モジャ公

モジャ公

宇宙を舞台とした少年向けSFアドベンチャー作品。作者の藤子・F・不二雄が自ら「『21エモン』の二番煎じです」と解説しているが、「自殺フェスティバル」や人類滅亡を騙ったカルト教団の詐欺事件など、発表当時の少年漫画としては、過激とも言える題材や表現も散見される作品。

正式名称
モジャ公
ふりがな
もじゃこう
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
ギャグ・コメディ
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概要・あらすじ

ごく平凡な地球の少年である天野空夫は、もっと体の熱くなるような刺激を求め、漠然と家出を考えていた。そこを冒険する仲間を探しに地球へやってきたモジャラドンモに目をつけられ、宇宙への旅に出ることになる。しかし「愉快で自由気ままな旅」のはずが次々と予想外の事件やトラブルに巻き込まれ、結果的には命がけの冒険を続けていく。

登場人物・キャラクター

天野 空夫 (あまの そらお)

地球人の少年。藤子・F・不二雄の少年向け作品の主人公には珍しく、一人称は「おれ」となっている。腕力では敵わないピテカンにケンカで挑戦を続けるなど、向こう見ずででたらめな性格。退屈な日常から抜け出したいと考えていたところ、偶然モジャラとドンモの目に止まり、宇宙への冒険の旅に誘われる。 あまりに飛躍しすぎた誘いを一度は断るが、日常に戻ったとたん母親に叱られたのをきっかけに、あっさりと旅立ちを決意する。本人は至って平凡な少年だが、他の惑星人には「地球人は野蛮人の星」と思われているために宇宙の凶悪犯からも恐れられたり、コンピューターが発達しすぎて自分で計算ができなくなっている異星人の前で暗算を披露して一目置かれるなど、思わぬことから存在感を増していくことが多い。

ドンモ

『モジャ公』の主要キャラクターのひとり。モジャラの相棒であるロボット。天野空夫を加えた3人で宇宙の冒険旅行を続ける。通常とはひらがなとカタカナが逆転した表記のせりふが特徴。ロボットではあるが人間のような豊かな感情を持ち、自分を組み立てた工業用ロボットを「オッカサン」と呼ぶ場面も見られる。アクシデントによって頭部を強打した場合にのみ高性能を発揮し、それが危機を脱するきっかけとなることも少なくない。 一人称は「ワタシ」。

モジャラ

『モジャ公』のもうひとりの主要キャラクター。宇宙人。ロボットの相棒・ドンモと共に天野空夫を仲間に引き入れ、3人で冒険の旅を続ける。毛玉のような体から三本指の単純な短い手足が出ているだけの外観が特徴。しかし非常に気は強く、プライドも高い。また、美しい女性には目がなく、行く先々の惑星ですぐに一目惚れをしてしまう。 ときおり自分の意志とは無関係に予知能力が働くことがあり、その的中率は100%となっている。他にも舌を伸ばして手のように使ったり、口の中に大事な物を隠しておくといった特技も持つ。一人称は「おれ」。愛用のロケットは「名なしのゴンベ号」。月賦で購入した50年前のクラシックタイプ。いわゆる“オンボロ”である。その後やむを得ぬ事情から、さらに旧式の300年前のロケットに乗り換えることになる。

モナ・モナシス

コスカラ星で天野空夫たちと知り合った女性。宇宙的規模の大富豪の娘。最新型のロケット「エスメラルダ号」で宇宙を気ままに旅し、恐竜ハントのゲームや「アステロイド・ラリー」に参加するなど、行動的でスリルを好む性格。本作が単行本化される際、「地球最後の日」のエピソードが最終話とされると共に、ラストに天野空夫たちの冒険心を肯定し、ふたたび冒険旅行へと誘う役回りが加筆された。

オットー

悪名高い詐欺師の宇宙人。オットセイに似たルックスで、関西弁に似た口調が特徴。フェニックス星でプロデュースした「自殺フェスティバル」で天野空夫たち3人の生命を危機に晒したり、地球滅亡を騙って「ノア教」なるカルト教団を運営するなど、金儲けのためには手段を選ばない悪辣な人物。

