破天荒遊戯

破天荒遊戯

ある日突然旅に出ることになった少女と、彼女が道中で知り合った2人の男性。破天荒な力と心を持つ3人組が繰り広げるファンタジック冒険譚。「月刊Gファンタジー」平成11年12月号から平成14年3月号、その後は「月刊ZERO-SUM」に掲載誌を移して平成14年8月号から現在まで連載が継続されている。

正式名称
破天荒遊戯
ふりがな
はてんこうゆうぎ
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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作品構成

『破天荒遊戯』はラゼル・アナディスアルゼイドバロックヒートの3名が、行く先々で遭遇する事件を解決するオムニバス形式の作品となっている。並行して3人の背景や彼らを監視する存在の思惑が次第に判明していく。少しずつ語られる、緻密で掘り下げの深いキャラクター造形が魅力。

あらすじ

ある朝ラゼル・アナディスは、養父セラティード・アナディスから旅に出るよう命じられる。突然の出来事に唖然とするラゼルだったが、街で出会った退屈そうな男性のアルゼイドに惹かれ仲間に勧誘する。「あんたのそのクソつまんなさそうな人生、あたしが面白おかしく演出してやるわ」そう啖呵を切ったラゼルは、アルゼイドと共に冒険に出ることになった。

掲載情報

『破天荒遊戯』は1話から26話までがスクウェア・エニックスの「月刊Gファンタジー」に掲載され、27話からは一迅社の「月刊ZERO-SUM」に移籍して連載が継続されている。この件について作者の遠藤海成は、コミックス4巻のあとがきで「ご心配、ご迷惑をおかけすることも多かったが、自分の意思で選択した道。暖かく見守っていただければありがたい」と語っている。

単行本の装丁

各巻の頭には折りこみのフルカラーミニポスターが1枚付属されており、扉や雑誌掲載時に使用されたイラストをカラーで楽しむことができる。また、単行本のカバー下には描きおろしのキャラクタープロフィールが描かれているが、一部の巻には存在しない。

関連商品

2008年4月、イラスト集「Angel Text -破天荒遊戯イラスト集-」が発売された。雑誌掲載時やコミックスの特別版に付属されたカレンダーのイラスト、描きおろし等を90点以上収録した内容となっている。

劇中劇

ラゼル・アナディスが学園祭でクラスの出し物として発表した演劇作品で、タイトルは「猫の話」。原作は、幼い頃ラゼルがセラティード・アナディスから聞いた短い物語となっている。突如飼い主を失くし戸惑う4匹の子猫たちが、受け止め方の違いによってバラバラになってしまうという内容で、原作は子猫たちがバラバラになった時点で終了する。しかし、それを基にイエンシャがアレンジしてハッピーエンドの脚本「陽の指す方へ」に書き変えた。

メディアミックス

TVアニメ

2008年1月から3月にかけて、高本宣弘監督によるTVアニメ版が放送された。シリーズ構成・脚本を今川泰宏、キャラクターデザインを小林利充が担当している。キャストはラゼル・アナディス役を小林沙苗、アルゼイド役を櫻井孝宏、バロックヒート役を三木眞一郎が演じた。

ラジオ

2007年12月から2008年3月にかけて、webサイト「アニメイトTV」内にてラジオ番組「破天荒Radio」が放送された。パーソナリティは ラゼル・アナディス役の小林沙苗と、バロックヒート役の三木眞一郎が担当した。

ドラマCD

2008年2月より「月刊ZERO-SUM」で誌上販売されていたドラマCDの一般流通版のリリースがスタートした。また、その他にも「月刊ZERO-SUM」の付録として制作されたもの、フロンティアワークスからリリースされたものなど、多数のドラマCD版が存在する。キャストはラゼル・アナディス役を小林沙苗、アルゼイド役を櫻井孝宏、バロックヒート役を三木眞一郎が演じた。

公式アンソロジーコミック

2008年2月より、一迅社から公式アンソロジーコミックとして『破天荒遊戯 アンソロジー』が刊行された。執筆陣は高河ゆん峰倉かずや、日日日など。表紙イラストは遠藤海成が担当している。

作家情報

遠藤海成は、主に少年誌・青年誌で活躍中の漫画家。1996年『花月夜幻想』で第3回エニックス21世紀漫画大賞奨励賞を受賞しデビュー。他の作品に『まりあ†ほりっく』『黒犬O'clock』『クリア・クオリア』などがある。

登場人物・キャラクター

ラゼル・アナディス (らぜるあなでぃす)

