レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ

レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ

1970年初頭にゲリラ活動を行っていた左翼グループの「革命者連盟」と「赤色軍」が始めた武装闘争。山岳ベースで準備をしていた彼らは、「総括」という言葉と共に、リンチを次々に始める。作者の前作『レッド』は雑誌「イブニング」で2013年23号で1度連載を中断。2014年5号から新章としてこの作品がスタートした。物語は『レッド』8巻から直接つながっている。ほとんどの登場人物にはモデルになっている人物がおり、主要人物の中で、死亡する人物には順番に数字が振られている。また、登場人物がどこで捕まり、いつ刑を受けるのかの日数が、細かくカウントされて表記される。前作『レッド』は2010年、第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。

正式名称
レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ
ふりがな
れっど さいごのろくじゅうにち そしてあさまさんそうへ
作者
ジャンル
自伝・伝記
レーベル
KCデラックス(講談社)
巻数
既刊4巻
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概要・あらすじ

1971年、日本の革命を目指す「赤色軍」と「革命者連盟」は手を取り合い、「赤色連盟」を結成した。彼らは山岳ベースで革命の準備を進めていた。ところが自己批判である「総括」を繰り返すうちに、「総括」できない人間に対し、集団リンチが始まるようになった。「総括」による死者が出てからは、次々と「総括」による暴力は過激化。

指名されるのを恐れる日々が続く。作中、数字が振られた人物たちは、順を追ってリンチによって死んでいく。

登場人物・キャラクター

(きた)

いかつい顔で、裏切り者は殺さなくてはいけない、という厳しい考え方を持つ男性。「赤色軍」で獄外に残っている者のリーダー。「赤色連盟」を結成した。山岳ベースでは革命を志す人間をまとめながら、自己批判・相互批判の「総括」討論を重んじており、自らを「総括」できない人間の弱さを糾弾、縛り上げて、参加者全員に蹴る、殴るなどの行動をするよう指示を出した。 結果として次々に死んでしまうのを見て、「総括できなかった」、「精神的に敗北した」と言うようになる。

赤城 (あかぎ)

髪を短く切りそろえ、厳しく山岳ベースを取り仕切る女性。「総括」は自分たちが前進していくためにどうしても必要な行動だと信じ、北と共に努力を惜しまない。性別への意識を持つことに対して厳しく、女性的な態度を取る人物や、女性に媚びるような男性の行動を激しく糾弾する。 会議による打ち合わせをなによりも大事と考え、北の右腕となって意見を出し、行動する。

高千穂 三郎 (たかちほ さぶろう)

5番。新倉で自由にふるまっていたと北に指摘され、逃亡を考えていたことを白状する。その際「縛ってくれ」と自ら進み出るも、その要求は受け入れられず、指導として皆に腹を殴られた。「総括」の意義に疑問を叫ぶが、外の木に縛られて、1972年1月1日死亡。

薬師 (やくし)

6番。「総括」対象として縛られていた。目隠しをされ、度々不平を述べていたが、突然生気を失い、怒りの形相のまま1972年1月2日未明に死亡。

黒部 一郎 (くろべ いちろう)

7番。3人兄弟の長男で、未成年の二郎、三郎も活動している。「総括」対象として最初に暴行を受け、目隠し・緊縛された。1度は自らを「総括」する気がある、と見込まれたものの、リンチによって、弟たちの前で死亡する。

天城 (あまぎ)

8番。男を次々オルグ(勧誘)してきた闘士。逮捕された幹部政治局員の妻。女を意識している、と指摘されて「総括」の対象となる。死への恐怖がとても強く、怯えていたところ、北に自分で自分を殴るよう指示され、緊縛される。その後、逃亡の危険があるとされ、リンチを受けて死亡。

磐梯 (ばんだい)

9番。北に、態度が落ち着きが無いと指摘され、「総括」対象になる。最初はロープがゆるくて何度も締め直されていたが、逃亡をたくらんでいるとされ、肩甲骨と大腿部を木片で殴られる。縛られたまま死亡。

安達 幸一 (あだち こういち)

10番。ネルシャツを来た男性。ゲリラ活動の実行部隊の切り込み隊長。山岳ベースでも熱心に活動に打ち込み、「総括」にも積極的に参加していたが、その際の死体を殴るようにみんなに指示を出したり、リンチの際に性的な発言があったことから問題視され始める。分派主義の可能性があるとみなされ、「総括」を求められた。

神山 (かみやま)

11番。赤色軍所属。ドイツ帰りの帰国子女。1度は活動に行き詰まって実家に戻っていた。岩木の助けで赤色軍に合流した。

苗場 (なえば)

12番。革命者連盟所属。中京方面で革命活動をしていた。妻の苗場不二子と赤ん坊を連れて、山岳ベースに突然入山した。群馬県山中で死亡。

白根 (しらね)

13番。かつて交際していた五竜が情報漏洩しているおそれを察知し、処刑を進言した。その後岩木と恋人関係になる。赤城には「頭がよすぎる」「可愛すぎる」「男に媚びる方法を無意識のうちに身につけてしまっている」と言われた。

宮浦 (みやうら)

14番。吾妻の妻。吾妻の子を身ごもっている。元々は革命運動に夫婦で参加することでお互いを高めあおうと思っていたが、自分は甘えていると感じ、吾妻と離婚することを提言した。

霧島 (きりしま)

赤色軍所属。赤色軍の元最高幹部で、活動を離れていた。生まれたばかりの子を残して、最初からやりなおすことを決意し参加。指導部の一角を占める。メガネをかけた聡明な人物で、北や赤城の行動に反論することがある。

谷川 (たにがわ)

赤城の夫。熱心な闘争家。組織の牽引を積極的に行っている。「総括」によるリンチが始まってからは、赤城に対して薄情だと詰め寄った。その後、山岳ベースを取り仕切る中央委員を辞任したい、と名乗りでたが、皆の反対でやめることができなかった。

岩木 (いわき)

元赤色軍所属。東北地方の大学で全共闘学生活動を行っていた。赤色軍の主力として資金強奪闘争「G作戦」などを牽引する。白根とは恋人関係。

吾妻 (あづま)

裕福な家庭で育ったが、そこから離れて闘争に参加。宮浦は妻で、彼の子を身ごもっている。

その他キーワード

榛名ベース (はるなべーす)

『レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ』に登場する用語。革命を志す「赤色軍」と「革命者連盟」が「赤色連盟」を結成、銃を手にしてから、武力闘争を本格的に行うため、訓練を行おうと山に入って複数のベースキャンプを作った。その後榛名ベースに集合してから、自己批判・他者批判の「総括」が行われ、暴力化していった。

総括 (そうかつ)

『レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ』に登場する用語。自らをかえりみて反省し、自己批判すること。山岳ベースでは次第に、危険思想に対する指導の意味を持つようになり、「総括」の言葉をはっきり言うことができない人間は敗北者とされ、リンチを与え緊縛した。作中では総括対象となって死んだ人間は、5番から15番の数字が振られている。

書誌情報

レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ 4巻 講談社〈KCデラックス〉

第1巻

(2015-02-23発行、 978-4063770889)

第2巻

(2015-08-21発行、 978-4063772999)

第3巻

(2016-02-23発行、 978-4063774276)

第4巻

(2017-02-23発行、 978-4063774894)

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