嫌がってるキミが好き

嫌がってるキミが好き

白川みことと特殊な性癖を持つ大槻まことの複雑な恋愛模様や日常を描く、性癖や性的倒錯(パラフィリア)をテーマにしたラブストーリー。「COMICリュエル」で2016年4月から連載の作品。

正式名称
嫌がってるキミが好き
ふりがな
いやがってるきみがすき
作者
ジャンル
ラブコメ
 
恋愛
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

通信制高校に通っている白川みことは、容姿に自信を持っているものの、周囲にはかわいいと思われていない残念な女子だった。そんなある日、みことは生まれて初めて男子から告白を受け、同じクラスの大槻まことと付き合うことになる。みことにとってまことは決して好みの相手ではなく、名前すら忘れていたような存在だったが、彼女には彼氏を作って友達の話題になったり、自慢したりしたいという願望があった。ずっとあこがれだった「彼氏がいる私」という状況に浮かれるみことは、まこととの交際について妄想を膨らませていたが、告白されて以来、彼が彼女に声を掛けることはなかった。さんざん焦らされた頃に、ようやくまことに声を掛けられたみことは、自宅で彼といっしょに映画鑑賞をすることになった。まことの誘いを喜ぶみことは、二人きりで恋愛映画を見ていい雰囲気になったらと、初体験まで覚悟して心の準備をしていたが、彼が持ってきた映画は恋愛とはかけ離れたホラーやグロテスクな作品ばかりだった。困惑するみことだったが、この日をきっかけに「みことが嫌がったり怒ったりしている顔が好き」というまことの性癖が判明する。ホラー映画を見せたのも、みことが泣いたり怖がったりしている様子を見たいためだった。こうしてみことは、謎の多いまことが持つさまざまな一面を少しずつ知ることとなり、彼とその周囲の人に振り回されていく。

第2巻

大槻まことの歪んだ性癖を知った白川みことだったが、彼女はまことと付き合う中で、彼の持つ性癖を次々と知っていく。「気持ち悪い」「別れたい」と悩むみことだったが、ようやく手に入れた「彼氏持ち」のブランドを簡単に捨てるわけにはいかず、まことを嫌いつつも別れることはできずにいた。しかし、そんな嫌がったり怒ったりするみことの姿は、まことを喜ばせるばかりだった。さらには強制的にお漏らしをさせられたり、動物のエサを食べさせられたりと、まことの行為は次第にエスカレートしていく。羞恥や恐怖、苦痛を次々と与えられるみことは、それでもまこととの関係を続ける。そしてまことの行為は、我慢しながらデートを繰り返すみことの中に潜む、ある性癖を覚醒させようとしていた。そんな中、みことは謎の多いまことの家庭環境が気になって、彼が住んでいるアパートへ行くことになる。だが、まことの家は大量のゴミが散らばって悪臭と害虫にまみれた、ふつうとは言えない家だった。これをきっかけにまことの抱える闇と、両親のいない彼が「お兄さん」と呼ぶ謎の男性、睦己と同居していることが判明。さらに、まことは幼少期から睦己に性的虐待や暴力を受けていたという、暗い過去も持っていた。一方、偶然知り合ったみことのことが気になっていた安藤秀一は、彼女が家でお漏らししている場面を発見して以来、急速に心を惹かれていた。

