絶園のテンペスト

絶園のテンペスト

大切なひとりの少女を殺されたふたりの少年による復讐の旅と、現代に生きる魔法使いたちの抗争が複雑に交錯しながら、ひとつの数奇な物語を紡いでいくファンタジーサスペンス作品。設定や伏線が綿密に練りこまれた推理ものとしてだけでなく、魔法を使った激しいバトルアクション、主要人物らによる心理戦やラブコメ要素も多分に含まれている。そのタイトルにもあるように、劇中にはシェイクスピア作品から数々の名句が引用されており、作品世界を効果的に演出している。なお、本作は3名の著者による共同作品。構成を左有秀、作画を彩崎廉、そして原作は推理漫画『スパイラル~推理の絆~』を手がけた城平京が担当している。

正式名称
絶園のテンペスト
ふりがな
ぜつえんのてんぺすと
作画
原作
ジャンル
ファンタジー
 
推理・ミステリー
 
サスペンス
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あらすじ

第1巻

ある日、高校生の滝川吉野は失踪した幼なじみの少年、不破真広を尋ねてやって来たエヴァンジェリン山本と名乗る女性と出会う。世界各地で多発している異常現象「黒鉄病」に真広が深くかかわっていると推測するエヴァンジェリンは、銃を突きつけて吉野に迫るが、そこに真広が現れて窮地を救う。孤島に閉じ込めら得た魔法使いの鎖部葉風と取引をした真広は、不可解な死に方をした妹の不破愛花の真実を魔法で調べてもらう事を引き換えに、葉風に協力して「黒鉄病」の影で暗躍する「鎖部一族」を追っているのだった。真広の到着と共に黒鉄病が巻き起こり、周囲の人が金属化する現象を目の当たりにした吉野は、自分の常識がひっくり返るのを実感しながら、自らの恋人でもあった愛花の顔を思い出し、真広の行動に協力する事を決意する。そして葉風の魔法によって愛花を殺した者が、葉風と敵対する「鎖部一族」の誰かであると判明した事で、真広は憎悪を深め、吉野は整い過ぎた事態に疑念を深める事となった。

第2巻

「鎖部一族」と対抗するため、滝川吉野不破真広の二人は特別製の魔具の回収に向かった。魔具を預かっていた星村潤一郎のもとを訪れた2人は、そこで鎖部葉風が死んでいたと言う衝撃の真実を知らされる。葉風と連絡を取り合った二人は、この不可解な情報に混乱するが、急変する事態に目を向けた二人は問題を棚上げし、「鎖部一族」と最後の戦いに赴く事を決心する。そして吉野は真広と葉風の目を盗んで密かにエヴァンジェリン山本と通じ、政府の情報を流していた。復讐に取り憑かれた真広を危険視した吉野は政府に情報を渡し、「鎖部一族」に反撃する準備を整えていたのだった。政府と「鎖部一族」と真広、3つの勢力が揃った状況で吉野と真広は遂に「鎖部一族」の長、鎖部左門と対峙する。左門は自分達が私欲ではなく、世界を守るために自分達の崇める「はじまりの樹」と対となる「絶園の樹」を復活させるのだと語り、自らの正当性を訴える。さらには張り巡らした罠によって葉風が二年前に死に、現在の二人が話している葉風は過去から声を届けているだけだと語る。左門は二人を通じて過去の葉風に自分の遺骨を見せ付け、自身の死を明確に見た葉風は遂に心が折れてしまう。 

第3巻

世界の命運も鎖部葉風の運命も眼中にない不破真広は、鎖部左門に取引を申し出て、彼に犯人を捜させようとする。左門がその申し出を受け入れた事で、事態はもうどうしようもないと思われたが、滝川吉野はこの理不尽な状況に反発し、葉風を助けようと奮起する。吉野はハッタリで葉風の閉じ込められた「時間の檻」の穴を突き、勝負を五分まで引き戻すが、そこに不破愛花を殺した犯人を捜していた左門の手の者の報が届く。「鎖部一族に殺人を犯した者はいない」というその知らせによって真広は取り乱し、葉風は自らと対になる「絶園の魔法使い」の存在に思い至る。 

第4巻

絶園の樹」の復活に呼応して覚醒する「はじまりの樹」。それは街中にも姿を現し、人類文明を食い荒らしていた。「絶園の樹」と「はじまりの樹」の2つがお互いを滅ぼそうと争う中、鎖部葉風は遂に「時間の檻」を破って現在に舞い戻る。しかし争う2本の樹による狂乱は世界規模の大災害を引き起こし、人類は瞬く間に滅亡の危機に陥ってしまう。「はじまりの樹」の攻撃によって滝川吉野不破真広も致命傷を負ってしまう中、戻った葉風は2人を助けつつ「絶園の樹」と「はじまりの樹」を鎮めるため立ち向かう。 

