兄友

兄友

女子高校生と、彼女の自宅によく遊びに来る兄の友人との、初々しい純真な恋愛模様を描く。赤瓦もどむにとって初のオリジナル物の連載作品。2018年春には、中島良監督による実写映画が公開された。

正式名称
兄友
ふりがな
あにとも
作者
ジャンル
恋愛
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あらすじ

第1巻

女子高校生の七瀬まいは、ある日、兄の七瀬雪紘の部屋に遊びに来ていた西野荘太が、「妹さん、かわいいな」と言っているのを薄い壁越しに聴いてしまう。二人はそれ以降少しずつ距離を縮めていき、ついには思いを伝えあって恋人同士となる。ある日、荘太が風邪を引いて寝込んでいるので看病しに行ったまいは、まいが自宅にいるのを夢だと思った荘太にキスされそうになるが、荘太が寸前で正気に戻ったので寸止めで終わってしまう。その後、雪紘と荘太の学校の学祭で、まいは荘太が同級生の少女に迫られているのを目撃してしまう。荘太に非がないのをわかりつつも、胸に痛みを感じたまいは勇気を出して自分が荘太の恋人である事を公言し、そして荘太に自分からキスをするのだった。

第2巻

七瀬まい西野荘太は、七瀬雪紘が荘太の妹の西野秋と交友関係を持っている事を知る。ある日、まいは外出中に雨に降られ、傘を持って迎えに来た荘太に連れられて西野家を来訪し、秋と初めて対面する。秋は人見知りなため、お互いに気まずい空気が流れるが、秋がはまっているゲーム「グッド♡コウチューン」をきっかけに、話が弾むようになる。また雪紘と秋が、男女の仲なのではないかと疑念を抱くまいだったが、それは誤解である事が判明する。その年の年末、まいは親戚ので手伝いをして年越しをする事になり、荘太を誘っていっしょに年越しを迎える。

第3巻

七瀬まいは学校で、新入生の少年にお弁当をあげた。その少年は実は西野荘太のいとこの加賀樹であった。樹はまいに恋をしてしまい、まいよりも先に、家庭教師を頼んでいる荘太にその事実を打ち明けた。樹は、初恋は実らないという一般論の前に悩みはするものの、やはりまいではなく荘太に対して、「自分はあきらめない」という旨の宣戦布告をするのだった。そんなある日、雨に降られた上に電車が止まってしまい、まいは樹と共に西野家に泊まる事になる。西野秋も交えてゲームなどしつつ、ギクシャクした時間を過ごしていたところ、深夜停電になってしまう。

第4巻

暗闇の中、西野荘太七瀬まいに、自分が加賀樹に嫉妬していたと打ち明ける。二人はキスを交し、また一歩距離を縮めるのだった。一方、自宅に帰って来たまいが、両親に荘太との交際について語ると、両親は荘太が七瀬雪紘の部屋に入り浸っている事から、二人が付き合っていると認識していたと言い出し、雪紘は激昂する。荘太も、まいの友人のりんごからその話を聞かされて愕然とする。そんな中、学校の備品を壊して雪紘の部屋で反省文を書く羽目になった西野秋の口から、雪紘との出会いが語られ、後日荘太も雪紘との出会いを語る。有能な生徒会会計であった雪紘は荘太を庶務としてスカウトし、それ以来、男同士の交流が始まったのだった。

第5巻

七瀬まいの親戚の住職の召集で、まい、西野荘太七瀬雪紘らは「B級グルメフェス」に参加し、精進バーガーを販売する事になる。そこには住職の孫の勇成もいて、荘太に敵愾心をぶつけて来る。イベントには加賀樹も参加し、そのイケメン効果で精進バーガーは飛ぶように売れ、B級グルメフェスは寺の優勝という結果に終わる。また、まいは偶然に荘太の父親である西野輝文と出会うが、樹の父親であると誤解してしまう。その後、B級グルメフェスの打ち上げで寺に泊まる事になったまいと荘太は、手違いで襖一枚を挟んだだけの部屋に通されてしまい、緊張で眠れない夜を過ごす事になる。

第6巻

七瀬まい七瀬雪紘の携帯電話が洗濯機に入れられて壊れてしまい、二人は新しくスマートフォンを購入する事になる。まいは友達招待キャンペーンに応募したいという、西野秋の頼みで「グッド♡コウチューン」をプレイする事になったが、勘違いから「グッド♡コンチューン」という偽物をダウンロードしてしまう。結局秋は、雪紘に「グッド♡コウチューン」をダウンロードしてもらい、友達招待キャンペーンに応募する事ができた。その後、まいと雪紘は「高倉書店」で短期間のアルバイトをする事になる。そこで、まいが客の女性に西野荘太に関するのろけ話をしたところ、その相手は偶然にも西野の母であった。