第3巻

大槻まことによる被虐の数々を受ける中、白川みことは嫌がりつつも彼の性癖に慣れ始めていた。そんなみことは、付き合ってしばらく経っているまことと、ふつうの恋人らしいことをしていないことに気づく。不満を抱いたみことは、まことと早く初体験を済ませて処女を卒業したいと考えるようになる。何げないデートを繰り返す中で、「恋人らしいことがしたい」とまことに告げたみことは彼にキスされる。みことの本音と処女であることに気づいたまことは、彼女を痛がらせて嫌がらせるためと、性行為の目的をはっきりさせる。そんなまことと性行為をするのは無理だと、みことは逃げ出そうとするが、初体験を済ませたいという目的のためには、この機会を逃すわけにはいかなかった。そんなみことがまことに連れて行かれた場所は、ホテルなどではなく橋の下にあるホームレスの寝床だった。汚れと悪臭にまみれた最悪の場所で衝撃の初体験を終えたみことは、一時は落ち込むものの処女を卒業できたと浮かれながら、一人で街を歩いていた。調子に乗って酒を飲み過ぎて気分を悪くしたみことは、声を掛けてきた謎の男性に捕えられる。まことの家のある一室で目を覚ましたみことの首にはロープがかけられ、にらむように目の前に立っていたのは、以前まことの家に訪れた時に出会っていた睦己だった。

第4巻

安藤秀一と久しぶりのデートが決まり、浮かれていた白川みことだったが、デート中に訪れたネットカフェで一泊することになる。だが、みことに異様な執着を抱く秀一は眠っている彼女の首を絞め、この日を境に会わなくなる。これらの事実を睦己を通して知った大槻まことは憤りを見せ、みことを問い詰める。珍しく怒っているまことを見て今までにない興奮を覚えたみことは、彼をはじめとする周囲の男性から加虐的行為を受けるうちに、ある快感が萌芽していたことに気づき始める。誰かに暴力を振るわれたり、首を絞められたりするたびに興奮しているとはっきり自覚したみことは正直にまことに打ち明けるが、まことは彼女に抱き続けていた理想像が崩れたことにショックを受ける。そのままネットカフェで大ゲンカを始めてしまった二人は、冷静になってお互いの気持ちや状況を整理しようとする。一方、椎名ユイとのデート中に彼女の顔を傷つけてしまった秀一は、新たな悩みを抱え込んでいた。大学に行かなくなったユイは、自分の顔を傷つけた秀一をゆすって金を取るようになる。エリートとしてのプライドがある秀一は、自分の歪んだ性癖やユイにゆすられていることを家族にも打ち明けられず、一人で悩みを抱え込むようになる。そんな中、今まで携帯電話を持っていなかったまことがスマホを持ち始めたことで、みことは彼の新たな呪縛に悩まされるようになる。

第5巻

白川みこと大槻まことが築いた歪んだ愛の構図は、「ボクたち、別れようか」というまことの一言で崩れ去ってしまった。新たな性癖に目覚め、加虐的行為を喜ぶようになったみことに失望したまことは別れを告げ、ただのクラスメートに戻ることになる。まことにうんざりしつつも傷つけられることに快感を覚えるようになったみことは、大きな喪失感や虚無感を覚え、彼に別れを告げられたことや、彼氏なしに戻った事実を認められず、苦悩するうちに病んでいく。まことにされていた行為を思い出しながら、体と心のうずきが止まらなくなったみことだったが、自ら彼に連絡を取ることにはためらいがあった。そんなみことがさまざまな葛藤に苦しむ中、まことを取りまく環境にもある変化が訪れていた。まことと睦己しか住んでいなかった家には、謎の女性の飯島さゆりが住み込むようになっていた。さゆりは睦己が連れ込んだ女性であり、彼やまことの世話をしながら、まことに対しても優しく接していた。みことと別れたままのまことは知らない女性との同居に違和感を覚え、動揺を隠せずにいた。睦己の出勤中にさゆりと二人きりになったまことは、睦己と暮らし始めたいきさつを語るが、時折急変するさゆりの態度を見て、彼女と話すのが嫌になっていく。そんな中、みことの携帯電話にまことからメッセージが入り、彼女は久しぶりにまことのアパートへ向かう。

登場人物・キャラクター

白川 みこと (しらかわ みこと)

