ピーチガールNEXT

ピーチガールNEXT

上田美和の『ピーチガール』の続編で、安達ももたちが高校生だった前作の10年後が舞台となっている。結婚を目前に控えた27歳のももと岡安浬の新居のとなりに、ももの高校時代の天敵である柏木紗絵と、ももの元彼の東寺ヶ森一矢が引っ越してきた事から、再び巻き起こる恋愛模様を描いたラブコメディ。「BE・LOVE」2016年第17号から2020年2月号まで連載。

正式名称
ピーチガールNEXT
ふりがな
ぴーちがーるねくすと
作者
ジャンル
ラブコメ
レーベル
BE LOVE KC(講談社)
巻数
既刊8巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

ダイビングショップに勤務する安達ももと蕎麦屋の店主の岡安浬は、高校生の頃からの付き合いで、現在は同棲していた。なかなか結婚を切り出さない浬にももは不安を覚えていたが、子供が三人欲しいというもものために浬は貯金に励んでおり、ついに目標金額に達した事から二人は晴れて結婚を決める。だが、引っ越した新居のとなりには、ももの高校時代の天敵である柏木紗絵の姿があった。しかも、紗絵は高校時代のももの彼氏である東寺ヶ森一矢と同居中だという事を知り、ももはさらなる衝撃を受ける。昔からももの持っているものを執拗に欲しがる紗絵は、あの手この手でももと浬の邪魔をしてくる。そんな中、紗絵に誘導されてクリニックの検診を受けた浬は、子供を望むのが難しいと診断される。自分ではももの夢を叶えられないと知った浬は、ももに別れを告げる。

第2巻

柏木紗絵が、安達もも岡安浬の新居のとなりに引っ越してきた理由は、ももが友達に送ったという引っ越しハガキが自分には送られてこなかった事に端を発していた。一方、東寺ヶ森一矢が紗絵と同居したのは、ももを紗絵から守るためだけではなく、紗絵にももと自分を比べるのをやめてほしかったからだった。そんな中、紗絵はありのままの自分を認めてくれる一矢に惹かれていく。紗絵は一矢を好きになった事をももに打ち明けるが、ももは紗絵だけには一矢を好きになってほしくないと全否定し、一矢を紗絵から遠ざけようと躍起になる。高校時代と同じく、紗絵が再び一矢を傷つけるのではないかと恐れるももに対し、浬は一矢にこれ以上深入りしないように忠告する。

第3巻

東寺ヶ森一矢といっしょにいるために、ダイビングスクールの講習に来た柏木紗絵に、安達ももは複雑な思いを抱く。だが、自分勝手に振る舞いながらも、一矢を笑顔にさせている紗絵を見て、毒も少しなら薬になるのかもしれないと、ももは自分を納得させる。一方、一矢と紗絵の同居を知った一矢の義母の北川汐里は怒りにまかせ、一矢の娘の東寺ヶ森海結は自分が育てると言い出す。紗絵はそんな汐里を強欲だと責め立てるが、一矢は紗絵の家を出て行く事を決める。そんな中、聞く耳を持たなかった汐里がぎっくり腰になってしまい、状況は一変。汐里は海結を一矢に返す事に同意する。こうして、紗絵の家では一矢と紗絵による育児の日々が始まるが、子育てに慣れない二人のあまりの危なっかしさに、ももは手伝いをせざるを得なくなってしまう。

第4巻

岡安浬はケアセンターで、中学時代から思いを寄せていた安芸操に再会する。操は祖母である安芸睦の介護中心の生活を送っていた。介護疲れで精神的にまいっている操を放っておけず、浬は安達ももに内緒で操を手助けするようになる。一方、浬が操と会っていると察知したももは、操に深入りする浬に釘を刺す。そんな中、東寺ヶ森一矢を好きになった柏木紗絵は外堀を埋めようと、一矢の義母の北川汐里との距離を縮めるが、一矢に自分の気持ちを知られてしまう。驚いた一矢は紗絵の真意を確認すべく、浬の蕎麦屋を訪ねると、そこには高校の養護教諭だった操の姿があった。すると、操は一矢をこっそりホテルに誘い、高校時代に操に世話になった一矢はホテルに行くだけだと思って快諾。しかし操には、介護に縛られるアラフォーの切実な思いがあった。