第7巻

高倉書店」でアルバイトをしている七瀬雪紘が、店を手伝っている孫娘の少女に恋愛感情を持たれる。しかし、その子は西野秋と雪紘が恋愛関係にあるものと誤解し、身を引く。そんな中、七瀬まいは学祭の実行委員に選ばれる。いっしょに回りたいと考える西野荘太であったが、まいの学校の学祭は父兄以外参加禁止であった。しかし、今年から派手に学祭を行なうという校長の決定で、まいは雪紘と荘太の高校に連絡を取り、学祭運営のノウハウを学びに行く事になる。色々とトラブルはあったが、まいと友人になった下級生の珠枝未希の活躍もあり、学祭は無事に成功裏に終わるのであった。

第8巻

七瀬まい珠枝未希達は、学祭の打ち上げでバイキングレストランに行く事になった。他校生ながら協力者である西野荘太、実行委員ではないがそれなりに活躍した加賀樹も呼ばれ、二人はまいのとなりを巡って火花を散らす。後日文化祭を成功させたお祝いに、未希の祖父である理事長からチケットを貰ったまいと荘太は、水族館でデートをする事になる。そして水族館で、偶然ぶつかった子供が持っていたぬいぐるみを取り違え、それを取り替えるために二人は奔走するのだった。一方、西野秋は「グッド♡コウチューン」の新キャラクター「ノコギリクワガタ」が、本物のノコギリクワガタの前でだと手に入りやすいという噂になっている事を知り、七瀬雪紘と共に山に虫取りに行く。その頃、荘太とまいは、いっしょに夏祭りに行く約束をしていた。

メディアミックス

実写映画

本作『兄友』の実写映画が2018年春に公開。監督は2009年に『俺たちの世界』でデビューした中島良が務めている。七瀬まい役は松風理咲、西野荘太役は横浜流星が演じている。横浜流星にとっては、これが初の単独主演映画となる。

ボイスドラマ

本作『兄友』のコミックス第6巻の発売を記念して、白泉社の公式サイト上でオリジナル録りおろしの音声ドラマが公開された。七瀬まい役を大橋彩香、西野荘太役を水島大宙、七瀬雪紘役を鳥海浩輔が務めている。

登場人物・キャラクター

七瀬 まい (ななせ まい)

商業系の共学高校に通う女子。よく言えば家庭的、別の言い方をすれば所帯じみたところがあり、本人も気にしている。兄の友人である西野荘太に告白され、交際を始めた。友人のりんごからは「まいまい」というあだ名で呼ばれている。

西野 荘太 (にしの そうた)

七瀬雪紘と同じ共学高校に通う男子。雪紘とは同学年で仲が良い友人同士。イケメンということもあり、同じ高校の女子人気は高い。雪紘の自宅に遊びに行った際に七瀬まいと知り合い、想いを寄せるようになった。その後はまいを目当てに、雪紘の自宅に足しげく通うようになる。のちにまいに告白し、晴れて恋人同士となるが、奥手な性格のため関係はなかなか進展しない。

七瀬 雪紘 (ななせ ゆきひろ)

七瀬まいの1学年上の兄。まいとは別の共学高校に通っており、生徒会長を務めている。生徒会には1年生の時から所属しており、当時は書記を務めていた。暴君のごとき振る舞いで、誰に対しても厳しくあたるが、有能なため多くの人に慕われている。さらにイケメンということもあって女性にもて、校内での女子人気は同じくイケメンで友人の西野荘太をも凌ぐ。 校内では「会長」と呼ばれることが多く、まいには「お兄」と呼ばれている。抹茶系のお菓子やスイーツが好物。

西野 秋 (にしの あき)

西野荘太の1学年下の妹。荘太と同じ共学高校に通っている。女子力の低いズボラ系のオタク少女であり、スマホアプリ「グッド♡コウチューン」にハマっている。かなりのドジっ子でもある。七瀬雪紘と親しいが、色恋的なニュアンスの関係ではなく、からかいの対象として気に入られている。

加賀 樹 (かが いつき)

