔵金探索事業に執念を燃やす。 発掘途中だった青森の明泉に戻り、鉄兵らの手助けも借りてついに安倍氏一族の財宝を掘り当てる。その財宝を軍資金に砕氷船を購入。子どもたちとともに七つの海へと旅立つ。

おばあさま

広美の母で上杉家の現当主。高齢ながら広美をやり込める体力と気迫を持つ豪傑。なぎなたを振り回し、上杉鉄兵を追いかける。礼儀を知らず粗野な振る舞いをする鉄兵を厳しくしつけるが、鉄兵の器の大きさを認めている。

お母さま (おかあさま)

上杉鉄兵の母。十二年振りに再会した鉄兵の振る舞いに卒倒することも多いが、ほかの兄弟と同じように愛情を注ぐ。

上杉 憲一 (うえすぎ けんいち)

上杉鉄兵の兄。上杉家の長男で眼鏡をかけている。東京大学の法学部に合格し通っている。

上杉 百合子 (うえすぎ ゆりこ)

上杉鉄兵の姉。双子の姉で、黒髪のロング。王臨学園高等部に通っている。外語大を目指している。

上杉 桃江 (うえすぎ ももえ)

上杉鉄兵の姉。双子の妹で、ショートカット。王臨学園高等部に通っている。百合子と同じく外語大を目指している。

上杉 義行 (うえすぎ よしゆき)

上杉鉄兵の兄で、上杉家の次男。東大の経済学部を狙っている。

上杉 可奈子 (うえすぎ かなこ)

上杉鉄兵の妹で、広美が鉄兵と一緒に家を出た後に生まれた末っ子。王臨学園小学部に通っている。鉄兵の破天荒な振る舞いに絶句するものの、年が近いせいもあってか「鉄兵にいちゃん」と呼んで一番親しみを抱いている。

佐藤先生 (さとうせんせい)

王臨学園中等部の先生で、上杉鉄兵の担任。礼儀やしつけにとても厳しい。

岩佐先生 (いわさせんせい)

樅の木学園の園長先生。一昔前には「北陸に岩佐あり」とうたわれた剣の達人。

明泉寺住職 (めいせんじじゅうしょく)

樅の木学園の学園長の一番弟子。剣道は現役五段の実力者。

曽根先生 (そねせんせい)

王臨学園剣道部の部長。一見すると温厚そうなお年寄りめいた外見から、上杉鉄兵は用務員と勘違いしていた。「関東に曽根あり」とうたわれた剣の達人。

吉岡主将 (よしおかしゅしょう)

王臨学園剣道部主将。得意の下段、地ずり八双の構えから繰り出す技で都の大会で準優勝した。おだてられると結構その気になるタイプで、そのことを上杉鉄兵に見抜かれている。鉄兵の実力を高く買っているが、勝負のためになりふり構わない試合姿勢には憤りを感じている。なにかと鉄兵の身を案じて、勉強を見てやったり、東台寺学園に編入した鉄兵の様子を見に行ったりした。

脇坂主将 (わきさかしゅしょう)

東台寺学園剣道部主将。王臨学園との対抗戦で上杉鉄兵と剣を交え、その実力を高く評価していた一人。王臨学園を退学処分となった鉄兵を拾い、東台寺学園剣道部へと編入させた。鉄兵にいいように振り回され、剣道部員からの信頼と威厳は若干低下しつつある。短気だがそのことを自覚もしており、気持ちを鎮めようと努める。 かなりの甘党で、トコロテンなどはすっぱい匂いを嗅ぐのも嫌なほど苦手。

諫早 (いさはや)

東台寺学園柔道部主将。脇坂がセッティングした上杉鉄兵の歓迎会において、鉄兵のいかさまバクチで、なけなしの小遣いを巻き上げられそうになった。そのため鉄兵に対し強烈な不信感を抱いており、編入試験当日も鉄兵がいかさまをしないか徹底的に疑う。鉄兵からは「オカナマズ」というアダ名をつけられている。 関西出身。生徒に対して高圧的な石渡先生を翻弄する鉄兵の様子に、次第に共感を抱いて応援するようになる。

田村 貞義 (たむら さだよし)

東台寺学園二年一組。上杉鉄兵と同室の生徒。裏山でのたき火が原因で山火事を起こし、鉄兵ともども三ヶ月の停学処分となる。その間、鉄兵の父の元で埋蔵金探索につき合う。

権田 幾太郎 (ごんだ いくたろう)

東台寺学園二年四組。上杉鉄兵と同室の生徒。裏山でのたき火が原因で山火事を起こし、鉄兵ともども三ヶ月の停学処分となる。その間、鉄兵の父の元で埋蔵金探索につき合う。

磯田 篤 (いそだ あつし)

東台寺学園二年二組。上杉鉄兵と同室の生徒。裏山でのたき火が原因で山火事を起こし、鉄兵ともども三ヶ月の停学処分となる。その間、鉄兵の父の元で埋蔵金探索につき合う。

但馬 創一 (たじま そういち)

東台寺学園二年戊組の生徒で、上杉鉄兵の隣の席になった。五年も落ちこぼれ続けている戊組の級長で、見た目がおじさんっぽい。ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』を愛読しており、「ニーチェ」のアダ名で呼ばれている。閻魔の森にこもって訓練に励む鉄兵の意気を買い、特訓の手伝いをする。 裏山でのたき火が原因で山火事を起こし、鉄兵ともども三ヶ月の停学処分となる。その間、鉄兵の父の元で埋蔵金探索につき合う。

