わらってクイーンベル

わらってクイーンベル

スイスの山奥にある全寮制の学校で暮らすクイーンベル・ハミルトンは父親を知らずに育ったが、実は父親はイギリスの大富豪だった。突如住む世界が一変したクイーンベルの、上流社会で奮闘する姿や恋愛模様を描いたラブコメディ。「りぼん」1973年4月号から9月号にかけて連載された作品。

正式名称
わらってクイーンベル
ふりがな
わらってくいーんべる
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概要・あらすじ

クイーンベル・ハミルトンは小さい頃に父親と死別し、さらに母親のソフィアとも死別。7歳から10年間、スイスの山奥にある全寮制の女学校で暮らしていた。そんな中、後見人であるミスター・ボストンから実は父親はイギリスの大富豪サー・ロワイヤルであり、クイーンベルの母親は彼の愛人だったことを告げられる。さらにサー・ロワイヤルが亡くなったため、ロワイヤル家の遺産相続でイギリスへ引っ越すことになる。

そんなクイーンベルの前に異母兄弟と名乗るエルヴィオスとその友人ジュリアーノ・ディファルジェの男性二人組が現われ、遺産相続は波乱の展開を見せる。閉鎖的な学校で暮らしていた世間知らずなクイーンベルが上流社会の中で揉まれ成長し、いつしかエルヴィオスとジュリアーノの間で恋心は揺れ動くことになる。

登場人物・キャラクター

クイーンベル・ハミルトン (くいーんべるはみるとん)

17歳の少女。周囲からは「クイーン」と呼ばれている。母親のソフィアと7歳の時に死別し、それ以降スイスの山奥にある全寮制の学校で暮らしていた。父親はクイーンベル・ハミルトンが幼い頃に死別したと聞かされていたが、実はイギリスの大富豪サー・ロワイヤルこそが父親であり、クイーンベルは愛人の子という間柄になる。 暗い出生ではあるものの、明るく笑顔を絶やさない素直な性格の持ち主。17歳にしては見た目が幼く、初対面時にはエルヴィオスから幼女扱いされたほど。父親の遺言はクイーンベルに全財産を相続するとの内容ではあったものの、愛人の子であることからクイーンベルの祖母には相続を認められていない。世間と隔離されていたため少し常識知らずなところがあり、男性と関わる機会もなかったことから恋愛は未経験。 やがてエルヴィオスとジュリアーノ・ディファルジェとの間で恋心を揺れ動かすこととなる。

エルヴィオス

サー・ロワイヤルと前妻のエラリーとの間に生まれた青年。周囲からは「エル」と呼ばれている。優しくさわやかで、整った顔立ちをしている。同じ孤児院で育ったジュリアーノ・ディファルジェとは親友同士。クイーンベル・ハミルトンとは異母兄弟となるが、彼女の明るさと誠実さに心惹かれてしまう。

ジュリアーノ・ディファルジェ (じゅりあーのでぃふぁるじぇ)

エルヴィオスの親友の青年。周囲からは「ジュノ」と呼ばれている。エルヴィオスとは同じ孤児院で育ち、まるで兄弟のように仲がいい。金色の長髪を持つイケメン。プレイボーイで、エルヴィオスよりも女性の扱いには慣れている。これまで付き合っていたタイプとはまったく異なる、まっすぐで純粋なクイーンベル・ハミルトンに心惹かれていく。

アイーダ

サー・ロワイヤルの弟の娘で、クイーンベル・ハミルトンのいとこにあたる。クイーンベルの祖母に気に入られている、気の強い美しい黒髪の少女。愛人の子であるクイーンベルの存在を快く思っておらず、「どろぼう猫」などと初対面から酷い言葉を浴びせる。クイーンベルの祖母の意向により遺産を相続する可能性の高いエルヴィオスに気に入られようと、何かとアプローチをかけている。 なお、サー・ロワイヤルの直系であるクイーンベルやエルヴィオスが相続しなかった場合は、ロワイヤル家の遺産はアイーダのものになると考えられていた。

ソフィア

クイーンベル・ハミルトンの母親で故人。優しく美しい女性で娘のクイーンベルを心から愛していたが、クイーンベルが7歳の時に病のため亡くなった。実は大富豪であるサー・ロワイヤルの愛人で、クイーンベルは彼との間にもうけた子供だが、クイーンベルには父親は死んだと言い聞かせていた。

クイーンベルの祖母

ロワイヤル家で絶対的な権力を握っている女性。息子であるサー・ロワイヤルに先立たれたため、現在はロワイヤル家の家長となっている。ロワイヤル家の家柄を何より重んじており、愛人の子であるクイーンベル・ハミルトンに厳しくあたる。また、サー・ロワイヤルはクイーンベルに遺産を相続させると遺言を残しているがこれを認めておらず、正妻であったエラリーの子であるエルヴィオスに相続させることを望んでいる。 自分に懐いているアイーダがお気に入り。

サー・ロワイヤル (さーろわいやる)

ロワイヤル家の当主の男性で故人。正妻はエラリー、愛人はソフィア。エラリーとの間にエルヴィオス、ソフィアとの間にクイーンベル・ハミルトンをもうける。エラリーが妊娠中に別れたため、エルヴィオスの顔を見たことはない。クイーンベルとは彼女が幼い頃に何度か会っている。前妻であるエラリーとは夫婦仲は最悪であり、ケンカ別れをしている。 その後、ソフィアと出会い激しい恋に落ちるが、エラリーが離婚届を提出せずに出て行ってしまったため、ソフィアとは結婚していない。ロワイヤル家の遺産はすべてクイーンベルに相続させるよう遺言を遺した。

エラリー

サー・ロワイヤルの正妻で、エルヴィオスの母親。夫婦仲が最悪であったため、エルヴィオスを妊娠中にも関わらず屋敷を飛び出し、実家のあるアメリカへと帰ってしまう。また出産後は、エルヴィオスを育てることなく孤児院に預けた。

ミスター・ボストン (みすたーぼすとん)

ロワイヤル家に仕える白髪の初老男性で、キティの父親。ソフィアが死去した際にはサー・ロワイヤルより命を受け、クイーンベル・ハミルトンをスイスの全寮制の女子学校に入学させた。クイーンベルのことをとてもかわいがっており、学校生活が合わないのではないかと心配していた。クイーンベルがイギリスに来てからも何かと気にかけ、彼女に冷たくあたるクイーンベルの祖母に対し、時に意見することもある。

キティ

ロワイヤル家に出入りする少女。ミスター・ボストンの娘で、クイーンベル・ハミルトンがスイスからイギリスにやって来た際には父親の代わりに出迎えた。非常にさっぱりとした性格で、父親の主人の家系であるクイーンベルともまるで友達のように接する。ロワイヤル家の内情に詳しく、クイーンベルに情報を教えてくれることもある。

マージ

クイーンベル・ハミルトンが、スイスの山奥にある全寮制の女学校にいた頃の親友。ミスター・ボストンから荷物が届いた時には一緒に喜んだり、クイーンベルが居眠りの罰として食事抜きにされた時には、こっそり差し入れをくれたりする心優しき少女。

集団・組織

ロワイヤル家 (ろわいやるけ)

イギリスでも上位に入るほどの裕福な名門一族。当主のサー・ロワイヤルが死去したため、現在は彼の母親であるクイーンベルの祖母が家長となり実権を握っている。サー・ロワイヤルは、クイーンベル・ハミルトンに全財産を相続させるとの遺言を遺したが、クイーンベルの祖母としては正妻の子であるエルヴィオスに相続させたいと考えている。

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