ねこようかい

ねこようかい

猫のような妖怪のような不思議な生き物、ねこようかいと、人々の触れ合いを描いたほのぼの日常4コマ漫画。「月刊まんがライフオリジナル」2016年12月号から連載の作品。なお、コミックスは巻ごとにタイトルが異なり、第1巻は『ねこようかい』だが、第2巻が『ねこようかいニッ』、第3巻が『ねこようかいミー!』、第4巻が『ねこようかいショキショキ』となっている。全編フルカラーで、コミックス刊行にあたり、各巻に描き下ろしエピソードも収録されている。

正式名称
ねこようかい
ふりがな
ねこようかい
作者
ジャンル
お化け・妖怪
 
関連商品
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あらすじ

ねこようかい(第1巻)

ある女性の家にいる猫が産んだ3匹の子猫を見に行った青年は、子猫のうちの1匹が、ずっと後ろを向いていることが気になっていた。そのことを飼い主の女性に聞くと、子猫は待っていましたとばかりに、顔に口を出現させて青年を驚かす。実はその子猫は後ろを向いていたのではなく、顔がないねこようかいのっぺらぼうだったのである。こうして青年と出会ったのっぺらぼうは、その後に「シロ」と名づけられ、彼の家で飼われることとなった。そしてのっぺらぼうは、たまに出現させる口だけで感情表現をしつつ、飼い主の青年との楽しい日々を送るようになる。(エピソード「のっぺらぼう」。ほか、27エピソード収録)

ねこようかいニッ(第2巻)

ある日の学校帰り、一人の女子学生が塀の上にいた白い猫に声を掛けると、猫だと思っていた毛の塊が拡散。その正体は、多数のねこようかいけさらんぱさらんの集合体だった。けさらんぱさらんたちを飼おうと考えた少女は、そのまま家に連れ帰って両親に相談。あまりの数の多さに難色を示されるかと思いきや、両親からも色よい返事をもらい、少女はけさらんぱさらんたちに「マル」と名づけ、いっしょに暮らすようになるのだった。その後は、カバンに紛れ込んでいたけさらんぱさらんたちを、そうと気づかず学校に連れて行ったことで、先生に叱られたりしながらも、少女はけさらんぱさらんたちと楽しい日々を過ごす。(エピソード「けさらんぱさらん」。ほか、31エピソード収録)

ねこようかいミー!(第3巻)

巨大組織の会長、業原は、仕事の合間を縫って、溺愛するねこようかいにんぎょ、ぱふぇちゃんを膝に乗せ、至福の時間を過ごしていた。だがふと気づくと、午後に予定していた大臣との会食の時間が刻々と迫っている。業原は重い腰を上げようとするものの、気づけばぱふぇちゃんは、業原の膝の上で幸せそうに眠っていた。秘書にうながされ、ぱふぇちゃんと過ごす時間に後ろ髪を引かれながらも会食に向かった業原は、そこで大臣に対し、人魚とは人間に不老不死の力を与えるものではなく、逆に人間の時間を喰らう存在であると、重々しい口調で語り出す。(エピソード「にんぎょ」。ほか、29エピソード収録)

ねこようかいショキショキ(第4巻)

ある若い女性は、昨日から家の中で小さく猫の鳴き声が聞こえることを不審に思っていた。鳴き声を頼りに家を捜索していた女性は、育てている鉢植えの蕗の葉の陰に、小さな猫の姿をしたねこようかいころぽっくるを発見する。こうして女性といっしょに暮すようになったころぽっくるは、外出時にブローチのように女性のブラウスの胸ポケットに入り込んだり、寝ている女性が付けているアイマスクの上で寝てみたりと、かわいらしいいたずらをしながら、幸せな生活を楽しむのだった。(エピソード「ころぽっくる」。ほか、30エピソード収録)

登場人物・キャラクター

のっぺらぼう

のっぺらぼうのねこようかい。全身真っ白な子猫の姿をしており、触り心地はまるで餅のように気持ちいい。のっぺらぼうのため、ふだんは顔に目鼻口などがなく、前を向いているのか後ろを向いているのかわかりにくい。人間の青年に飼われており、彼には「シロ」と名づけられている。顔に口だけを出現させて人を驚かすのが大好きで、「かわいい」と言われるよりも「びっくりした」という言葉を聞くとテンションが上がる。目を出現させることはほとんどない一方で、気分に応じて眉毛や口が勝手に出現してしまうことがあるため、感情はわかりやすい。

