男大空

男大空

平等で平和な社会を築こうという大企業総帥の息子、祭俵太と、対立する大財閥を率いて、極悪非道の限りを尽くし、国家を支配しようとする鬼堂凱の戦いを描く。学園を舞台にした番長の抗争劇から政財界の覇権争いにまで発展しつつ、終局的にはライバル同士の肉弾戦で決着を見る物語の構造は、原作・雁屋哲&作画・池上遼一のコンビによる前作『男組』と共通するものの、本作は、全体に明るいトーン、女性登場人物の活躍が多いなどの特徴がみられる。

正式名称
男大空
ふりがな
おとこおおぞら
原作
作画
ジャンル
学園
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概要・あらすじ

日本有数の祭コンツェルンの総帥が、ライバル企業東西財閥の差し金により暗殺されたのを機に、それぞれの息子祭俵太と、鬼堂凱との宿命の対決が始まる。戦いの中で、俵太は4人の兄たちを失いながらも、七人委員会などの仲間を得ていく。ついには、日本古来の神骨拳法を会得した俵太と中国拳法暗黒拳法を体得した鬼堂凱との一騎打ちに至る。

登場人物・キャラクター

祭 俵太 (まつり ひょうた)

大富豪、祭家の五男。ケンカに明け暮れる祭家の厄介者だったが、父の死をきっかけに、荒廃した百合香学園の再建、さらには平等で平和な若者のつくる未来社会の実現を掲げて、権力をほしいままに操ろうとする鬼堂凱に立ち向かう。無明和上により千手招魔、修行僧、仁也により神骨拳法奥義捧げ突きを体得。 通常は愛馬に乗って移動する。後に、同志黒太刀瞬の遺品、鉄拳鎖(てっけんさ)を首に巻き、武器にしていた。

幾代 (いくよ)

荒くれ者の巣窟となっていた百合香学園を牛耳る七人委員会の一人。かつては鬼堂凱の恋人で、その命令で祭俵太殺害に加担していた。しかし、俵太の優しさに触れ、鬼堂凱との人間性の違いを実感し、俵太に惹かれていく。鋏状の刃物のついた鞭(サソリムチ)を腰に巻いており、それを自在に使って相手を翻弄する。

鬼堂 凱 (きどう がい)

圧倒的な財力で日本の政財界を牛耳る東西財閥の後継者。古柔術の達人。のちに中国拳法の達人、氷水銀三から伝授された暗黒拳法の秘儀、不動拳(ふどうけん)を体得する。暴力団を陰から操ることで国を支配しようと企む。代々日本の政界に影響を与えてきた名家の末娘、寿羅木姫子は婚約者。

祭 万作 (まつり まんさく)

祭俵太の父。大企業を傘下に持つ祭コンツェルンの総裁。日本の闇である政財界の汚職を暴き公表しようとするが、東西財閥の陰謀により暗殺されてしまう。

鬼堂 軍四郎 (きどう ぐんしろう)

日本最大のスケールを持つ東西財閥の総帥で、鬼堂凱の父。ライバル企業祭コンツェルンを成り上がりと見下す。政財界を覆う汚職事件を暴露されることを恐れ、祭コンツェルンの祭万作を殺害するが、後に心臓病で倒れ、祭兄弟の襲撃事件の中で死亡。

祭 兵馬 (まつり ひょうま)

祭コンツェルンの創始者、祭万作の長男で、祭俵太の兄。汚名を着せられた祭家の兄弟たちが起死回生を図り、鬼堂邸襲撃を企てた際は、次男剣次と共に後方支援に回る。その襲撃計画は失敗し、新聞記者に扮した殺し屋に殺害されてしまう。街のケンカが原因で留置されていた弟、俵太の引き取りに警察署に出頭するなど弟思いの面を見せていた。

祭 剣次 (まつり けんじ)

祭コンツェルンの創始者、祭万作の次男で、祭俵太の兄。汚名を着せられた祭家の兄弟たちが起死回生を図り、鬼堂邸襲撃を企てた際は、長男兵馬と共に後方支援に回る。その襲撃計画は失敗し、新聞記者に扮した殺し屋に兄、兵馬と共に殺害されてしまう。

祭 力介 (まつり りきすけ)

祭コンツェルンの創始者、祭万作の三男で、祭俵太の兄。大日自動車の社長。社内で鬼堂家の送り込んだ暗殺者に襲われ重傷を負う。その後、奇跡の回復を見せるが、入院中の病院で再び襲われ死亡。特に懐いていた俵太を始め、兄弟を悲しませ、これを遠因として、鬼堂邸急襲計画が実行されることになる。