西野荘太と西野秋のいとこの男子。七瀬まいが高校2年生になった時、新入生として同じ共学高校に入学して来た。学力が非常に高く、特進コースのクラスに所属している。入学当初から、お弁当をもらうなど何かと面倒を見てもらったことで、まいに対し恋に落ちた。黒縁の眼鏡をかけていることから、秋からは「黒縁」と呼ばれている。

りんご

七瀬まいと同じ高校に通う女子。まいとは高校に入ってからの友達だが、のぶ子とは幼なじみ。遊び人で、彼氏がいるが扱いが軽く、いつ別れてもいいというようなことを口にしては、まいを困惑させている。

のぶ子 (のぶこ)

七瀬まいと同じ高校に通う女子。まいとは高校に入ってからの友達だが、りんごとは幼なじみ。そのため、どこかまいに遠慮がちなりんごのわがままを一身に受け、振り回される立場にある。まいに対しては、自分と同じ苦労人として親しみを感じており、しっかり者でありながらどこか抜けているところを心配している。

金子 (かねこ)

七瀬雪紘と同じ高校に通う女子。度の強い眼鏡をかけている。雪紘とは同学年で、生徒会の書記を務めているが、もともと1年生の頃から雪紘とともに生徒会で書記を務めていた。家が金持ちで、お歳暮などでもらった高いお菓子を生徒会室に持ってくることが多い。西野荘太とも1年の頃から交流があるが、いつからか雪紘と荘太が恋愛関係にあると思い込んでいた。

佐久間 (さくま)

七瀬雪紘と同じ高校に通う女子。雪紘とは同学年で、西野荘太に片想いしている。文化祭の時、荘太に不意打ちでキスをした後に後夜祭に誘おうとしたが、佐久間の気持ちを察した七瀬まいに目の前で恋人宣言をされたため、荘太から身を引くことになった。

珠枝 未希 (たまえだ みき)

七瀬まいと同じ高校の、1学年下の女子。りんごから「たまちゃん」というあだ名を付けられたが、本人はそれをまんざらでもないと思っている。理事長の孫娘というお嬢様で、学食でカードを使おうとするなど世間知らずなところがある。身体が弱く入院がちな生活を送っていた。

七瀬父 (ななせちち)

七瀬まいと七瀬雪紘の父親。西野荘太が初めて交際の挨拶をした際、荘太と雪紘が恋人同士なのだと勘違いしたが、そのうえで交際を承諾するなど懐の深い男性。お茶目なところがあり、誤解が解けた後は、荘太にまいのことを名前で呼ばせて恥ずかしがらせ、からかったりしている。七瀬母とは似た者夫婦。

七瀬母 (ななせはは)

七瀬まいと七瀬雪紘の母親。西野荘太が初めて交際の挨拶をした際、荘太と雪紘が恋人同士なのだと勘違いしたが、そのうえで交際を承諾するなど懐の深い女性。お茶目なところがあり、幼い頃にまいが雪紘のお嫁さんになりたいと言っていたなどというホラ話をして、荘太を動揺させて面白がったりしている。七瀬父とは似た者夫婦。

西野 輝文 (にしの てるふみ)

西野荘太と西野秋の父親。英国に単身赴任中だが、ある日突然、2年ぶりに帰国して家に帰って来た。実は七瀬父とは昔馴染みであり、互いに大学生の頃、同じ学校に留学していた経験がある。その縁で今なお「てるてる」と呼ばれているが、西野輝文本人は非常に嫌がっている。

西野母 (にしのはは)

西野荘太と西野秋の母親。夫の西野輝文、そして七瀬父とは大学時代に同じ学校に留学していたという縁があり、その当時、七瀬父から食事に誘われたりしたこともあった。荘太の恋愛には興味津々だが、遠慮して家の中でその話を持ち出せずにいた。

住職 (じゅうしょく)

七瀬まいと七瀬雪紘の伯父にあたる壮年の僧。寺の住職でありながら金儲けに目がない、かなりの生臭坊主。賞金目当てで精進バーガーなるメニューを考案してB級グルメフェスに挑戦するなど、俗っぽいことによく手を出している。

伯母 (おば)

七瀬まいと七瀬雪紘の母方の伯母で、住職の妻。非常に落ち着いた、大人びた風格の持ち主であり、まいとともに寺にやって来た西野荘太の恋愛上の悩みについて、大人の目線からのアドバイスを送る。

勇成 (ゆうせい)

