海の大陸NOA+

海の大陸NOA+

じゅきあきら・T・の初連載作『海の大陸NOA』の続編。地球上にただひとつ残った島であるサンクルスを舞台に、住人たちが面白おかしく過ごす姿を描いたコメディ作品。時折世界の成り立ちに迫るシリアスな話も挿入されている。「コミックボンボン」に2006年7月号から2007年11月号まで連載された作品。

正式名称
海の大陸NOA+
ふりがな
うみのたいりくのあぷらす
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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概要・あらすじ

遠い未来、地球は天災によってそのほとんどが海に没しており、サンクルスと呼ばれるひとつの孤島が残るのみとなっていた。サンクルスを統率するリュークは、妹分のキッチェやトラブルメーカーのドーカイテイオー、そして、天空都市テラから逃亡してきたというマリアダイダロスと賑やかな日々を過ごしていた。

ある日、リュークとダイダロスは、諜報組織ノエル・ラヴの使いとしてやってきた中村地雷也から、テラの衛星であるサイドテラへの訪問を依頼される。始めは乗り気ではなかったが、やる気満々のリュークに押される形で同行を決意するダイダロス。2人が向かった先に待っていたのは、反テラ組織クルセイドの面々だった。

登場人物・キャラクター

リューク

サンクルスの島民を取りまとめる少年。父親のリューヤからボスの座を継承し、現在に至るまで活躍している。適当な性格であるうえにノリで行動することが多い。しかし、率先して物事に当たり、最後まであきらめない姿勢から、多くの島民の人望を集めている。体に静電気が溜まりやすい体質で、この体質は海斬剣や雷華弾などの必殺技を使うために役立てられている。

キッチェ

サンクルスに住む少女。リュークの妹的存在で、彼の父親であるリューヤとも親しい。ノリの良さはリューク譲りだが、良識も持ち合わせているためツッコミ役に回ることもしばしば。最近ではヒジリ・アレックス・ローゼンフィールドに惚れられており、彼の強引なモーションに時折うんざりすることがある。

ドーカイテイオー

サンクルスの住人で、天空都市テラの生物兵器の失敗作。ウマ科。性別は自称乙女で、事あるごとにリュークに対して求愛をしている。一方で低レベルな争いを繰り広げることもあり、その時は大抵サンクルスにトラブルを引き起こす前触れとなっている。マリアをライバル視しており、彼女とリュークがいい雰囲気になるとやきもちを焼くが、誰にも相手をされることはない。

マリア

天空都市テラから逃亡してきた少女。サンクルス、テラ両方において極めて貴重な常識人。リュークやキッチェに温かく迎えられるも、当初はサンクルスのエキセントリックな環境にうろたえることも多かった。しかし徐々に順応していき、島民を彷彿とさせる大胆な行動をとるようになってきている。リュークをボスとして信頼しており、ある事情によりリュークがボスをやめる宣言をした時は、頑として反対している。

ダイダロス

マリアと共に天空都市テラから逃亡してきた生物。マリアと並ぶ良識人で、サンクルスでは専らツッコミ役を担っている。見た目は犬のようだが翼が生えており、人の言葉をしゃべることもできる。また、身体能力も極めて高く、身体を変形、硬質化させることにより、テラ屈指の実力者であるダンボリウム合金マンと互角以上に渡りあうことができる。 元はテラの科学者であるノエルが拾ってきた生物だったが、科学長官であるミカエル・シャークマンの陰謀により、殺害されたノエルの頭脳を移植されてしまっている。

謎の吟遊詩人 (なぞのぎんゆうしじん)

帽子とマントに身を包み、常に竪琴を携帯している詩人。本作『海の大陸NOA+』の語り部であり、現在の世界の成り立ちについて知っている。かつては言葉を喋らず、島の住民とは立て札を使って意思疎通を図っていたが、島の謎が明かされていくにつれて意味深な発言が目立つようになっていく。リュークたちを兄や父親のような心境で見守り続けているようだが、その真意は不明。

ダンボールマン

サンクルスの住人で、天空都市テラの生物兵器の失敗作。みかんを収納する段ボールに手足が生えたような外見をしている。基本的にしゃべることはないが、表情が豊かで、その顔から何を考えているのかある程度把握することは可能。マリアに好意を抱いており、彼女のために自己を顧みず奉仕する姿がしばしば見られる。