祭 真也 (まつり しんや)

祭コンツェルンの創始者、祭万作の四男で、祭俵太の兄。優れた武術家であり、俵太に千手招魔を伝授した無明の元で修業をしていたこともある。汚名を着せられた祭家の兄弟たちが起死回生を図り、鬼堂邸襲撃を企てた際は、実行指揮官として乗り込む。計画が失敗した際、俵太を逃がすために、自らが犠牲となって命を落とした。

穴虫 心平 (あなむし しんぺい)

祭コンツェルン総裁、祭万作殺害現場で、万作を護衛し、殺害された穴虫義介の息子。祭俵太の幼友達にして無二の親友。常に俵太と行動を共にし、俵太の知恵袋としてアシストをしている。

海主 莫郎 (かいず ばくろう)

荒くれ者の巣窟となっていた百合香学園を牛耳る七人委員会の一人。身長2メートル8センチ、体重200キロの巨体を活かした攻撃が得意。祭俵太抹殺に失敗したため、鬼堂凱の放った追っ手に襲われ、一時消息不明となる。修行僧、仁也に救われ、後に鉄の右腕と顔面半分を鉄の仮面で覆う姿で復活。 鬼堂凱に致命的な負傷を負わせる。幾代に恋心を抱いている様子を見せる。

姫川 幽児 (ひめかわ ゆうじ)

荒くれ者の巣窟となっていた百合香学園を牛耳る七人委員会の一人。残虐・冷酷な性格を自負する。祭俵太抹殺に失敗したため、鬼堂凱の追っ手に捉えられ、死亡。

天谷 金也 (あまたに きんや)

荒くれ者の巣窟となっていた百合香学園を牛耳る七人委員会の一人。金の取立てに秀でると語る。筒を束ねた連発式の吹矢を常備している。

角剣 十一 (かくけん といち)

荒くれ者の巣窟となっていた百合香学園を牛耳る七人委員会の一人。体中に刃物を仕込んでおり、かまいたちのように攻撃する。通常はマスクで口元を覆っている。

蜂取 宗助 (はちとり そうすけ)

荒くれ者の巣窟となっていた百合香学園を牛耳る七人委員会の一人。常に蜂の巣を携え、蜂の子を食べたり、蜂蜜を吸っている。頭脳明晰で、七人委員会の軍師的存在。鬼堂側が祭家に忍ばせたスパイの暗号を解析するなどの活躍を見せる。

木勢川 忠 (きせがわ ちゅう)

荒くれ者の巣窟となっていた百合香学園を牛耳る七人委員会の一人。右のレンズ部分に国旗をあしらったメガネをかけた小男だが、世界中の拷問や処刑法を研究しているという。鎖玉を主な武器としている。

胡麻田 鯖吉 (ごまだ さばきち)

百合香学園の生徒。最初に登校した祭俵太に学園を案内したことがきっかけで、その後俵太と行動を共にする仲間の一人になる。ゲテモノを混ぜた食べ物を人に勧める癖がある。

大鎧 (おおよろい)

祭コンツェルン総帥、祭万作の部下の一人。万作の死後は、その息子たちに忠誠を誓う。全国にいる大鎧軍団を率いており、祭家兄弟による鬼堂邸襲撃計画の際は、軍団を招集する。その襲撃計画の失敗により死亡。いかつい姿にも似ず、しばしば酒を断りペロペロキャンディーをなめている。

当麻 (たいま)

祭コンツェルン総帥、祭万作の部下の一人。万作の死後は、その息子たちに忠誠を誓う。祭家兄弟による鬼堂邸襲撃計画の際に死亡。

袖垣 (そでがき)

祭コンツェルン総帥、祭万作の部下の一人。万作の死後は、その息子たちに忠誠を誓うものの、妹の病気の回復を願い、鬼堂家の密偵となり、祭家で計画された鬼堂邸襲撃計画の一切を鬼堂家に密告する。それを悔いていたところ、修行僧の仁也と出会い、出家。以降は祭俵太の行動を陰から見守り、時に危機から救う手助けをする。

無明和上 (むみょうわじょう)

鎌倉・剛妙寺の和尚。盲目の老僧ながら、相手のあらゆる攻撃を見切ることができる千手招魔を祭俵太に伝授。その厳しい荒行のため、俵太が修行を終えたと同時に自らの命を落とした。ただしその後も、命運を決する決闘の際に俵太の心に現れ、俵太の精神的な支えとなっている。

中井 明子 (なかい あきこ)