通信制高校に通う女子で、実年齢は高校生よりも少し上。容姿に自信があり、自分をいわゆる「一軍」の女だと思い込んでいるが、咲をはじめとする周囲からはまったくそう思われておらず、おしゃれにも強い関心を持つがセンスはいまいち。昔からモテる女性や彼氏持ちの女性にあこがれを抱き、恋愛話など周囲の話題についていこうと必死になって時にはウソをつくなど、見栄っ張りで八方美人な性格。今までに一度も告白されたり、付き合った経験がなかったが大槻まことの告白を受け、彼氏が欲しい一心で付き合うことになる。しかし、まことの見た目などはまったく好みではなく、しゃべったことがないのはもちろん、名前も覚えていなかった。それでもまことと付き合い始めてから、妄想を膨らませては交際を楽しみにしていたが、彼の持つ歪んだ性癖を知ってからは大いに振り回されるようになる。平然と苦痛を与えたり暴力を振るったりするまことに対して、「気持ち悪い」と言い放ったり「嫌い」と怒って反発したりすることも多いが、かえってその態度がまことを喜ばせる羽目になっている。それでも彼氏なしに戻るのが嫌という理由で、嫌がりながらもまこととの関係を続けている。まことと付き合う一方で、街で偶然知り合った安藤秀一のことが気になっている。まことだけでなく秀一や睦己の加虐的行為を受けるうちに、誰かに傷つけられるたびに興奮するという新たな性癖を開花させていく。

大槻 まこと (おおつき まこと)

通信制高校に通う男子で、白川みことのクラスメート。おとなしく暗いため、みことからも存在を認識されずに名前も覚えられていなかった。ある日、みことに告白して付き合い始めるが、実はみことが嫌がっている姿や、恐怖や苦痛で歪んだ表情を見ると興奮するという異常な性癖の持ち主。その性癖をみことに知られてからは一気に嫌われるようになるが、プライドや見栄から別れることを選ばないみことを翻弄させながら、交際を続けている。また、みことに怒られたり、嫌われたりすることにも悦楽を感じている。みことが嫌がっている姿を見るための努力も惜しまず、当初はホラー映画を見せて怖がらせる程度だったが、お漏らしを強制させたり動物のエサを食べさせたりなど、それらの行為は徐々にエスカレートしていき、時には暴力を振るうこともある。見栄やプライドのために別れることはできないという、彼女の願いを聞き入れつつ、お互いの欲望のために関係を続けている。幼少期は両親と暮らしていたが、近所の公園で出会った睦己となかよくなったあとに、謎の火事で家と両親を失った。その後の詳細は大槻まこと本人も覚えておらず、気づいたら睦己とアパートで二人暮らしをしていた。ゴミや害虫にまみれた家で睦己に性的虐待され、長いあいだ彼の歪んだ愛情を受け続けていたという過去を持つ。

安藤 秀一 (あんどう しゅういち)

白川みことと街中で偶然知り合った、大学生の青年。みことのことは「みことくん」と呼ぶ。成績はもちろん容姿にも恵まれた優秀な東大生で、裕福な家庭で育ったエリート。出会った時からみことが気になっており、彼女からもイケメンエリートとしてあこがれを抱かれ、たびたび勉強を教えたりデートしたりしている。当初は純粋に好意を寄せていたが、偶然みことのお漏らし現場を目撃してからは、急速に心をゆさぶられて彼女に惹かれるようになる。みことが大槻まことと付き合っていると知ってからはほとんどあきらめていたが、あるアダルトビデオを見てからは急速に加虐趣味に目覚めていき、みことの首を絞めて苦しむ顔を見たいという歪んだ性癖を持つようになる。その性癖を自覚するものの認めたがらず、周囲から抱かれているエリートのイメージを崩したくないという葛藤に苦しんでいる。みことと久しぶりのデート中に、ネットカフェで眠っている彼女の首を絞めていた場面を、偶然訪れていた睦己に見られてしまう。それをきっかけに睦己につけ込まれるようになり、彼とは協力関係になる。その後は金目当てで近づいてきた椎名ユイに暴力を振るったことで、彼女からゆすられるようになる。