住職の孫であり、七瀬まいの親戚である4歳の男の子。まいに懐いており、西野荘太、加賀樹など、まいと少しでも親しい他の男たちに対して敵愾心を示す。かつてお祭りの時に、試食と間違えて屋台の商品を無断で食べてしまい、荘太に助けてもらったことがある。

校長 (こうちょう)

七瀬雪紘が通っている高校で校長を務める老人。社会的地位の割には気弱な人物であり、生徒会長である雪紘に対して頭が上がらない。だが、有能な雪紘のことを気に入っており、彼を喜ばせるために経費で高性能なノートパソコンを生徒会に納入したこともある。

会長 (かいちょう)

七瀬雪紘が通っている高校の先代の生徒会長。極めて無能で横暴な少年であり、雪紘が1年生の時の学園祭では、雪紘ら生徒会書記に仕事を丸投げした。挙句にゲリラライブ事件を引き起こし、その不祥事の責任を取って生徒会長を辞任する羽目になった。

高倉 (たかくら)

住職の茶飲み友達の老人で、古本屋「高倉書店」を経営している。本が増えすぎて困っていたため、住職の紹介により、七瀬まいと七瀬雪紘をアルバイトとして雇い入れた。「栞」という名の小学生の娘がいて、彼女にも店の手伝いをさせている。

場所

まいの部屋 (まいのへや)

七瀬まいが暮らしている自宅の居室。隣に七瀬雪紘の部屋があるが、もともと1つの部屋だったものを素人の日曜大工で壁を作り、仕切っただけの構造となっている。そのため、互いの部屋の音は筒抜け。これにより、まいは西野荘太が雪紘の部屋で口にした「妹さん、かわいいな」という言葉を聞くこととなった。

(てら)

七瀬まいの伯父にあたる住職が経営している寺。まいたちが年末年始に泊まりに行ったり、七瀬家とはさまざまな交流がある。西野荘太も泊まったことがあるが、手違いでまいと仕切り一つの部屋を寝室にされてしまい、荘太は眠れぬ夜を過ごす羽目になった。

高倉書店 (たかくらしょてん)

高倉が経営している古本屋。七瀬まいは、西野荘太との交際が1周年を迎えるにあたり、記念となるプレゼントを買う資金を得ようと、ここでアルバイトをした。また偶然から、客としてやって来た西野母とまいは、ここで知り合うこととなった。

イベント・出来事

ゲリラライブ事件 (げりららいぶじけん)

七瀬雪紘がまだ高校1年生で、金子とともに生徒会の書記を務めていた時の学園祭で勃発した事件。会長がアポ無しで知り合いのガールズバンドのゲリラライブの企画をねじ込もうとしたことが発端。雪紘らはその尻拭いのために奔走し、見事ゲリラライブを成功させた。なお、その一部始終は雪紘によって新聞部に伝えられ、新聞部が会長を弾劾する学校新聞を発行したため、会長はまもなく辞任に追い込まれ、雪紘が後任の生徒会長となった。

B級グルメフェス (びーきゅうぐるめふぇす)

B級グルメ商品の売り上げを競う地元の商業イベント。住職の寺も「精進バーガー」というメニューを引っ提げて参戦しているが、これは純粋に優勝賞金のみが目当てである。七瀬まいと七瀬雪紘は手伝いとして参加し、西野荘太もまいに悪い虫がつかないようにという意図のもとやって来て、結局手伝いに駆り出された。 結果的には寺の優勝に終わった。

その他キーワード

グッド♡コウチューン

西野秋がはまっているスマートフォン用ゲーム。クワガタやカブトムシなどの甲虫を捕まえて虫かごに入れると、人間型のイケメンになるというもの。ちなみにゲームのイメージキャラクターは、「君の色に染まりたい」という意味を持つ、「キミイロクワガタ」という架空のクワガタ。

グッド♡コンチューン

スマートフォン用ゲーム「グッド♡コウチューン」の偽物。七瀬まいが間違ってインストールしてしまった。マスコットキャラクターはキミイロカブトというキャラクターになっており、明らかにイラストが下手だったり、昆虫が人間型になった時の姿が中年男性だったりする。

精進バーガー (しょうじんばーがー)

B級グルメフェスのために住職によって考案されたハンバーガー。「肉や魚を一切使用しない地産地消の味わい」というのが売りだが、具体的に何がはさんであるのかは不明。商品自体にどの程度の魅力があったのかは謎であるが、売り子を務めた西野荘太や七瀬雪紘がイケメンだったため若い女性客が群がり、飛ぶように売れた。

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