タイのキックボクサー

サンクルスの住人で、天空都市テラの生物兵器の失敗作。鯛の頭と人間の身体を併せ持っており、その名の通りキックボクシングを得意としている。また、エラの部分から手が生えており、リュークやドーカイテイオーが奇行に走った時は、しばしば手を伸ばしてツッコミを入れる。草食の祖父がいる。

ド根性大根 (どこんじょうだいこん)

天空都市テラの生物兵器の失敗作。「ドンちゃん」を自称している。食糧危機を解決するためにテラで造られたが、あまりの繁殖力の強さを危険視され焼却処分されたはずだった。しかし、処分を逃れた個体がドーカイテイオーの頭に寄生してしまう。サンクルスの島民すべてに根付き、島を大根だけの楽園にしようと目論む。繁殖力のみならず再生力も並外れているため、物理的な攻撃はほぼ効き目がないが、根性を折られることで再起不能になるという弱点を抱えている、。

鬼六 (おにろく)

サンクルスに派遣された生物兵器。遅々として進まないマリア奪還計画に業を煮やしたザクロチトセオーが送った。今まで派遣した中で最強と言われている。金棒を持ちパンツを履いているという、昔話にありがちな鬼の風貌をしているが、実は最強なのは鬼六本人ではなく、彼の履いているパンツである。パンツを履いた者は、強力なパワーを獲得できる代わりに鬼の心も身についてしまうが、リュークのように元から鬼のような性格の持ち主には効果がない。

ミカエル・シャークマン (みかえるしゃーくまん)

天空都市テラの科学長官にして最高権力者。カプチーノをこよなく愛し、いつもカップを手にし、その味を楽しんでいる。物腰は優雅だが冷酷な男で、部下の科学者であるノエルを重用していた。しかし、必要なのは彼の頭脳だけであることを示すがごとく、殺害して頭脳のみをダイダロスに移植している。ただし、ザクロチトセオーやクズノハには強く慕われており、ミカエル・シャークマン本人もリュークの活躍によって徐々に心を動かされている面がある。

ザクロチトセオー

ミカエル・シャークマンの側近を務める生物兵器。ウマ科。ドーカイテイオーを黒くしたような風貌を持つ。一見彼女とは異なるシリアスな雰囲気を持つ。部下の起用にかなり問題があり、マリアを奪還するため派遣した生物兵器のことごとくが失敗しているため、ミカエルの不興を買いつつある。また、同僚であるクズノハとは折り合いが悪く、彼女の台頭を警戒している。 ドーカイテイオーの成功例だと長らく目されていたが、実は違うことがのちに判明している。

もしも魔王 (もしもまおう)

天空都市テラの生物兵器の失敗作。かつてマリア奪還のために派遣されたが失敗しており、現在はフリーの身の上である。不幸を呼び寄せる体質であるうえ、凄まじいまでのネガティブ人間なので、サンクルスの島民にはある意味恐れられている。何を思ったか、サンクルスに旅行に訪れ、またも騒動を巻き起こす。得意技は、他者に不幸な光景を思い浮かべさせることでネガティブ思考を広げること。

フェリア

天空都市テラの住人の女性で、ノエルの恋人。大飯食らいで、特にラーメンをこよなく愛する。ノエルがダイダロスに姿を変えた今でも深く愛しており、彼のために独断で諜報組織ノエル・ラヴを設立している。また、マリアとも旧知の仲で、姉のように慕われている。

ノエル

天空都市テラの研究施設「月色の塔」に所属していた科学者の男性で、フェリアの恋人。ミカエル・シャークマンの陰謀により殺害され、頭脳をダイダロスに移植されたため現在は故人。遺体はカプセルの中に厳重に保存されている。ダイダロスとなった現在は、特にノエルの身体に戻りたいとは考えていない。自らを殺害し、ダイダロスに脳を移植したミカエルに対しても、危険視こそしているが特に恨んでいる様子は見られない。 なお、頼んでもいないのに、フェリアが諜報組織ノエル・ラヴを立ち上げたことに関しては、羞恥心と焦りを見せている。

リューヤ

リュークの父親。典型的な放蕩親父で、リュークにサンクルスのボスの座を押し付け、失われた大地を探すと称し旅に出ていた。自他共にオヤジキャラと認められており、サンクルスの付近に「親父島」と呼ばれるオヤジ専用の楽園を作ろうと企んでいる。これをきっかけに、サンクルスでは若年派とオヤジ派に一時分裂してしまった。

