愛のアランフェス

愛のアランフェス

スペインの作曲家ホアキン・ロドリーゴが作曲した「アランフェス協奏曲」をテーマに、互いに切磋琢磨するフィギュアスケート選手たちの葛藤と成長を描く青春ストーリー。「別冊マーガレット」1978年1月号から1980年9月号にかけて連載された。

正式名称
愛のアランフェス
ふりがな
あいのあらんふぇす
作者
ジャンル
スケート
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概要・あらすじ

森山亜季美は、フィギュアスケート界を牽引してきた世界的なトップスケーターであった父親の指南を受けてきたにもかかわらず、まったくの無名選手だった。しかし彼女は突如、フィギュアスケートのエキシビション大会で、他の選手の代わりに飛び入り参加を強行する。そして、女子選手では誰も成功させたことがなかった3回転ジャンプを軽々と決め、観客をはじめ関係者たちの度肝を抜く。

男子シングルの有力選手である黒川貢は、足のケガにより引退寸前まで追い込まれていたが、亜季美の力強いスケーティングに魅せられて再起を決意。後日、日本スケート協会は金の卵が出現したと亜季美を絶賛。協会の会長を務める沢田源三郎は、あらゆる手を使って名前も所属クラブも分からない亜季美を探し出そうとする。

登場人物・キャラクター

森山 亜季美 (もりやま あきみ)

日本フィギュア界のトップスケーターだった森山優一の一人娘で、高校2年生。北海道からの転入生として、一津山高校の編入試験に優秀な成績で合格した。ある日、エキシビション大会に飛び入りで出場し、日本人の女子選手ではまだ誰も成功したことがない3回転ジャンプを軽々と決める。北海道在住時はどこのクラブにも所属していなかったが、東京では「シルバー・リンク・クラブ」に入会する。 男子シングルの選手である黒川貢の強烈なスケートに魅了されて強く憧れ、やがてその憧れは淡い恋心へと変化していく。だが、それが亜季美のスケーターとしての成長を妨げることとなり、1人苦しむこととなる。困難と正面から向き合えるまっすぐな性格だが、精神的には脆い。

黒川 貢 (くろかわ みつぐ)

「フィギュアスケート界の新星」と呼ばれ、男子シングルで将来を有望視されていた大学生。両親がバレーボールの有名選手だったことから、並外れた運動神経を受け継いでいる。不慮の事故によって左足に選手生命を脅かされるほどのケガを負ってしまい、一時はスケートを引退するつもりでいた。だが、彗星のごとくスケート界に現れた森山亜季美のひたむきな姿に心を打たれ、再びリンクに戻ることを決意。 ともに事故に遭った七尾弥生に責任を感じ、大学卒業後は弥生と一生添い遂げる覚悟を決めている。

筒美 一 (つつみ はじめ)

男子シングルのフィギュアスケート選手で、黒川貢の親友。貝谷真紀子を姫と崇め、延々とアプローチをかけ続けているが、反応は今一つ。実は父親が日本人、母親がフランス人のハーフで、諸事情により母親とは別々に暮らしている。いつも前向きで、森山亜季美が落ち込んでいる時はさりげなく励ましたりと、亜季美だけに限らず、常に相手を敬い気遣うことができる。

貝谷 真紀子 (かいや まきこ)

女子シングルのフィギュアスケート選手で、世界的にもトップクラスの成績を誇る女性。かつて、アメリカにスケート留学をしていた12歳の頃から国際コンクールで優秀な成績を修め、常に後進から追われる立場にあった。筒美一とともにアイスダンスに転向する決意を固める。

黒川 隆 (くろかわ たかし)

黒川貢の弟で、一津山高校に通う2年生の男子。兄と同様にずば抜けた運動神経を持ち、体操部のエースとして活躍中。校内では男女問わず人気があり、クラスメイトの森山亜季美とも仲が良い。亜季美の貢に対する気持ちにも気づいており、事あるごとに亜季美を気遣う一面が見られる。

沢田 源三郎 (さわだ げんざぶろう)

スケート協会の会長を務める男性。森山亜季美の父親である森山優一とは旧知の仲。会長という立場にありながらも、有望な選手たちを思う気持ちは現役のコーチ以上であり、陰ながら選手たちを支えるため奔走している。

七尾 弥生 (ななお やよい)

かつては女子シングルの有望選手だったが、事故によりアキレス腱を切るケガをして、「シルバー・リンク・クラブ」を退会してしまった女性。カナダへスケート留学した際、黒川貢と同じチームに所属していた。自分の存在が貢の成長を阻んでいると思い悩み、自ら身を引くことで貢への思いを昇華させる。

乾 まゆ子 (いぬい まゆこ)