1か月後、「絶園の樹」と「はじまりの樹」の争いは葉風によって鎮められ、世界は平穏を取り戻していた。「はじまりの樹」は世界に天文学的な被害をもたらすのと同時に、人々の争いを鎮め、兵器を滅ぼし、多くの恵みを人類に与えていたのだった。そして「はじまりの樹」と「絶園の樹」の覚醒を抑えた葉風は、現在、吉野に惚れていた。自らが生まれて初めて挫折した「時間の檻」。そこから自分を助け、立ち上がる気力をもたらした吉野に葉風は心を許し、強く意識してしまったのだ。一方で鎖部左門達は、図らずも世界の命運を握ってしまった吉野と葉風の関係を問題視し、こうして「世界の命運をかけたラブコメ」が始まってしまう。 

第5巻

鎖部左門早河巧は手を組み、共に「はじまりの樹」と「絶園の樹」の問題について考えていたが、そこに滝川吉野から「絶園の魔法使い」発見の報を受け取る。鎖部葉風と行動を共にしている最中に出会った青年の羽村めぐむはどう見ても気弱な人物で、一向は揃って殺人には向いていないタイプだと言う感想を出す。また不破愛花が殺害された当日に羽村にアリバイがあった事で、事件の犯人探しはまたしても振り出しに戻ってしまった。一方、葉風は星村潤一郎と語り合う中で、自らが吉野に恋をしている事を自覚する。自らの過酷な運命に吉野を巻き込まないためにも、自らの恋心を諦める決心をするものの、吉野との触れ合いの中で心は揺れてしまう。何をしても逆効果で、ますます吉野を好きになってしまう葉風は、最後の手段として自らの思いを吉野に打ち明けてあきらめようとしたが、葉風はそこで残酷な真実を知ってしまう。すべての真実を知った葉風は人の運命をもてあそぶ「はじまりの樹」を打倒する事を誓う。

一方、羽村は左門と早河の企みによって「絶園の魔法使い」として大々的に存在を公表されてしまう。「はじまりの樹」の支配に抗える存在が現れた事で、今まで水面下に抑えられていた市民の感情が爆発し、羽村は「はじまりの樹」に対抗するための体制を整える事に成功する。 

第6巻

「絶園の魔法使い」として活動していた羽村めぐむは、突如現れた「舞姫」の装いに身を包んだ鎖部葉風の襲撃を受けてしまう。圧倒的な力を持つ葉風は、「はじまりの樹」打倒のため羽村を鍛えるべく戦いに乱入したのだった。 

一方、鎖部左門早河巧不破真広は羽村の「絶園の魔法使い」らしくない姿を見る事で、どこかに「絶園の魔法使い」の心を持つ存在がいるのではないかと考える。そしてその疑いが滝川吉野へと向けられた事をきっかけにして、真広は吉野の彼女が不破愛花であると言う真実にたどり着いてしまう。まるで愛花の死からすべてが狂い、誰かの目論見によって現在の状況が演出されているかのような雰囲気に不気味さ感じる一行は、真実を究明する事を決心する。

第7巻

滝川吉野のついていた秘密と噓に気づいた不破真広は吉野と対峙し、お互いに本音をぶつけ合う。そして不破愛花について語り合った二人は、円満な和解を果たした。一方、世界は「はじまりの樹」と「絶園の樹」、どちらが正義かわからず揺れていた。この混迷した状況を解く鍵が、すべてが狂い始めた「不破愛花殺人事件」にあると考えた鎖部葉風は、真実を究明するため、「時間の檻」を脱出した際に使った魔法を応用する事で時間移動し、愛花が殺される事件を自分の目で直接確かめる決断をする。 

第8巻

無事に不破愛花が殺される前の時間にタイムスリップをする事に成功した鎖部葉風は、そこで意外な人物に出会う。一連の事件のすべてを知り、滝川吉野不破真広を思い通りに動かした黒幕は、「はじまりの樹」と「絶園の樹」の真実を語る。 