ひゃくめ

百目のねこようかい。全身が真っ黒な猫の姿をしている。顔には目がないが、全身に大きな黄色い目が複数あり、目を開くと暗闇にたくさんの目玉が浮いているように見える。目を閉じていても周囲は見えており、人を見つけると「ニッ」と鳴いて挨拶をする。また、いきなりすべての目を開いて人を脅かすのが好き。百目眼科という眼医者を営む初老の男性に飼われており、「クロ」と呼ばれている。ひゃくめは眼医者がまだ若い頃に祖父から医院といっしょに譲り受けたため、彼との付き合いは非常に長い。百目医院の看板猫で、近隣住民からは、「くろべえ」「スミくん」など、さまざまな名で呼ばれている。ちなみに目がたくさんあるため、明るすぎて眩しいところが苦手。

べとべとさん

べとべとさんのねこようかい。黄色い体毛の猫の姿をしている。気に入った人の後ろについて歩くのが好きで、外出時はもちろん、相手が風呂に入っている時や、布団で寝ている時でもそれは変わらない。歩く際には、「ぺたぺた」という足音がする。ちなみに付いていく相手の方は、音は聞こえてもべとべとさんの存在に気づくことはほとんどないため、基本的にべとべとさんの思いは一方通行。ただし、周囲の人にはべとべとさんの姿がちゃんと見えているため、べとべとさんがついていく相手は、本人も知らないうちに、周囲に猫好きと見なされることとなる。

ろくろくび

ろくろ首のねこようかい。ふだんはふつうの三毛猫の姿をしているが、自由に首を長く伸ばすことができる。心優しい老夫婦の家の飼い猫で、「タマ」と呼ばれており、飼い主がどこかに行こうとするのを引き止める際には、首を巻き付けてよく甘えている。また、こたつの中から首だけ伸ばしてご飯を食べたり、ご飯を食べながら首だけ伸ばして花瓶の水を飲んだりと、横着なところがある。

にんぎょ

人魚のねこようかい。上半身はふつうの猫の姿をしているが、腰から下は魚の形になっている。その肉を食べたものは不老不死になるという伝説があり、その力を欲した巨大組織の会長、業原のもとに届けられた。だが、そのあまりのかわいさに陥落した業原に飼われることとなり、以降は「ぱふぇちゃん」と名づけられ溺愛されている。非常におとなしい性格のいい子で、業原のいきつけのペットショップや動物病院、近隣住民からの人気も高く、業原の自慢の家族。広いプールや海で泳ぐのが大好きで、お気に入りのおもちゃは魚の形のもの。その姿かたちから歩くことが苦手で、ふだんは業原に抱っこされていることが多い。ちなみに、歌声で人を惑わすという伝説があるが、業原の心を射止めたことを除くと、その様子を見せることはない。

やまびこ

山彦のねこようかい。もさもさしたグレーの体毛の、長毛種の猫のような姿をしている。物音や人の言葉を真似して繰り返すが、時おり黙り込んだり「にゃー」と鳴いて自分の意思表示をすることもある。夜道で若い女性と出会った際、彼女の言葉にやまびこを返していたが、いっしょに来るかと問われてあとを付いていき、彼女に飼われるようになった。優しい飼い主の女性のことが大好き。

ばく

獏のねこようかい。グレーの体毛の猫の姿をしている。鼻を伸ばして人の夢を引き寄せ、食べることができる。ロングヘアの若い女性に飼われており、彼女が見る悪夢を食べてあげている。ちなみに、彼女が犬をかわいがっている夢を見ている時などは、嫉妬から楽しい夢であっても食べてしまう。

からかさおばけ

からかさおばけのねこようかい。茶色い体毛の猫の姿をしているが、顔が閉じた傘の形になっており、二足歩行が可能で、いつも手に魚を持っている。傘だが水に濡れるのが嫌いで、雨が降ると慌てて家の中へと逃げ込む。ある雨の日に店の軒先で雨宿りをしていたところ、一人の女子学生と出会い、それからは彼女の家で飼われるようになった。飼い主の少女には「トラ吉」と呼ばれている。