森山亜季美と同じ一津山高校に通う2年生の女子。同じクラスで体操部のエースである黒川隆のことが気になっているが、なかなか気持ちを打ち明けられずにいる。控えめな性格で、物怖じせずに行動を起こせる亜季美をうらやましく思い、憧れを抱いている。

森山 優一 (もりやま ゆういち)

森山亜季美の父親で、かつて日本選手権5連覇の偉業を打ち立てたスケート選手。現在はわけあって北海道釧路市に在住している。わずか15歳で世界へ進出し、カナダスケートコンクールで日本人初の入賞を果たした。まさに絶頂期にあった昭和35年に突然、現役引退を発表。現在はコーチとして後進の育成と指導にあたっているが、決して娘の亜季美を特別扱いすることなく、むしろ他の選手の指導に心血を注ぐほどである。

森山 百合子 (もりやま ゆりこ)

森山亜季美の母親で、北海道にて病気の療養をしている女性。実はソビエト駐在日本大使の娘だが、周囲の反対を押し切って森山優一とともに歩む人生を選んだ。子供の頃から優一の厳しい訓練を受けてきた亜季美をいつも優しく癒し、遠く離れた釧路からも亜季美の活躍を見守っている。

柘植 倫子 (つげ のりこ)

「名古屋アイスパレス・クラブ」に所属している高校1年生の女子。親がスケートリンクを経営しているため、練習環境には非常に恵まれている。ジュニア選手権で優勝し、世界大会でも3位に食い込むほどの実力を持つ。森山亜季美のことを親のコネで特別扱いされていると勝手に思い込み、その実力も妬んで辛くあたる。

嵯峨島 操 (さがしま みさお)

ペア・スケーティングの先駆者として、日本のスケート界に革命を起こした男性。現在は後進の育成に励み、選手を世界で通用するレベルにまで押し上げることができる数少ないコーチの1人。かつてペアを組んでいた幸子という女性と結婚するも、壮絶な難産の末、母子ともに失ってしまったという過去を持つ。その後、立ち直れないまま10年以上姿をくらましていたが、そのうちの数年間はソビエトでスケートの勉強をしていた。 言葉数が少なく、強引で非常に厳しい指導方法から、教え子からは誤解を招きやすい。

マリ・エレーヌ (まりえれーぬ)

筒美一の異母兄妹で、パリに住んでいる少女。思わず通行人が振り返るほどの美貌の持ち主。一が実は兄だと知らされておらず、一のスケーティングに魅了される。

一樹 久美子 (かずき くみこ)

小学生の頃から諸口順とペアを組んでいる女子スケート選手。日本人離れした華やかな演技を得意とし、高度なテクニックも有する。長年、決まった型で滑り続けていることに飽きてきたところへ黒川貢のスケーティングを見てしまい、たちまち虜になってしまう。貢のパートナーになりたいと切望するようになり、森山亜季美に宣戦を布告する。

諸口 順 (もろぐち じゅん)

一樹久美子とペアを組んでいる男子スケート選手。わがままで言い出したら聞かない久美子と上手く付き合いながら、これまでの実績を積み上げてきた。自分がどうすれば久美子が滑りやすくなるかということを常に意識しているが、それをあからさまに出すことはない。

イリーナ・ステパニア (いりーなすてぱにあ)

ソビエト国内の精鋭から選ばれた精鋭中の精鋭で、スケーティング技術は現時点で世界一と言われる13歳の女の子。嵯峨島操の最初の教え子である。常に一分の隙もない完璧な演技で観客を魅了し、ペアの相手を務めるミハイル・エフィモフにも一切の妥協を許さない、超一流の選手。

ミハイル・エフィモフ (みはいるえふぃもふ)

ペア・スケーティングにおいてイリーナ・ステパニアの相手役を務める18歳の男性。イリーナと同じく、ソビエト国内でも飛び抜けた素質を持つ選手として最高ランクに位置する。常に完璧な演技を披露し、他の追随を許さない王者ペアとしてイリーナとともに君臨し続けている。

柴 鷺夫 (しば ときお)

かつて黒川貢、筒美一と同じ「シルバー・リンク・クラブ」でともに練習に励んでいた男子スケート選手。アメリカのスターバックコーチに見出され、14歳で海外へ進出した。ある事情から日本に緊急帰国し、亜季美の前に立ちはだかる。

小野 留美子 (おの るみこ)

森山優一の教え子で、釧路から上京してきた16歳の女子スケート選手。「シルバー・リンク・クラブ」に所属することになる。北海道在住時は道立釧路高校に通っており、森山亜季美の後輩でもある。控えめな性格だが、元気で力強いスケーティングが魅力。

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