その頃、現在の時間軸では巨大な「はじまりの樹」が太平洋上に出現していた。成層圏すら突き抜けて世を睥睨(へいげい)する「はじまりの樹」の神々しさに人々は畏れを抱き、世論は一気に「はじまりの樹」保護説へと傾く。そして真実にたどり着いた者達は語る。「はじまりの樹」は人類を守る神ではなく、未知の文明が地球に発生した知的生命に課した最終試験であると言うものだった。自らの意思で「はじまりの樹」から自立する事ができなければ、人類の文明は10年以内に消滅すると知った一行は、「はじまりの樹」を滅する決意を固める。「不破愛花殺人事件」を見届けた葉風も現代に戻り、「絶園の魔法使い」である羽村めぐむと協力して最後の戦いに赴く。 

第9巻

はじまりの樹」を守るため、羽村めぐむ鎖部葉風は意思を結束させる世界にたった7人で挑む。太平洋上に出現した「はじまりの樹」の核である「御柱」には各国から100隻の軍艦が護衛として集まっており、二人は無用な犠牲を出さぬため、可能な限り軍艦への攻撃せずに「御柱」を消滅させる事を求められた。この無理難題に不破真広は頭をひねり、一つの奇策を葉風と羽村に授ける。「はじまりの樹」によって作られた偽りの楽園を絶つために、7人は己にできる全力を尽くして戦う。 

第10巻

はじまりの樹」を打倒した一行は解散し、それぞれの日常に戻る。不破真広に助けられた少女の林美森は再び真広に会うため奔走し、平和になった日常の中、早河巧エヴァンジェリン山本と出会った日を思い返していた。そしてエヴァンジェリンは鎖部左門と結婚し、新たな生活を始める。それぞれが新たな日常を始める中、魔法の力を失った鎖部葉風はファミリーレストランでウェイトレスのアルバイトを始めていた。アルバイト先の店にも馴染み、テキパキと仕事をこなす葉風であったが、そこに思いがけない人物が訪れる。 

登場人物・キャラクター

滝川 吉野 (たきがわ よしの)

『絶園のテンペスト』における主人公のひとり。温厚で控え目な人当たりの良い、ごく普通の男子高校生。一年前に殺害された不破愛花とは恋人同士だったが、周囲には隠しながら付き合っていた。物事を冷静に判断することのできる理知的な少年で、復讐に燃え暴走気味の不破真広をたしなめることも多い。一方で抜け目ない部分もあり、最善の手を打つためなら非情な手段も厭わない冷徹さを隠し持つ。 真広の復讐劇に巻き込まれ、鎖部葉風の救出計画に加担。世界を救うための戦いのなか、意外な形で重要な役割を果たしていくこととなる。

不破 真広 (ふわ まひろ)

『絶園のテンペスト』における主人公のひとり。自信家で自己中心的な問題児だが、信頼できる人間に対しては義理堅い一面を持つ。一年前、妹(正確には義理の妹)の不破愛花を殺人事件によって喪った。合理的な思考の持ち主でもあるため、妹が無残に殺害されていながら、その犯人が裁かれていないという不合理が納得いかず、犯人を探し出して復讐するため旅立つ。 幼なじみの滝川吉野とは同じ高校に通う同級生だったが、復讐の旅へ赴く際に退学した。孤島から流れ着いたメッセージボトルを通じて魔法使いの姫・鎖部葉風とコンタクトし、互いの利益のために取引を行う。魔法の力で愛花殺害の犯人を見つける“ついで”に、魔法使いらの陰謀によって危機的状況にある世界を救ってやると豪語。

鎖部 葉風 (くさりべ はかぜ)

世界の理を支配する「はじまりの樹」に選ばれた姫宮。魔法使いの一族である「鎖部一族」でも飛びぬけた能力を持ち、一族全員を合わせても鎖部葉風の一割の力にも満たないとされる。一族内の誰もが「はじまりの樹」を危険視した中で、一人「はじまりの樹」を擁護したため鎖部左門達に罠にはめられ、魔法の使えぬ孤島に封じ込められてしまう。孤島から脱出できない葉風は現地の物を使って即席の通信用魔具を作り、メッセージボトルに入れて流し、拾う者を待った。偶然拾った不破真広と取引を行った葉風は、暗躍する左門達の行動を止めるべく行動を開始する。「はじまりの樹」を目覚めさせる役割を持ち、樹に対して強い信頼感を持っていたが、「はじまりの樹」の狂乱によって世界的な被害が引き起こされてからは、「はじまりの樹」に疑念を抱き、その真意を確かめるため滝川吉野と行動を共にする。今まで「はじまりの樹」によって挫折知らずの人生を送ってきたため、「時間の檻」という初めての挫折から自分を救ってくれた吉野には特別な感情を抱き、吉野と行動を共にしているあいだは、年頃の少女のように初恋で一喜一憂した。真実を知り、「はじまりの樹」打倒を誓ってからは、「舞姫」として「絶縁の魔法使い」の羽村めぐむと対峙し、実戦の中で未熟な羽村を鍛えた。「はじまりの樹」との決戦後はファミリーレストランでウェイトレスのアルバイトを始めており、仲間からは苗字の下部分を取って「りべさん」と呼ばれて慕われている。