第5巻

ホテルのラウンジで食事していた柏木紗絵は、東寺ヶ森一矢安芸操に鉢合わせし、安達もも岡安浬に泣きつく。真相を確かめようと操に会いに行った紗絵は、高校時代、浬の本命が操だった事を知り、今度は浬と操をくっつけようと画策する。一方、浬は操が一矢をホテルに誘った事が気になっていた。また、ももは操への思いから浬が自分に別れを切り出した高校時代を思い出し、危機感を抱いていた。ギクシャクするももと浬だったが、お互いの胸中を打ち明け合い、無事仲直りする。そんな中、紗絵は一矢が誘ったように見せかけ、操をホテルに呼び出し、浬をホテルに行くように仕向ける。それを知った浬はももを置いて、ホテルに駆けつける。一方、紗絵は一矢が紗絵の家を出て行こうとしていると感づく。

第6巻

安芸操岡安浬が、ホテルの一室にいたと知った安達ももの心中は穏やかではなかった。ある日、ももは東寺ヶ森一矢に出て行ってほしくない柏木紗絵が、一矢を階段からつき落とそうとするのを目撃。阻止しようとしたももが紗絵ともめ、ももを助けようとした一矢が負傷してしまう。一方、操は祖母の安芸睦の介護に協力的でない両親に苛立ち、家出する。操から頼られた浬は、操を守ろうと暴走し、そんな浬を見たももは結婚を不安視する。そんな中、操が身を寄せる事になった紗絵の家に操の父が訪れ、操の母が倒れたので、介護のために操に家へ戻ってくるように告げる。

登場人物・キャラクター

安達 もも (あだち もも)

ダイビングショップに勤務する女性。スキューバダイビングのインストラクターを務めている。年齢は27歳。日に焼けた肌に茶髪のロングヘアという派手な容姿とは裏腹に、性格は純情そのもの。子供の頃、いとこ二人ときょうだいのように育ったため、子供を三人産むのが夢。岡安浬とは高校生の頃から10年間付き合っており、同棲して4年になる。結婚を視野に入れ、新居に引っ越した矢先、隣家に高校時代の天敵の柏木紗絵と、自分の元彼の東寺ヶ森一矢が引っ越してくる。結婚を阻止しようとする紗絵の度重なる嫌がらせにもめげず、浬との絆を深めていく。一矢から、紗絵が自分に執着するのは好きだからだと諭され、いつか紗絵ともわかり合える日が来るかもしれないと思うようになるものの、一矢を好きになった紗絵を応援する気にはなれないでいる。そんな中、浬の中学時代からの思い人である安芸操の登場で、浬との結婚を不安視する。一方で、高校時代からいつも自分を守ろうとしてくれた一矢の存在が、自分の中で大きくなっていく。

岡安 浬 (おかやす かいり)

蕎麦屋「安永(あんえい)」の店主を務める男性。年齢は27歳。前髪が長めの短髪にしたイケメン。穏やかで優しい性格ながら、猪突猛進タイプ。安達ももと高校生の頃から10年間付き合っており、同棲して4年になる。大学を休学して蕎麦屋で修業し、またたく間に腕を上げ、のれん分けをしてもらって店を持ったという経緯がある。子供を三人欲しいというもものため、貯金に励んでいた事で結婚を言い出すのに時間がかかったが、店の常連の福の神からプレゼントされた新居にももと引っ越し、店の六周年に結婚するつもりでいた。そんな中、隣家にももの天敵の柏木紗絵と、ももの元彼の東寺ヶ森一矢が引っ越してきた事から、さまざまな恋愛騒動に巻き込まれる。ももには一途で、ももと元彼である一矢との恋の再燃を気にしていたが、中学時代からの自分の思い人である安芸操の登場で、介護に苦しむ操を放っておけなくなり、ももを不安にさせるようになる。ももや紗絵たちからは「岡安」と呼ばれているが、操からは「カイリ」と呼ばれている。

柏木 紗絵 (かしわぎ さえ)