ゆきおんな

雪女のねこようかい。真っ白な体毛にスリムな体型で、非常に美しい猫の姿をしている。1年前、雪山を登山中に遭難していた青年と出会い、彼のことを山小屋へと案内した。以来、彼に「ユキ」と名づけられ、飼われるようになった。寒いところが大好きで、よく冷凍庫に入っている。身の回りに冷気をまとっており、近くにいると涼しいが、季節を問わずゆきおんなの周りにだけ雪が降ることもある。飼い主の青年が大好きで、彼に対してツンデレなところがある。また非常に嫉妬深く、飼い主の青年が興味が示したものや彼に近づくものに対し、冷気を発して威嚇する。それは、相手が単なる虫であっても変わらない。

あずきあらい

小豆洗いのねこようかい。八の字眉毛でちょっと情けない顔立ちをした、茶色の体毛の猫の姿をしており、若い女性に飼われている。猫用のおもちゃやおやつにはいっさい興味を示さないが、ざるに入った小豆を、あぐらをかいてショキショキと洗うのが大好き。基本的に洗うばかりで、あずきあらい自身が小豆を食べることはなく、小豆味の食べ物にも興味はない。そのため、洗ったあとの小豆の処理はもっぱら飼い主の女性の担当で、彼女の食卓には何かと小豆が上ることが多く、辟易されている。ちなみに豆にはこだわりがあり、小豆以外の豆は洗わない。また小豆とよく似た大角豆(ささげ)も、しっかりと見分けることができる。

ぬりかべ

塗壁のねこようかい。人を見下ろすほどに巨大なグレーの熱い一枚板に、猫耳と猫の顔が付いた姿をしている。道をふさいで人を通せんぼするが、その理由は不明で、いつどの道に現れるかも明らかになっていない。実は温かくふわふわしており、疲れているとつい抱き着きたくなる衝動に駆られる存在で、抱き着いたが最後、仕事に行きたくなくなってしまう。ちなみに子猫の時は人間の片手ほどの大きさだが、それでも人を通せんぼする習性は変わらず、何匹かで横一列に並んで道をふさぐ。とある会社の部長を務める男性に懐き、彼の家に押しかけて飼われるようになった6匹のぬりかべもおり、飼い主の部長に「イチロー」「ジロー」「サブロー」「シロー」「ゴロー」「ロクロー」と名づけられている。見た目はまったく同じで、部長にしか見分けがつかない。

さとり

覚のねこようかい。スコティッシュフォールドのように耳が折れ曲がった、グレーの体毛の猫の姿をしている。両親と女子高校生の三人家族に飼われており、「グレイ」と名づけられている。飼い主をはじめとする人の思考を読むことが可能で、爪を切ろうとする母親から逃げたり、遊んであげようと考えている父親にすり寄ったりと、その能力をうまく活用している。また、飼い主の思考を読んでいろいろなことを手伝ってあげたりもするが、飼い主には、物事がうまく運んでいるのがさとりのおかげであるとは気づかれていない。またこれにより、何かと先回りして気を遣うため気疲れしがち。感受性が強く、悩みを抱えた人に感情移入しやすい心配性なところがある。

てんぐ

天狗のねこようかい。茶色い体毛のトラ猫の姿をしているが、顔に赤い天狗の面を付けている。M市に住む老夫婦に飼われており、「クラマ」と名づけられている。その強面で近所のボス猫的な立場にいるが、人間の子供に怖がられることもあり、気に病んでいる。ちなみに背中には小さな羽が生えているが、飛ぶ姿を見たものはなく、ふだんはふつうの猫と同様に歩いて移動している。

なまはげ

なまはげのねこようかい。手足の先だけが白くなった黒猫の姿をしているが、顔になまはげの面を付けている。これといって何か害を加えるわけでもないが、その恐ろしげな顔から、特に夜道でその姿を見た人に驚かれることが多い。