自ら祭俵太の婚約者と吹聴する底抜けに明るい少女。姉は、俵太の兄、祭力介の婚約者。幾代の方が、自分より女として上だと自覚しつつ、俵太のそばを離れない。

寿羅木 姫子 (すらぎ ひめこ)

日本の歴史を通じて、政治に強い影響を与え続けてきた寿羅木家の末娘。その力を利用しようとする鬼堂凱の許嫁となる。完璧を求め、肉体に損傷を負った鬼堂凱を拒絶したり、「結婚は互いに利用するためのもの」と、平然と鬼堂凱を裏切る行為に及ぶ。毒を入れた注射針を放ち、時に相手を窮地に陥れている。

黒太刀 瞬 (くろたち しゅん)

天草四郎の14代目の子孫。曙英秀学園の番長で、高校を支配しようとする鬼堂凱の勢力に対抗しようと全関東番長会議を開催する。しかし、鬼堂の息のかかる番長に拒まれたため、祭俵太に共闘を誓った。天草四郎の愛刀をとかして作ったという鉄拳鎖を武具とする。鬼堂凱との勝負で、鬼堂の誘いに正面から戦いを挑んだことから命を落とすこととなり、その死により俵太らは、打倒・鬼堂の闘志を沸きあがらせた。

仁也 (じんや)

祭家の四男、真也とうり二つの修行僧。神骨拳法の使い手で、その奥義を祭俵太に伝授する。また、祭家を裏切った袖口を出家させたほか、鬼堂の部下により深手を負った海主漠郎を救い、鋼鉄の右腕を与えている。

氷水 銀三 (ひみず ぎんぞう)

中国拳法の各流派の必殺技を練り上げた暗黒拳法の使い手。かつて無明和上と共に武道の修行を積み、その腕は互角だという。死刑囚だったところを鬼堂凱に救われ、代わりに暗黒拳法を凱に伝授した。シルクロードを伝って伝搬した拳法の弟子たちがアジア各地にいる。

集団・組織

祭コンツェルン (まつりこんつぇるん)

『男大空』の組織。祭俵太の父祭万作が一代で築き上げた日本有数のコンツェルン。銀行、製鉄、自動車、不動産など大企業を傘下に持っているが、万作の死により、各会社は5人の息子たちに譲り渡された。その後、兄たちが死んだため、俵太は、すべてを売りに出してしまっている。

東西財閥 (とうざいざいばつ)

『男大空』の組織。祭コンツェルンの最大の競争相手。祭コンツェルンがわずか一代で急成長した企業であるのに対し、「歴史も規模も格が違う」と、その総帥鬼堂軍四郎が語っている日本最大の財閥。祭コンツェルンを敵視し、あらゆる手段を用いて潰そうと目論んでいる。

百合香学園 (ゆりいかがくえん)

祭コンツェルンが経営する高校だが、その実態は、教師もやる気を失い、七人委員会という不良グループが牛耳る荒廃した学校だった。祭俵太は、父の遺産として学校を受け継ぎ、校長としてやってくることになる。後に、俵太が目指す、平等で自由な若者のための学校として再生しようと、旧校舎を壊し、新たな教育施設を作り上げる。

場所

慈しみの村 (いつくしみのむら)

修行僧、仁也の住む拠点。心身共に傷ついた人たちが仁也の周りに集まってできた村で、ここで祭俵太が最終技神骨拳法を身につけたほか、百合香学園の生徒たちも一時そこで生活し、人間らしい学びを体験する。

その他キーワード

千手招魔 (せんじゅしょうま)

『男大空』の必殺技。無明和上が、祭俵太に伝授した奥義。自分の心の奥底に潜む記憶を引き出し、相手の攻撃を読み取り、的確にしのぐ心眼のこと。俵太は1週間の荒行によって会得し、その荒行に取り組んだことで、無明和上は残り少ない余命を失うことになる。

神骨拳法 (しんこつけんぽう)

『男大空』の必殺技。日本古来から伝わる拳法。人体の骨に中に潜んでいる力を呼び起こし、外に向けてたたきつける拳法とされる。祭俵太は、僧、仁也により、その極意、捧げ突きを伝授される。これにより宿命のライバル、鬼堂凱との最終勝負に挑むことになる。

暗黒拳法 (あんこくけんぽう)

『男大空』の必殺技。中国拳法に伝わる各流派の必殺技を集めて練り上げたとされる拳法。最終奥義不動拳は、手をかざすだけで相手に「気」をたたきつけるという技で、鬼堂凱は、宿命のライバル、祭俵太との最終決戦でこの技を使い、俵太に大きなダメージを与えている。

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