つねに自分勝手に振る舞う、したたかな性格の舞台女優。年齢は27歳。ボブヘアの小柄な体形をしている。高校時代の安達ももの天敵で、とんでもないウソをついたり、当時ももと付き合っていた東寺ヶ森一矢との仲をぶち壊した過去がある。舞台の主役やテレビのレギュラー番組が決まるなど、仕事は順調そのもの。だが、ももが友達に送ったという転居を知らせるハガキが来ない事に腹を立て、ももの隣家にももの元彼である一矢と共に引っ越してきた。ももに対しての執着心は異常で、いつもももと自分を比べているようなところがある。ももと岡安浬の結婚を阻止しようと躍起になっていたが、いつの間にか自分を等身大で見てくれている一矢を好きになっていた事に気づく。また、安芸操が浬の高校時代の本命だったと知り、浬と操をくっつけようと画策する。自分のファンである産婦人科医の津志をスポンサーとして都合よく使っている。

東寺ヶ森 一矢 (とうじがもり かずや)

前髪が短めの短髪イケメンで、会社員の男性。年齢は27歳。安達ももの高校時代の元彼。比較的無口だが、人の傷みを思いやれる優しい性格で、女性の恋愛感情に疎いところがある。柏木紗絵に誘われ、紗絵の同居人としてももの新居のとなりに引っ越してきた。一年前に結婚したが、半年前に妻の東寺ヶ森凪沙を事故で亡くしている。子供の 東寺ヶ森海結は妻の実家に預けていたが、海結を取り上げられる事を恐れた義母の北川汐里が、東寺ヶ森一矢が海結に会う事を拒みだしたため、無気力状態となっていた。そんな時、紗絵からももと岡安浬の絆を確かめようと誘われ、彼らに会ってみたいと思い、紗絵の提案を受け入れたという経緯がある。変わらない紗絵の毒っ気に、むしろ癒されているところも大きい。だが、紗絵が自分を好きだという気持ちを知ってしまい、紗絵の家を出て行くつもりでいる。ももや紗絵からは「とーじ」と呼ばれている。

東寺ヶ森 凪沙 (とうじがもり なぎさ)

東寺ヶ森一矢の妻。ショートヘアでスリムな体形の女性。妊娠8か月の時に事故に遭い、東寺ヶ森海結を産んで亡くなった。一矢と同じ会社に勤めており、社員旅行で行った沖縄で恋愛関係になり、結婚した。太陽のように明るい性格で、そこにいるだけで周りを笑顔にするような優しい人柄だった。

東寺ヶ森 海結 (とうじがもり みゆ)

東寺ヶ森一矢と東寺ヶ森凪沙の娘。まだハイハイしている赤ちゃんで、母親が亡くなってからは、祖母の北川汐里に育てられていた。だが、柏木紗絵の介入で、紗絵の家で一矢と暮らすようになる。実質的には紗絵と一矢が面倒を見ているが、安達ももによく懐いている。

あやめ

蕎麦屋の従業員の若い女性。ロングヘアを緩く一つに束ねて、口元にホクロがある。岡安浬に思いを寄せており、それを知った柏木紗絵から安達ももの悪口を吹き込まれ、浬をだますような格好でラブホテルに連れ込むが、紗絵の本性を知って改心する。休日は祖母の世話をするため、ケアホームに顔を出す事が多く、同じくホームに訪れる安芸操とも仲がいい。また母親を早くに亡くしているために家事を担当するなど、遊んでいそうな外見とは異なる意外な一面を持つ。

安芸 操 (あき みさお)

岡安浬の中学時代の家庭教師。浬や安達ももたちが通っていた高校の養護教諭をしていた女性で、年齢は35歳。特に美人ではないが眼鏡をかけており、ぽちゃりした優しそうな人物。祖母の安芸睦の介護をほとんど一人で引き受け、生きがいだった仕事を辞めたという経緯がある。処女である事から、介護疲れの冴えないアラフォーを相手にしてくれる人はいないだろうと、切羽詰まった思いを抱えている。そんな時、なんでも力になると言ってくれた東寺ヶ森一矢を思い切ってホテルに誘う。柏木紗絵にとっては10年前、浬の兄の岡安涼を自分から奪った女性であり、浬と安芸操をくっつけようとする紗絵の策略に巻き込まれつつある。介護に非協力的な両親の態度に我慢できなくなり、自分を慕ってくれる浬を頼ってしまったため、浬とももの仲が危機的状況に陥るきっかけをつくった。ケアホームで知り合ったあやめと仲がいい。