けうけげん

毛羽毛現のねこようかい。幅広でふかふかもこもこした絨毯(じゅうたん)のようなグレーの毛の塊の中に、猫の顔が付いた姿をしており、その形を自由に変えることができる。外からは見えないが、毛の塊の中には、ちゃんと足や尻尾もある。両親と幼い姉弟の四人家族に飼われており、「ペル」と名づけられている。もともとはペルシャ猫という触れ込みで、ふつうの猫の姿でこの家にやって来たが、飼い始めて1週間で現在の姿となった。非常に毛が長いためブラッシングが欠かせず、その時にはごっそり毛が抜けるもののの、あっという間にもとの状態に戻る。また、トリミングサロンで毛をカットしてもらうとふつうの猫の姿に戻るが、翌日にはもとの毛の塊になってしまう。飼い主の家族の中では特に父親に懐いており、まるでひざ掛けのように膝に乗ったり、寝る時にはまるで毛布のように覆いかぶさっている。ただしツンデレなところがあり、父親に自分のことが好きなのかと聞かれても認めようとしない。ちなみに彼のことは、自分の家来だと考えている。

いったんもめん

一反木綿のねこようかい。薄く長い白い布に、猫の顔と小さい手足が付いた姿をしている。「ロール」と名づけられ、小学生の子供のいる家庭で飼われている。特に飼い主の子供に好かれていつもいっしょにおり、寒い日に学校に行く時にはマフラー代わりに使われているほど。ちなみにいったんもめん自身にも、好きな人の首に巻きつきがちという特性がある。

えんらえんら

煙々羅のねこようかい。ブルーグレーのふわふわした煙の塊に、猫の顔が付いた姿をしている。3年前、小学生の少女がタクシーの水はねによりスカートを汚されてしまった際、彼女にまとわりついてその汚れを隠してあげた。以来、少女の家で「あお」と名づけられ、飼われるようになった。体が煙でできているため、ふだんはふわふわと宙を漂っており、どんな狭いところも通り抜けることが可能で、キャリーケースに入れることができない。また、暖気を浴びると膨らむ性質がある。扇風機やエアコンの風に吹かれてなびくのが好きなほか、匂いの付いた煙も大好きで、焼き鳥屋の前で一日中じっとしては、茶色く燻されて帰ってきたりする。

かっぱ

河童のねこようかい。緑色の体毛の猫の姿をしているが、頭にお皿、口にはくちばしがあり、背中には大きな亀の甲羅を背負っている。社会人の若い女性に飼われており、「みー太」と名づけられている。2年前、川にいたところを若い女性に助けられそうになったが、実際は特におぼれていたわけではなく、彼女のもとまでスイスイ泳いできてそのまま懐き、飼われるようになった。頭の皿が乾くと元気がなくなってしまうが、水をやりすぎると今度は元気になりすぎるので、加減が難しい。また、一日に最低一度は相撲を取りたがるため、飼い主の体力が問われる。泳ぐことも大好きで、飼い主の女性といっしょに風呂に入ることもある。好きな食べ物はきゅうりで、キャットフードもきゅうり味を好む。

ねこまた

猫又のねこようかい。白い体毛で二股に分かれた長い尻尾を持つ猫の姿をしており、二足歩行する。名前は「しょうざえもん」といい、古い大きな民家で暮らしており、3年前からとあるねこカフェで働いている。非常に長生きしていることから、老成し落ち着いた性格で、とにかく気が利く。また穏やかで丁寧な口調で人語をしゃべり、ねこカフェを訪れた客に対し、絶妙な距離感で多大な癒しを与えている。将棋を指したり、抹茶を点(た)てたり、水まんじゅうを作ったり、人間の肩を上手に揉んだりすることができるほか、本格長編ミステリー小説を執筆していたり、料理動画をアップしていたりと、とにかく多芸多才。最近は大型免許も取得した。また人間だけではなく、近所に住む猫たちにも非常に顔が広く、時に猫たちの考えを通訳して、さりげなく飼い主の人間に伝えてあげたりもしている。座右の銘は「悠々自適」。

けさらんぱさらん

ケサランパサランのねこようかい。小さな綿毛のような白い毛玉に、猫の顔が付いている。個体としては無数にいるが、まとまって一つの大きな毛玉になっていることもある。女子学生がいる家で飼われており、ひとまとめにして「マル」と名づけられている。狭い隙間に入り込むことが好きで、よく全員でミッシリと詰まっている。けさらんぱさらんは幸せを運ぶという言い伝えがある。

つるべおとし

釣瓶落としのねこようかい。つるっとしたやわらかそうな楕円形の体に猫の顔があり、猫耳と尻尾だけが生えた姿をしている。配色は白黒に茶トラの三毛。非常に大きく、体長は人間の身長と同じくらい。のっぺらぼうの飼い主が住んでいるアパートの大家の飼い猫で、名前は「みけちゃん」。高い木の上に上って、そこから勢いよく飛び降りるのが好き。