安藤 千鶴 (あんどう ちづる)

安藤秀一の弟で、女装趣味を持つ。兄の秀一を心から慕うブラコンで、彼とかかわりを持つようになった白川みことや大槻まことのことは毛嫌いしている。女装した姿はみことに少し似ている。秀一のことを兄として敬愛しているが、みことやまことに出会ってから何かに思い悩んでいる彼を心配している。

(さき)

白川みことの数少ない友人で、彼女とは正反対に広い交友関係を持ち、男性からも非常にモテる美女。みことの相談相手になることが多いが、彼氏ができたばかりのみことの自慢話を聞かされては呆れたり、適当にあしらったりしている。昔から八方美人なみことのことは心底見下しており、ヒマつぶしのためのおもちゃ程度にしか思っていないが、彼女からは仲のいい親友と思われている。ある出来事をきっかけに、みことに本音を告げて友人をやめるつもりでいたが、大槻まことに「みことの友人を続けて欲しい」と頭を下げられ、その真意がわからないまま、異様な雰囲気を漂わせている彼に興味を持つようになる。表向きはみことの友人に戻ったふりをしつつ、面白そうだからという好奇心だけで、彼女とまことの関係をヒマつぶし感覚で観察している。

睦己 (むつき)

大槻まこととアパートで二人暮らしをしている謎の男性。まことからは「お兄さん」と呼ばれているが血縁関係はない。夜勤のある仕事に就いている。まこと以外にはとことん冷淡な態度を取り、暗くて不気味な雰囲気を漂わせている。元は幼いまことのとなりに住んでおり、公園でいっしょに遊んだのをきっかけになかよくなった。まことの家が火事になり、両親が亡くなってからは、彼を連れてアパートの一室で二人暮らしを始める。まことが幼い頃から性的虐待や暴力を振るい、まことの性癖が歪む要因をつくった。まことに対してはただならぬ執着心を抱き、歪んだ愛情を注ぎながら、心身ともに支配し続けている。しかし、まことが白川みことと付き合うようになってからは、たびたび彼の反発を受けるようになる。みことがまことに悪影響を与えたと考え、一度は彼女を憎み殺そうと狙うがまことの介入で失敗し、彼との立場が完全に逆転する。再びまことからみことを引き離そうと模索する中で、安藤秀一とみことのある場面に遭遇して秀一の弱みをにぎり、葛藤や苦悩を抱える彼を利用しようとする。のちに、飯島さゆりを家に連れ込むことでまことの気を引こうとする。さゆりから熱い好意を寄せられているが、彼女のことはまことの気を引くための道具程度にしか思っていない。

椎名 ユイ (しいな ゆい)

安藤秀一と同じ大学に通う女子大学生。愛らしい容姿で、周囲の男性から人気がある。秀一に好意を寄せて近づき、デート中に顔を殴られて傷つけられたのをきっかけに、彼をゆすって金を取るようになる。実は借金の取り立てに悩んでおり、秀一に近づいたのはほとんど金目当てだった。追い詰められた秀一に首を絞められて殺されたと思われたが、実は死んだふりをしていただけだった。

飯島 さゆり (いいじま さゆり)

大槻まことと睦己が住むアパートに突如現れた、謎の美女。まことたちの部屋に住み込み、家事をこなしている。睦己が連れ込んだ女性だが、彼に対しては歪んだ愛情を抱いており、彼に虐げられることに快感を覚えて「睦己さんのペット」を自称している。親切なお姉さんのふりをしながらまことに近づき、白川みことを利用して睦己からまことを引き離そうと試みるが失敗し、睦己の怒りを買ってしまう。また、睦己から引き離そうとまことに言ったある一言が、まことの自立心をうながすきっかけとなった。一見睦己とは仲がいいように見えていたが、彼にとってはまことの気を引くために利用していた存在に過ぎなかった。

SHARE
EC
Amazon
logo