安芸 睦 (あき むつ)

「森星ケアセンター」でケアを受けている高齢の女性。安芸操の祖母で、安芸富士夫の妻。夫を8年前に亡くしており、肺炎で入院した時に認知症が一気に進み、現在は手がつけられないほど攻撃的になる時がある。基本は操が在宅で介護を担当し、たまにケアセンターに通っている。ケアセンターに蕎麦を打ちに来た岡安浬を夫の富士夫だと思い込んでおり、浬に会うと機嫌がよくなるものの、浬が女性と話していると烈火のごとく怒り出す時もある。浬からは「むっちゃん」と呼ばれている。

操の母 (みさおのはは)

安芸操の母で、操の父の妻。義父の安芸富士夫が亡くなって肺炎を患った義母の安芸睦の看病をしていたが、体を壊してしまい、現在は認知症が一気に進んだ義母の世話を操に押しつけている。今は無理はできないと言い訳し、ほとんど介護を手伝っていない。

操の父 (みさおのちち)

オールバックヘアに眼鏡をかけた会社員の男性。安芸操の父で、操の母の夫であり、安芸睦の息子。仕事を理由に家庭の問題に関与しようとしない自分勝手な性格の持ち主。祖母の世話をほとんど一人でしている操をいたわるどころか、無神経な言葉を投げかけたり、介護疲れで操が家出した時には、操の母が倒れたと呼び戻しに来る。そんな態度に腹を立てた岡安浬から、自分は簡単に助けを求めるのに、操のSOSは見ないふりをしていると責められた。

福の神 (ふくのかみ)

蕎麦屋「安永」の常連客。オールバックヘアをした和服姿の高齢の男性。食道楽で有名な資産家で、通う店はみな繁盛すると言われているため、みんなから「福の神」と呼ばれている。岡安浬を気に入っており、店中の客の勘定を払ったり、従業員に高価なプレゼントをしたりと、びっくりするようなお金の使い方をする。極めつけに、浬の結婚祝いに孫が使わなくなった新築一軒家をプレゼントした。

津志 (つし)

「津志ウィメンズクリニック」を経営する産婦人科医の男性。ショートヘアで眼鏡をかけている。柏木紗絵のファンでスポンサー的な存在。親のしいたレールを歩くだけの人生を歩んでおり、個性的で常識の枠を超えた紗絵のわがままに振り回されるのが好き。安達ももの新居のとなりに家を建ててあげたり、紗絵が劇団で優遇されるようにチケットをごっそり買ったりと、都合よく使われている事を楽しんでさえいる。紗絵からは「ツッシー」と呼ばれている。

北川 汐里 (きたがわ しおり)

東寺ヶ森凪沙の母親で、東寺ヶ森一矢の義母。肩までの長さのボブヘアにした初老の女性。娘が事故で亡くなり、孫の東寺ヶ森海結の世話をしているうちに情が移り、娘を失った悲しさから、次第に娘と孫を同一視するようになる。そんな中、柏木紗絵といっしょにいる一矢を見て激怒し、海結を自分たちの養子にすると言い出すが、ぎっくり腰になったところを、紗絵と安達ももに助けられて改心する。以降は海結を一矢のもとに返し、紗絵とも良好な関係を築いている。

前作

ピーチガール

卑劣なイジメにも屈せず強く優しくあり続けるももと、タイプの異なる二人の同級生との、複雑で切ない恋愛模様を描いた長編。講談社「別冊フレンド」1997年10月号から2004年1月号まで連載。第23回「講談... 関連ページ:ピーチガール

書誌情報

ピーチガールNEXT 8巻 講談社〈BE LOVE KC〉

第1巻

(2017-01-13発行、 978-4063945300)

第2巻

(2017-04-13発行、 978-4063945393)

第3巻

(2017-09-13発行、 978-4063945546)

第4巻

(2018-03-13発行、 978-4065110843)

第5巻

(2018-09-13発行、 978-4065127810)

第6巻

(2019-02-13発行、 978-4065144817)

第7巻

(2019-08-09発行、 978-4065165560)

第8巻

(2020-02-13発行、 978-4065184066)

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