恋じゃねえから

恋じゃねえから

ごくふつうの主婦の山下茜は、中学時代に親友だった川瀬紫に自分勝手な理由で冷たい態度を取り、そのまま離ればなれになったことを後悔していた。そんなある日、中学時代に紫と交際していた学習塾の講師の今井透が彫刻家となり、紫をモデルにしたと思われる少女像を発表する。彫刻とはいえ自らの裸を世間にさらすことになった紫と、彼女と共に作品の発表を阻止するために奮闘する茜の姿を描いたヒューマンドラマ。「月刊モーニングtwo」2021年11月号から掲載の作品。

正式名称
恋じゃねえから
ふりがな
こいじゃねえから
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊4巻
関連商品
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あらすじ

茜と紫、透の再会

昔から人付き合いが苦手な山下茜は、たびたび不安定な精神状態になりながらも、なんとか日々をやり過ごしていた。そんなある日、茜はかつての同級生から、通っていた塾の講師だった今井透が彫刻家になったことを知らされる。茜はインターネットで閲覧した透の少女像「庭」が、かつて親友だった川瀬紫と酷似していることが気になり、個展へと向かう。そこで、腹部に大きな傷跡を持つ少女像のモデルが紫に違いないと確信した茜は、26年ぶりに彼女に連絡を取る。こうして二人は久しぶりの再会を果たし、少女像を見た紫は、中学時代に透が撮影した腹部の傷跡を含む自分の裸の写真をもとに制作されたものに違いないと悟る。そして紫は、当時は透を受け入れて写真撮影を承諾したものの、今はこの作品に嫌悪感を抱いている自分に気づく。こうして紫は茜の力も借り、透に少女像の発表を取り下げて欲しいと依頼するが、妻で透のマネージャーでもある今井紅子に言いくるめられそうになる。そして透自身も、紫からインスピレーションを受けたことは事実だが、少女像のモデルではないと否定する。

登場人物・キャラクター

山下 茜 (やました あかね)

フリーランスで翻訳業をしている女性。年齢は40歳。東京都内で元同僚の夫と、中学生になったばかりの娘の三人で暮らしている。中学時代の親友だった川瀬紫が、通っていた塾講師の今井透と恋仲になったと知り、疎外感を感じて彼女に冷たい態度を取ってしまうが、彼女が突然転校したため謝罪できなかったことを後悔している。中学の同級生から透が彫刻家になったと聞き、個展を訪れた際に紫と酷似した少女像「庭」を目の当たりにし、紫に連絡を取って26年ぶりの再会を果たす。一見家庭円満でそれなりに幸せも感じているが、人付き合いが苦手で精神的に不安定なところがある。最近アルコール量が増えており、夫からも強い口調でたしなめられている。過去に過食嘔吐(おうと)を繰り返したため、若くして奥歯がなくなり、現在は入れ歯をして生活している。紫と出会った中学時代は、太目の体型にさえない容姿だったことから自虐的に振る舞っており、周囲の笑いを取ってはひそかに傷ついていた。旧姓は「土屋(つちや)」。

川瀬 紫 (かわせ ゆかり)

山下茜と1年間だけ同じ中学校に通っていた女性。年齢は40歳。茜と同じ塾の今井透が受け持つクラスに通っており、茜から話し掛けられたことで親友になる。ミステリアスな雰囲気を漂わせた美少女で、幼い頃に大手術をしたことから、腹部に大きな傷跡がある。人の美醜に興味がなく、自虐的に振る舞う茜に対しても、まじめな反応を見せて彼女を驚かせる。塾講師の透から好意を寄せられ、交際していた時期がある。その後に突然転校して茜とは離ればなれになるも、今井が彫刻家になったことを知って再び接点を持つようになる。透と交際していた時に裸の写真を透に撮影されており、のちにその写真をもとにした少女像「庭」を発表されたことに拒否感を抱いている。現在は東京を離れ、九州の田舎(いなか)で整体師として働いている。整体師になる前は福岡県中州のキャバクラで「南」という源氏名で働いており、その時の客だった小森玄からは「南」と呼ばれている。

今井 透 (いまい とおる)

彫刻家を生業としている男性。自らのマネージメント業務をしている妻の今井紅子と、幼い一人娘の三人で暮らしている。若い頃に学習塾で講師のアルバイトをしていた時期があり、その際に山下茜と川瀬紫のクラスを担当していた。その頃に紫と付き合い始め、美麗な彼女の姿を残したいと、腹部の傷跡を含む裸の写真を撮影した。紫と自分との交際が彼女の親に知られてしまい、いつか迎えにいくと言いながらも、彼女が転校してからはいっさい連絡を取らなかった。彫刻家として活動していたが、紫をモデルにした少女像「庭」を発表して注目を集める。

今井 紅子 (いまい べにこ)

今井透の妻で、彼のマネージメント業務をしている女性。幼い一人娘と三人暮らし。個展の成功をきっかけに、透を大々的に売り出したいと考えており、彼が苦手としている仕事も構わずに引き受けている。子供がいるとは思えないほど若々しく美しい容姿をしており、川瀬紫と似た面影を持つ。そのため、紫をモデルに制作したと思われる少女像「庭」に関しても今井紅子自身がモデルだと言い張り、紫の写真もインスピレーションのひとつでしかないと主張している。

小森 玄 (こもり げん)

不動産関係の仕事をしている独身男性。かつて、福岡県中州にあるキャバクラを接待で利用したことがあり、その際にホステスとして働いていた川瀬紫と出会う。小森玄自身の冴(さ)えない見た目をネタにする嫌味な上司に対して、紫がさりげなくフォローしてくれたことを忘れずにいる。キャバクラ嬢を辞めて整体師となった紫と偶然に飛行機でとなりの席になり、それがきっかけで親しくなる。以前は冴えない容姿だったが、紫と再会するまでに整形手術を繰り返し、現在は整った容姿を手に入れている。整形手術のことを周囲にカミングアウトしており、隠すつもりはない。

書誌情報

恋じゃねえから 4巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2022-04-21発行、 978-4065275443)

第2巻

(2023-01-23発行、 978-4065304112)

第3巻

(2023-07-21発行、 978-4065323359)

第4巻

(2024-01-23発行、 978-4065341438)

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