だいだらぼっち

ダイダラボッチのねこようかい。体毛が白と黒のハチワレ猫の姿をしており、鼻の横に小さな黒ブチ模様がある。2階建ての建物と同等なほど非常に大きいが、温和で優しい性格をしている。ふだんは山に住んでいるが、小学生の少年と親しくよくいっしょに遊んでおり、彼には「ゴロー」と呼ばれている。ちなみにだいだらぼっちはまだ子猫で、母親は連なった山々よりも大きい。

ねぶとり

寝肥のねこようかい。白とグレーのトラ柄の体毛で、猫の姿をしている。小学生の少年のいる家で飼われており、「チビ」と名づけられている。ふだんは子猫ほどのサイズだが、寝ていると時間の経過と共にどんどん大きくなっていく。そのため、トートバッグに入り込んで寝て壊してしまったり、寝ているあいだに巨大化した体の下に物を隠してしまったりと、意図せず飼い主に迷惑をかけることが多い。ただし、ねぶとり自身はマイペースな性格で、そんなことはいっさい気にせず、好きな時に好きな場所で寝てばかりいる。

かまいたち

鎌鼬のねこようかい。茶色と白のツートンカラーの体毛の子猫の姿をしている。つねに3匹いっしょに行動しているが、兄弟かどうかは不明。1匹目が「トンッ」と体当たりし、2匹目が「パリッ」と引っかき、3匹目が「ペロッ」と舐めるという一連の行動を繰り返すが、やられた方は特に痛みを感じることもなく、ケガもしない。悪戯好きで、一連の行動で障子を破ったり、畳んだ洗濯物を散乱させたりするが、人間の子供に対しては悪戯を仕掛けない律儀なところがある。もともとは野良だったが、道端で一連の行動を繰り出そうとした際、相手が犬であることに気づいて慌てた男子学生に制止され、それからは彼の家で飼われるようになった。

うみぼうず

海坊主のねこようかい。青い体色の猫の姿で海を漂っているが、たまに島と間違えて上陸しようとする人もいるほどに大きい。心優しい性格で、一人で海を訪れた女性の前に現れて、自殺しないかと心配して止めようとしたり、潮干狩りに来たのに不漁だった家族のために貝を掘り出してあげることもあり、近くの海を漁場にしている漁師の男性や、浜辺の近隣住民にかわいがられている。海の守り神だという言い伝えがあるほか、うみぼうずが現れる場所には魚がたくさん集まる、溺れている人を助けたことがあるなどと噂されているが、中には某国の実験生物であるなどという眉唾物の噂もある。

さざえおに

栄螺鬼のねこようかい。白い体毛に茶色の斑点のある猫の姿をしており、サザエのような形をした大きな巻き貝を背負っている。子猫のうちはふつうのサザエと見分けがつかない程に小さく、ある日、魚屋の青年にサザエと間違って仕入れられ、それからは彼の家で暮らすようになった。ふだんは魚屋の店先に出て、店の守り神として仕事に励んでいるが、トロ箱が大好きで、見つけるとすぐに中に入ってしまう。その姿かたちから移動が非常に苦手で、何かと魚屋の青年に運んでもらうことが多く、彼にとってのいい筋力トレーニングになっている。魚屋の青年には非常にかわいがられており、彼がハイキングに行く時にも、まるでリュックのように背負われて連れて行ってもらっている。ちなみに驚いた時や寝る時は、巻貝の中に引っ込んでしまう。

とうふこぞう

豆腐小僧のねこようかい。白い体毛にグレーの斑点のある小柄な猫の姿をしており、背中に唐傘を背負っている。豆腐が大好きで、老夫婦の営む豆腐屋に足しげく通ううちに、豆腐の味がわかるヤツとして威勢のいい主人に気に入られ、「まめぞう」と名づけられて豆腐屋夫婦の家で飼われるようになった。豆腐を舐めるためふつうの猫に比べて舌が長く、豆腐を舐め終わったあとは、舌を出したまま寝てしまうこともある。ちなみに豆腐屋の主人によれば、木綿と絹ごしでは舐め方が微妙に違うという。