タコペッティ

タコのようなルックスの宇宙人。ドキュメンタリー専門の映画作家。代表作は『宇宙残酷物語』。真実を求め、自ら危険なエリアへ撮影のために足を踏み入れるため、体のほとんどの部位が交換手術によって新しいものに置き換わっている。また、危険を察知すると口がとがる体質を持つ。フェニックス星で天野空夫たちと知り合った際には、「自殺フェスティバル」を記録するために彼らの逃亡を阻止するが、おそらく地球と思われる「同じ星の人間同士で殺しあう野蛮な星」の記録映画「宇宙マル秘地帯」予告編を上映したことからフェニックス星の人々の興味がそちらに向き、天野空夫たちを助けることになった。 その縁で、シャングリラ星の探検にも彼らを同行させて撮影に挑む。

ムエ

非常に長寿なクエ星出身の宇宙人。天野空夫を「父の仇」として付け狙う。テレポートやテレキネシス、さらに透視能力などの超能力を持ち、天野空夫たちを徹底的に追跡。伝染病が蔓延したために惑星ごと破壊されるナイナイ星にまで、自らの命を顧みずに追ってくる。 しかし、父親のヌエは、かつて地球で源頼政に妖怪の「鵺」として討ち取られたものの正体であり、人間が他の生物の個体差を見分けるのが難しいのと同じように、天野空夫を完全に誤認したまま父の敵だと思い込んでいた。なお、登場時はマスクやマントで姿を隠しているが、猿のような顔や虎のような手足など、伝承にある鵺の姿と似た特徴を持つ。

ミルル

シャングリラ星に探検に行ったまま戻らない兄を探す宇宙人の少女。天野空夫たちがシャングリラ星に向かうことを知り、同行を懇願。モジャラに一目惚れされたことが幸いして、その希望が叶うこととなる。

モクベエ

持っていた惑星を別荘地として売るなどして財を成した、いわゆる土地成金の宇宙人。岩石のような顔をしている。ハンティングが趣味。旅行資金が底をついた天野空夫たち3人を、正体不明の珍獣・ダンボコを狩りに行くガイドとして雇い入れる。何でも金で解決できると思っており、思い通りに従わない者は愛用のキセルで殴りつける。

ダンボコ

『モジャ公』「不死身のダンボコ」に登場する宇宙生物。「ダンボコー」という鳴き声以外は、姿形の目撃証言がバラバラであることから正体不明とされていたが、その実態は様々な動物に種子を寄生させて操り、極限まで満腹にさせた末に丸ごと食べてしまう食肉植物である。その影響力は、生物ばかりかロボットのドンモにすら及ぶ。 成金のハンター・モクベエと、ガイドとして雇われた天野空夫たちもその餌食とされるところだったが、モジャラの機転によって倒される。

みき

天野空夫のクラスメイトの女の子。天野空夫が好意を寄せる。しかし天野空夫が宇宙へと冒険に出てしまうため、登場する場面はごくわずかとなっている。

ピテカン

天野空夫が地球で日常生活を送っていた頃に挑み続けていたガキ大将。天野空夫を挑発し、喧嘩では99勝している。みきと同様に、天野空夫が宇宙へと冒険に出てしまうため、登場する場面はごくわずかとなっている。

場所

フェニックス星 (ふぇにっくすせい)

『モジャ公』に登場する惑星のひとつ。「自殺集団」のエピソードの舞台。特殊な放射線によって惑星の住人全員が不老不死となっている。そのため「死」が非常に珍しく、それに目をつけた詐欺師のオットーは、天野空夫たちを使って「自殺フェスティバル」という一大イベントをプロデュースし、大儲けを狙った。普段は単調な日々を送っている住人たちも、このときばかりは熱狂的となり、「自殺フェスティバル」への期待を歌った「自殺のブルース」や「自殺のスキャット」が大ヒット。 さらにイベントの入場券が買えなかった人たちが暴動を起こすまでの騒ぎに至っている。

シャングリラ星 (しゃんぐりらせい)

『モジャ公』に登場する惑星のひとつ。「天国よいとこ」のエピソードの舞台。数億年前に生物が死に絶えたはずなのに、調査隊からは「天国のよう」と報告が入り、誰も戻ることがない謎の惑星。その実態は、すでに精神体となっているシャングリラ人によって支配される荒涼とした星であり、コントロール・タワーとなっている巨大な神像が人々の精神を直接探ることによって、望む物を何でも得たかのような幻を見せる。 そして、そのまま肉体が死んだ者を精神だけの存在にしてしまう。しかしドンモはロボットであるためその影響が及ばず、真っ先に異変を目の当たりにする。また、タコペッティの記録映像にも、その真の星の姿が残されていた。

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