不破 愛花 (ふわ あいか)

不破真広の妹で、一年前に何者かによって殺害された中学生の少女。生前は兄の友人である滝川吉野と密かに付き合っていたが、そのことを真広に悟らせないよう、兄の前ではいつもそっけない態度をとっていた。理知的ではあるがとらえどころのない不思議な少女で、会話のなかで愛読書であるシェイクスピア作品の名句を多く引用する。

鎖部 左門 (くさりべ さもん)

姫である鎖部葉風を追放し、一族の権勢を握った魔法使いの男。一族が神と奉じてきたはじまりの樹に危険性を感じ取り、対となる絶園の樹を復活させることで力を削ごうと画策する。その計画について葉風とは意見を対立させたが、彼の行動もまた世界の安寧を願ってのものであり、付き従う一族の魔法使いは多い。 人柄は生真面目かつ堅実で、細心の注意を払いながら計画を進める一方、大義のためなら犠牲を厭わない長としての非情さも併せ持つ。反面、突発的な出来事には弱く、想像を超えるアクシデントに見舞われると、普段の落ち着いた様相は鳴りを潜め、大きく狼狽した姿を見せてしまう。

エヴァンジェリン山本 (えゔぁんじぇりんやまもと)

無職の28歳を自称するグラマラスな女性。その正体は魔法使いの存在や、世界に異変をもたらしている黒鉄病の調査を行うエージェントである。ただ、本人曰くボランティアらしい。調査のなかで異変に大きく関与する不破真広の存在を突き止め、時には敵対し、時には協力関係を結びながら、異変の真相に迫っていこうとする。 また、古い友人で政府関係者の早河巧とも協力関係。普段は明るい性格の人懐っこいお姉さんだが、生身で魔法使いと渡り合えるほどの高い戦闘能力を誇る。

星村 潤一郎 (ほしむら じゅんいちろう)

鎖部葉風や鎖部左門と同じ鎖部一族に属する青年。星村自身は魔法使いではないが柔術の達人で、その技は魔法使いすらをも圧倒する。葉風からは昔から兄のように慕われており、絶大な信頼を寄せられているものの、一族のなかでは中立的な立場を崩さない。人当たりのよい温厚な人柄である一方、冷静かつ鋭い思考力を持つ。

鎖部 夏村 (くさりべ なつむら)

常に全身をロングコートで覆った、寡黙な魔法使いの男性。一族の長となった鎖部左門に命じられ、絶園の樹の封印にまつわる絶園の果実の調査任務を進めていた。その任務途中、対立する鎖部葉風の意を受けた不破真広および滝川吉野と遭遇し、刃を交える。一族のなかで最も戦闘に秀でた武人として知られており、愛用の槍と魔法による連携で敵を追い詰めていく。

鎖部 哲馬 (くさりべ てつま)

鎖部一族に属する魔法使いの男性。鎖部左門を信奉しており、彼の右腕として絶園の樹復活のため力を尽くそうとする。頭は切れるが狭量な人物で、理にかなわないことが許せない。左門配下の魔法使いたちは、対立しつつも一族の姫である鎖部葉風に敬意を払っているが、哲馬だけはなにかと反抗的な態度をとることが多い。

早河 巧 (はやかわ たくみ)

政府機関に所属する役人の男性で、若くして黒鉄病の対策本部長補佐を務める。エヴァンジェリン山本とは古くからの友人関係にあり、互いの立場から黒鉄病や魔法使いに関する情報を追っては共有している。絶園の樹を復活させようとする鎖部左門らの行いが、黒鉄病を引き起こし世界を混乱に陥れていると判断。 鎖部の魔法使いに対して宣戦布告を行う。

羽村 めぐむ (はねむら めぐむ)