すねこすり

すねこすりのねこようかい。白い体毛で、両耳と背中の部分だけが黒くなった猫の姿をしている。額を触ると非常に気持ちがいい。人間のすねに頭や体をこすりつけるのが大好きで、中でも飼い主である若い女性のすねが特に好き。歩いている時でもお構いなしにこすりつけてくるので、飼い主の女性には危ないとよく注意されている。

ぬえ

鵺のねこようかい。茶色の体毛の猫の姿をしているが、お腹と手足は黄色のトラ柄、尻尾は緑色の蛇になっている。眼鏡をかけた老婦人の家で飼われており、体毛が3色という理由で、彼女には三毛猫だと思われている。屋根の上で鳴くのが好きだが、鳴き声は「ヒュー、ヒュー」という、ちょっと変わったもの。

おに

鬼のねこようかい。赤い体毛の猫の姿をしているが、頭には1本の角があり、トラ柄のパンツをはいて二足歩行する。2年前、生まれて3か月くらいの頃に電柱の陰で震えていたところを一人の青年に発見され、彼に飼われるようになった。当時、おにのことを診察した獣医の勧めを受けた青年から、こん棒とトラ柄のパンツを与えられ、今でもそれを大事にしている。なお、頭の角は猫の爪と同様に伸びるので、定期的な手入れが必要。嫌いなものは豆。

てんじょうさがり

天井下りのねこようかい。茶色い体毛の猫の姿をしている。若い女性に飼われており、「チョビ」と名づけられている。ふだんは後ろ足だけで天井からぶら下がっており、体を伸ばして下にいる人間に触ることもある。なお、ぶら下がっているのはただ単に好きだからで、てんじょうさがり自身には人を驚かしたり、迷惑をかけるつもりはいっさいない。

くだん

件のねこようかい。グレーの体毛で、額に牛のような2本の角がある猫の姿をしている。ユウタという男子学生が暮す家で飼われている。人語を話すことが可能で、時おり予言めいたことを言うが、不思議とそれがよく当たる。一方で、予言に見せかけて自分の希望を口にしているだけのこともある。

すなかけばばあ

砂かけ婆のねこようかい。砂の色をした体毛で、長毛種の猫の姿をしており、若い女性の家で飼われている。砂が大好きで、外に遊びに出かけては全身に砂をまとわりつかせて帰ってくるため、とにかく手入れが大変で飼い主泣かせ。ちなみに体毛が砂色に見えるのは文字通り砂によるもので、本来の体毛は真っ白。

ころぽっくる

コロポックルのねこようかい。黒と白のツートンカラーの体毛の猫の姿をしているが、非常に小さく人間の手のひらサイズしかない。たくさんの鉢植えを育てている、若い女性の家で暮らしている。おとなしい性格で、そのサイズ感も相まって見つけるのが難しく、見た者には幸運が訪れるという言い伝えがある。蕗の葉の下にいるのが好き。

ざしきわらし

座敷童のねこようかい。白い体毛で、殿上眉のある猫の姿をしている。とある旅館に住み着いており、旅館の従業員たちからは「わらし様」と呼ばれている。旅館の障子を破いたりといたずら好きだが、非常に人懐っこく、すぐに旅館の客の前に姿を現しては、いっしょに遊んだり寝たりしている。ざしきわらしと出会った者は、幸せになれるという言い伝えがある。

なめおんな

嘗女のねこようかい。白黒茶色の体毛の猫の姿をしている。大学生の青年がいる家庭で飼われている。子猫の時から人を舐めるのが大好きで、今でも飼い主の青年の顔を遠慮なく舐めている。なめおんなに舐められると肌がツヤツヤになるという言い伝えがあり、事実、飼い主の青年は女友達に驚かれるほどに綺麗な肌をしている。

その他キーワード

ねこようかい

猫のような妖怪のような、不思議な生き物。ほとんどのものが猫のような外見をしているが、もととなった妖怪に応じて、のっぺらぼうだったら顔がなかったり、かっぱだったら体色が緑色で頭にお皿、口にはくちばし、背中に甲羅を背負っていたりと、妖怪固有の特徴を持つものもいる。また、その生態も猫と妖怪をミックスしたものとなっている。ふつうの猫のように人間社会に溶け込んでおり、人間に飼われているねこようかいも少なくない。一部の例外を除き、飼い主をはじめとする身近な人にはその特性を把握されているが、基本的にふつうの猫と変わらない扱いを受けている。

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