ヒジリ・アレックス・ローゼンフィールド (ひじりあれっくすろーぜんふぃーるど)

巨大空母「アトランティス号」の11代目艦長。かつて先祖から伝わる伝説を解き明かすためにサンクルスを訪れており、それ以来、リュークとライバルかつ親友の関係となっている。キッチェに好意を抱いているが、想いがやや暴走気味であるため若干迷惑がられている。リュークがサイドテラに向かった際にボス代理を任されることになるが、あまりにも濃すぎるサンクルスの面々をまとめ上げるのに苦労することとなる。

中村 地雷也 (なかむら じらいや)

サンクルスの住人。謎の紳士「中村さん」と呼ばれる。諜報組織ノエル・ラヴの会長を務めている。見た目はただの禿げた中年男性だが、その戦闘能力はサンクルス最強で、リュークとヒジリ・アレックス・ローゼンフィールドの両名を軽くあしらうほど。また、禿げた頭は実はカツラで、本気を出すとカツラが落ちるが、素の頭もやはり禿げ上がっている。 ただし現在はポチョムキンに憑依されており、全力を出せない状況が続いている。

ポチョムキン

サンクルスの秘宝が眠っているという「お宝ビル」にて確認された謎の存在。友人と背比べをしていたらしく、その痕跡がビルに削られている。中村地雷也(中村さん)の友人だったらしいが、途中で人間から魔神に転生しているらしく、500年前から因縁がある様子。リュークとヒジリ・アレックス・ローゼンフィールドを守るべく戦いを挑む中村さんに憑依し、体内で戦いを繰り広げる。

ペコム

サンクルスの秘宝が眠っているという「お宝ビル」の最上階に潜んでいた生物。提灯アンコウのような外見を持つ。その実態はテラが廃棄した「総合警備生物」で、人間を主食をしている。宝の情報を流して、リュークやヒジリ・アレックス・ローゼンフィールドをおびき寄せ捕食しようとしていたが、2人の連係プレーによって敗北。 散り際に「2人の友情こそが何よりの宝である」と、唐突にいいセリフを残していった。

木枯らし文字郎 (こがらしもじろう)

サイドテラの住人で、反テラ組織クルセイドの頭領。三度笠を被っており、尻尾が生えている。イザナギの保護者的存在で、彼がクルセイドに入りたいと願っていることを知っているが、安全を考えて拒絶し続けている。言霊と呼ばれる能力の使い手だが、その能力を使わないまま、リュークを苦戦させたテラの生物兵器軍団を難なく一掃している。

イザナギ

サイドテラに住む人物。ヘテロサピエンスと呼ばれる特殊な種族で、見た目は少年だが、現在は男性でも女性でもない。成年した際に恋をした相手次第で性別が決まるが、恋をしないまま成人を迎えると、種族本来の力を100%発揮できる。そのため、イザナギは誰とも恋をしないことを決めている。尊敬していたクズノハが、恋愛の末にテラに渡ってしまったため特に男性を毛嫌いしており、リュークに対して常に辛らつな態度で接している。

クズノハ

天空都市テラで、ミカエル・シャークマンの助手を務める女性。かつてサイドテラに住んでおり、イザナギに強く尊敬されていた。もとはイザナギと同じヘテロサピエンスだったが、ミカエルに恋心を抱いたため女性の身体に進化している。マリアについての研究を行っており、ミカエルからも信頼されているため、ザクロチトセオーの嫉妬を買っているが気に留めていない。

ダンボリウム合金マン (だんぼりうむごうきんまん)

天空都市テラの生物兵器の成功作。ゲッセマネの番人を務める。見た目は黒いダンボールマンで、胸にはメロンの文字がプリントされている。身体全体がダンボリウム合金と呼ばれる金属で構成されており、ダイダロスによれば、その硬さは「ガンダリウム合金と同等」で、リュークの海斬剣がまったく通用しなかった。

爽快テイオー (そーかいていおー)

天空都市テラの生物兵器の成功作。ゲッセマネの番人を務める。外見はドーカイテイオーとほぼ変わらないが、顔だけ異常なまでに爽やかである。「開かずの扉」と呼ばれる空間の裂け目を開く能力を持ち、その中からさまざまな生物を召喚する。しかし、ときめきを覚えてしまうと弱点が発覚してしまうという、ドーカイテイオー同様の欠点を持つ。 それをリュークに見破られてしまい、そこを突かれて敗北した。

