概要・あらすじ
サラは荒野で暮らすヒン族の族長の娘。色気より食い気が勝る17歳。ヒン族の味付けは塩のみで、食材も羊肉や乳製品ばかり。世界中の食材やご馳走が集まるバルジャン王国、美食の楽園、王都ドルマスに強い憧れを持つサラは、反対する父の目を盗んで一人で王都に旅立つ。彼女は夜通し馬を南へ走らせるものの、王都には到着せずに、道に迷ってしまう。
サラは森で黒髪の青年に道を尋ねようとするが、突然襲われ、拘束されてしまう。黒髪の青年、アルトは任務で王都に行く途中、盗賊に物資を狙われたため、サラを盗賊と勘違いしたのだ。盗賊の疑いが晴れて解放されたサラは、アルトたちの集団を勝手にバルジャン王国の騎士団と思いこむ。自分も騎士団に入れてくれないかと頼むサラ。
王様に近い騎士団なら、庶民には手の届かないごちそうが食べられると思ったからだ。長い間何も食べていなかったサラは、空腹で腹が鳴ってしまう。アルトに東の森にメシ屋があると教わったサラは、「噂だが」という言葉を聞かずに飛び出してしまう。その後、盗賊団が東の森に隠れているという情報を得たアルトは、馬を走らせ東の森に向かった。
アルトはサラの無事を確認し、ホッとしたのも束の間、盗賊団に囲まれてしまう。馬に乗ったままサラを担いで逃げるアルト。サラは隠れ家的人気店だから、こんな森にもたくさんの人がいるのだと思っており、人気店を隠したい彼らがいきなり自分を襲ってきたため、少しやり返したという。仲間を傷つけられた盗賊団は、逆上して二人を追う。お腹が空き過ぎて力が出ないと言うサラに自分の昼ご飯の残り、ピタパンをカバンから出して食べろと言うアルト。
アルトに抱えられ、馬で逃げながら、ピタパンを食べようとしたその時、弓でピタパンを射抜かれてしまう。ショックと共に殺気立つサラ。飯は力あるものの所に集まると言いながら、襲ってきた盗賊団の一人を一太刀で倒すアルト。森を抜けると視界が開け、自分たちは格好の的になってしまうと言うアルトに、その方が好都合だと語るサラ。
アルトに抱えられたまま後ろを向いているサラは、ヒン族に伝わる三本射法で森から出てきた盗賊団を次々と倒し、全滅させてしまう。仲間のもとに戻ったアルトは、サラにピタパンをご馳走し、「お前は戦力になるから一緒に王都に行こう」とサラを受け入れる。
しかし、アルトは王都ドルマスを倒しに行く反乱軍である事を、サラには黙っていたのだった。
登場人物・キャラクター
サラ
ヒン族の族長の娘。17歳。直情的で活発、好奇心旺盛で食いしん坊。性格はよく言えば素直、悪く言えば単純。緑色の長い髪をポニーテールにしており、ツリ目で身体能力が高い。弓の名手で、ヒン族に伝わる三本射法を習得している。矢作りも得意。父の反対を押し切り、ごちそうを食べたいと言う目的で美食の楽園、王都ドルマスへ旅立つ。騎馬と弓は得意だが、泳ぎは苦手。
アルト
王都と敵対する反乱軍の団長。タレ目で、左目の下にホクロのある黒髪の青年。丸形で穴の開いたネックレスを着けている。国王を討つという自分たちの目標を達成するため、王国の騎士団だと勘違いしているサラに、自分の素性を明かさずに利用しようとした。だが、サラがピンチになると、必ず助けてくれる優しい一面もある。
集団・組織
ヒン族 (ひんぞく)
大陸最強と謳われる騎馬民族。3本同時に矢を放つ三本射法で敵を射る。荒野で暮らし、羊肉や乳製品を食す。味付けは塩のみ。サラの父が族長を務め、多くを求めず身の丈にあった生活をしている。
場所
王都ドルマス (おうとどるます)
バルジャン王国の中央に位置する王都。美食の楽園と呼ばれ、世界中の食材が集まり、調理法もバラエティに富んでいる。栄えている王都は高い壁に囲まれており、壁の外は治安が悪く盗賊であふれている。ごちそうを食べてみたいというサラが憧れている場所。しかし、その王都は国民たちから作物を奪い、反抗するものは見せしめに殺す、という国王の悪政で栄えている場所だった。
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