加納 (かのう)

東台寺学園二年戊組の生徒で、但馬と同じく五年留年している。転入早々ケンカ騒動になった上杉鉄兵に対して恨みを抱いており、閻魔の森で対決し負ける。執念深く、その後も鉄兵の動向を伺うが、剣道部で上級生を試合でやり込める鉄兵の活躍に、自然と声援を送るようになる。裏山でのたき火が原因で山火事を起こし、鉄兵ともども三ヶ月の停学処分となる。 その間、鉄兵の父の元で埋蔵金探索につき合う。

パッチ

東台寺学園二年戊組の生徒で、常にアイパッチをしていることから「パッチ」と呼ばれる。裏山でのたき火が原因で山火事を起こし、上杉鉄兵ともども三ヶ月の停学処分となる。その間、鉄兵の父の元で埋蔵金探索につき合う。

石渡先生 (いしわたりせんせい)

東台寺学園戊組の担任であり、剣道部の部長も務める。アダ名はカバッチョ。六段の実力者。生意気な上杉鉄兵をやり込めようとあの手この手でシゴきまくる。

香山ヒロ子先生 (かやまひろこせんせい)

東台寺学園保健医。しょっ中大けがをしてやって来る上杉鉄兵に呆れている。怒らせると怖いが、生徒の身を案じている。

園長先生 (えんちょうせんせい)

東台寺学園の学園長。住職。上杉鉄兵に興味を持ち、一次試験の基準点に達しなかった鉄兵を合格と見なし、特別に面接を実施した。関東中学高校選手権大会中等部剣道団体戦初優勝に興奮し、急遽試合会場まで駆けつける。

三浦 (みうら)

王臨学園剣道部中等部所属。上級生と下級生の対抗戦で下級生代表に選ばれた一人。奈真子というガールフレンドがいる。あまりにも厳しい上杉鉄兵の方針に反発し離反。鉄兵にプールに叩き込まれ風邪を引く。

麻生 淳子 (あそう じゅんこ)

王臨学園中等部二年生。上杉鉄兵の後ろの席にいるカワイ子ちゃん。鉄兵に気に入れられ、なにかと声をかけられるが恥ずかしがっている。

菊地 文武 (きくち ふみたけ)

関東中学高校選手権大会優勝候補の新里工業剣道部中等部大将。中学二年生で出場した全国中等部大会でベスト4に残った。鹿島にある実家・円道流道場は、近代剣道の祖として名高い鹿島新当流の流れを汲む家柄。剣先をひきずりながら接近しつつ続けざまに上段から振り下ろし、激しく床に叩きつけた反動で下から胴に打ち込む「風車」が得意。 東海中学の辻堂を下し優勝戦に進出するが、四人抜きを果たした上杉鉄兵と引き分け敗退する。個人戦はシード出場。決勝戦では二刀流で挑んできた鉄兵と対戦。逃げ場を失った相手がやむなく反撃してくる一瞬の間を逃さず面に打ち込む「木の葉落とし」で追い込むが、鉄兵が繰り出した「風車」で逆襲を食らい敗れる。

桃井 (ももい)

関東中学高校選手権大会出場校の赤城中学剣道部大将。菊地をもおびやかす実力者ながらニコニコ顔を絶やさない。団体戦の準優勝戦で東台寺学園と対戦。守りにかけては関東随一を誇るが攻め足はちょっと遅い。上杉鉄兵の腕前に笑顔が消え鋭い動きを見せるが、しぶとく肘と膝に打ち込みを食らい敗れる。 個人戦はシード出場。準優勝戦で菊地と対戦し、二本負けを喫した。

辻堂 (つじどう)

関東中学高校選手権大会出場校の東海中学剣道部の大将。体格の良さに加えてスピードも併せ持つ。団体戦で王臨学園中等部と対戦し勝利。準決勝戦で新里工業の菊地と対戦し敗れる。個人戦はシード出場。準優勝戦で上杉鉄兵と対戦し敗れる。

栗林 (くりばやし)

関東中学高校選手権大会出場校の音羽川中学大将。団体戦の四回戦で東台寺学園と対戦。三人抜きを果たすも、体力を消耗したところで大将の上杉鉄兵と対戦し敗退する。個人戦はシード出場。鉄兵と再戦し、再び敗れる。

集団・組織

王臨学園 (おうりんがくえん)

『おれは鉄兵』に登場する架空の学校。小中高の一貫校。優秀な上杉家の子どもたちが通っていることから上杉鉄兵も編入させられる。鉄兵の影響で飛躍的に剣道部の実力を底上げするが、あまりの学力不振、素行不良から鉄兵を退学処分にした。

東台寺学園 (とうだいじがくえん)

『おれは鉄兵』に登場する架空の学校。全寮制の男子校で、中高一貫。剣道部は恒例の対抗試合を王臨学園と行っている。明治四十年代に創立された名門校で、王臨学園を退学処分になった上杉鉄兵は、編入試験を受けた上でこの学園に編入する。裏山のたき火の不始末で山火事を起こしてしまい、上杉鉄兵らは三ヶ月の停学処分を食らった。

アニメ

おれは鉄兵

主人公の上杉鉄平は埋蔵金発掘を生業とする父・広美とともに自然の中で破天荒に育っていたが、実は彼は名家の息子だった。無理矢理編入させられた東京の学校で悪戦苦闘する鉄平はやがて剣道と出会い、急速にその実力... 関連ページ:おれは鉄兵

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