集団・組織

諜報組織ノエル・ラヴ (ちょうほうそしきのえるらゔ)

サイドテラに本拠を置く諜報組織。フェリアによって設立された。会長に中村地雷也(中村さん)、副会長にリュークが選ばれている。主な活動内容は、マリアに関する秘密の入手や、天空都市テラの行動の監視など。その影響のためか、中村さん、およびリューク以外のメンバーは、かつてサンクルスに派遣されたテラの生物兵器たちで構成されている。

クルセイド

サイドテラの反テラ組織。現リーダーは木枯らし文字郎で、諜報組織ノエル・ラヴと提携している。構成員はすべてヘテロサピエンスで、末端ですらリュークやドーカイテイオー以上の戦闘力を持っているが、ダイダロスには及ばない。ゲッセマネの破壊を目的として活動しており、その目的にリュークたちを巻き込んでしまう。

場所

サンクルス

地球上にただひとつ残された孤島。ほぼ砂浜と密林で構成されている。11年前にウィルスが流行したことによって島民がほぼ全滅してしまっている。現在は島のボスを引き継いだリュークと、彼の妹的存在であるキッチェが暮らしている。教会には地球が水没した時の様子が描かれているが、その中にマリアによく似た女性の姿が確認されている。

天空都市テラ (てんくうとしてら)

天高くに浮かぶ球型の都市。サンクルスとは対照的に近代的な施設が立ち並んでいる。現在は科学者であるミカエル・シャークマンによって統治されている。一見理想的な都市だが、内部にはさまざまな歪みが存在しており、諜報組織ノエル・ラヴや、反テラ組織クルセイドなどの反乱分子が存在している。

サイドテラ

天空都市テラの衛星都市。ヘテロサピエンスと呼ばれる、人間と生物兵器の混血たちが暮らしている。名産品は生ハム。「どこでもトランスポーター3」と呼ばれる転移装置でサンクルスと繋がっているが、移動する際には中村地雷也が製作した眼鏡が必要になる。最近はテラに対する抵抗運動が起こっており、所々でテラの生物兵器との小競り合いが繰り広げられている。

ゲッセマネ

サイドテラに存在する巨大施設。サイドテラと天空都市テラを繋ぐ門を閉ざす役割を果たしている。現在は、テラに侵入するために破壊を目論むクルセイドと、番人たる多数の生物兵器との間で戦闘状態に陥っている。テラ側にとって重要な施設であるため、番人はかつてサンクルスに訪れた生物兵器のような失敗作ではなく、れっきとした成功作たちで構成されている。

その他キーワード

海斬剣 (かいざんけん)

リュークの使用する必殺技。体表に溜まった静電気を愛用の剣に宿し、電気を纏った斬撃を浴びせる。名称の由来は、最初に使った相手が貝であったため「貝斬剣」と呼ばれそうになったところを、慌てて海に放ったことで海斬剣と呼ばせたことによる。一応そこそこの威力を持つが、ダンボリウム合金マンにはまったく通用しなかった。

雷華弾 (らいかだん)

リュークが新たに編み出した必殺技。意思を持ったサボテンの種に体表の静電気を流し、電気を纏った弾に変えて対象に命中させる。両手両足が塞がっていても繰り出すことができるという長所を持っている。ペコムとの戦いで、両手両足が使えないという、絶体絶命の状況に追いやられたリュークによって使用された。

真一文字 (まいちもんじ)

木枯らし文字郎が扱う必殺攻撃。特殊な声の振動でカマイタチを起こし、敵を切り裂く。木枯らし文字郎は言霊使いであるため、ドーカイテイオーは真一文字こそが言霊による攻撃だと推測していたが、のちにそうではないことが判明している。

デストロイエクリプス

中村地雷也が放つ大技。隕石の接近によって、サンクルス、サイドテラ、天空都市テラのすべてが滅びの危機に瀕した際に、リュークの呼びかけによって人々から集められた「諦めない意思」を収束し、エネルギーの波に変換して放った。その威力は作中最強で、迫る巨大隕石を破壊し、数多の流れ星へとその姿を変えさせた。

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