工事現場でフリーターとして働く青年。最近、頼りなさを理由に彼女にふられたばかりで、何とか復縁したいと考えている。その正体は「絶園の樹」に選ばれた「絶園の魔法使い」であり、「はじまりの樹」を滅ぼす役割を持つ人間である。しかし本人はそんな凶悪な存在に見えない気弱な青年で、滝川吉野や不破真広とは違う、至って普通の人間の感性を持っている。鎖部葉風と対となる存在であるため、最低でも同格の能力を持つとされているが、生来の気弱さからその能力を十全に発揮する事ができず、周囲からは「絶園の魔法使い」とは思えない未熟な存在と思われている。偶然、吉野と葉風に出会った事で、彼らに確保され、世界の命運を握る戦いに巻き込まれてしまう。その後、エヴァンジェリン山本の計らいによって、黒いヒーロースーツに身を包んだ「絶園の魔法使い」として存在を公表され、世間に一石を投じていく。「絶園の魔法使い」としては素顔を隠して行動しているため、最終決戦ではそれを活かした入れ替わり作戦を行った。

林 美森 (はやし みもり)

黒鉄病を追っていた不破真広がたまたま助けた15歳の少女。古書が大好きな少女で、趣味の古書店巡りをしている最中に交通費をなくし、人気のない道端で行き倒れ同然に倒れていた。その姿が妹の死に様と重なって見えたため、真広は彼女の世話を焼いた。その交流の時間は短い物であったが、彼女が黒鉄病の最中に生き残り、真広の名をエヴァンジェリン山本に伝えた事が後々二人と滝川吉野が出会うきっかけとなった。 真広の家の書庫に古書が収められる事を知ったため彼に強い興味を抱き、事件解決後はそれをきっかけとして二人は付き合い始めた。

その他キーワード

はじまりの樹 (はじまりのき)

『絶園のテンペスト』に登場する大樹。現代に生きる魔法使いである鎖部一族が神として信奉してきた。この世の始まりにあって、あまねく理を司るとされている。かつて、世界を破壊しようとした絶園の樹を封印したが、その戦いで傷つき、現在は治癒のため眠りについているという。鎖部一族の魔法使いは、この大樹に供物を捧げることで力を借り受け、魔法を行使する。

絶園の樹 (ぜつえんのき)

『絶園のテンペスト』に登場する大樹。この世の理を全て覆すと言われる存在で、はじまりの樹とは対になる。かつて、世界を破壊しようとしたが、はじまりの樹との戦いに破れ封印された。はじまりの樹の在り方に疑問を感じた鎖部左門らは、その封印となる絶園の果実を集めることで、絶園の樹を復活させようと目論んでいる。

魔具 (まぐ)

魔法の力が封じられており、魔具を使えば鎖部の魔法使いではない一般の人間でも魔法を行使できるが、使用回数は限られている。鎖部葉風は島流しにされる以前から、いくつかの魔具を各地に分散させ隠しており、協力者となった不破真広にその在処を伝えることで、彼に魔法の力を貸し与えた。

魔法 (まほう)

『絶園のテンペスト』に登場する用語。鎖部葉風をはじめとする鎖部一族の魔法使いたちが使う超常の力。現代科学では説明のつかない様々な現象を引き起こせるが、無尽蔵に使用できるわけではない。鎖部の者による発声と、人の知識によって造られた物をはじまりの樹に供物として捧げることで行使できるように。より高度な技術、より高度な文明によって生み出された物を供物にすると、強い力を得られる。

黒鉄病 (くろがねびょう)

『絶園のテンペスト』に登場する奇病。世界中で猛威を振るっている。病が発生する一帯には、おびただしい数の揚羽蝶の群れが出現。その正体は生物を金属化させる呪的現象で、封印された絶園の樹のパーツである絶園の果実が甦ることで発生する。混乱を避けるため、日本政府はこの病が発生した区域を封鎖することで隔離。

絶園の魔法使い (ぜつえんのまほうつかい)

絶園の樹によって祝福された魔法使いで、鎖部葉風と対となる存在。「鎖部一族」とはまったく違う役割が与えられているため、いつの時代にもたった一人しか存在せず、寿命で死ぬおよそ50年周期で代替わりをしている。また「絶園の魔法使い」の使う魔法は鎖部のものとはまったく違い、供物や手続きを必要としない事もありほとんど制限がない。 主に使えるのは「攻撃魔法」で、その威力はミサイルですら傷つかなかったはじまりの樹を、一部とはいえ一瞬で塵に返すほど圧倒的である。ただし当代の「絶園の魔法使い」である羽村めぐむは未熟で、その能力をほとんど使いこなせていないと目されている。

クレジット

構成

左有秀

アニメ

絶園のテンペスト

二人の高校生・不破真広と滝川吉野が愛する少女・不破愛花が何者かに殺されるという事件が起きた。義理の兄・真広は姿を消し、愛花と付き合っていた吉野は無為な日々を送っていた。 だが、一ヶ月後に真広は魔法の力... 関連ページ:絶園のテンペスト

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