魔法使いの14歳の少女。腰まで伸ばした黒髪と青い瞳を持つ。美しく聡明で、極めて珍しい「魔法」を使役する特別な才能を持っている。明るく勝気で前向きな、困っている人を見過ごせない性格の持ち主。一方で自分を犠牲にしがちな面があり、周囲によく心配されている。極度の方向音痴で、すぐに道に迷う。本名は「ラゼンシア・ローズ」だが、セラティード・アナディスのところへ身を寄せてからはその名前を使っていない。 人に奇妙なあだ名を付けるのが得意。身長152センチで、好物はプリン。

アルゼイド

ラゼル・アナディスが旅に出てすぐに出会った24歳の男性。前髪を斜めに分け、白い髪に赤い瞳をしている。クールで淡々とした雰囲気の何事にも無関心な人物だが、ラゼルを「相棒」と認め一緒に旅をするようになる。父親を殺害した犯人を追うのが旅の目的。前文明の遺産である「銃」を所持している。兄が一人いるが、10年以上会っていない。 身長182センチで、寝ることが好き。1日に10時間以上眠らないと不機嫌になる。

バロックヒート

アルゼイドの知り合いで、元オブプレイの軍人を務めていた、自称28歳の男性。青い瞳に、ダークブラウンの髪の前髪を真ん中で分け、外にはねさせた髪型をしている。右手に蝶の入れ墨を入れているのが特徴。飄々とした雰囲気の遊び人だが、入れ墨から剣を取り出して戦うことができ、その実力は本物。アルゼイドとは軍にいた頃に知り合い、ヴィンセントの護衛中に再会。 そこで出会ったラゼル・アナディスを気に入り、旅の仲間に加わる。ラゼルに突然キスをしたり身体に触るなど頻繁にちょっかいをかけているが、彼女のことは大切に想っている。また、ラゼルのみならず女性全体を愛する大の女好きで、常に遊び歩いている。身長181センチで、愛煙家。

セラティード・アナディス (せらてぃーどあなでぃす)

ラゼル・アナディスの養父。前髪を真ん中で分け、長髪を一つに結んだ髪型をしている。母親イリリア・ローズを亡くし、父親ファビエン・ローズに捨てられたラゼルと出会い、養子に迎えた。ラゼルによく無茶な試練を与えつつも、実際は隠れて様子を見守っている過保護な人物。旅に出ることを提案した際もそのつもりだったが、追跡に失敗。 非常に後悔しながら彼女の帰りを待っている。謎の子どもには「かこいいおにま」という不思議な呼び名で呼ばれている。

ジェリス・ブライア (じぇりすぶらいあ)

セラティード・アナディスの友人で、修道院の神父を務める若い男性。金茶色の髪の毛にエメラルドの色の瞳を持つ。眼鏡をかけ、オネエ言葉で話すのが特徴。前は別の街に住んでいたが、旅を続けるラゼル・アナディスと偶然再会。教徒獲得の営業活動に来たところだったと語っている。孤児院出身で、養子にもらわれた先で出会った義妹と恋仲になる。 しかし、両親に関係がばれたことで出家させられ、神父となった。身長178センチ。

ブランオーウェン

バロックヒートの姉。ラゼル・アナディスたちには続柄を偽り、バロックヒートの「妹」として紹介されている。小柄でゆるくウェーヴがかった蜂蜜色の髪を胸のあたりまで伸ばし、幼い少女のような容姿をしている。瞳の色は青。男性のような口調で話すのが特徴。非常に優秀で、薬物の成分検査など専門外のこともできる。「小鉄」という名の小さなロボットを連れている。 ある人物に似ているとして、アルゼイドを毛嫌いしている。身長140センチ。

レイボーン・ディオルテ (れいぼーんでぃおるて)

ラゼル・アナディスたちがベルンプエラで知り合った16歳の少年。浅黒い肌にライトグレーの長い髪で、両目が隠れている。瞳の色はヘーゼル色。崖から飛び降りて入水自殺を図ろうとしたところをラゼルに救出される。裕福な家の子息だが、父親のバルマン・ディオルテとは仲が悪く、「言いなりになるくらいなら死ぬ」と公言している。 これまで友人がいなかったが本心では求めており、ラゼルと友達になる。身長167センチで、好きなものは友達。

名無しの子ども (ななしのこども)

ラゼル・アナディスがアカネアの街へ向かう船で知り合った謎の子供。白い長髪に赤い瞳で、アルゼイドによく似た容姿をしている。まだ幼く、ほぼひらがなのみで話すのが特徴。仮の呼称として「アルゼイド」と呼ばれていることから、アルゼイドは彼と間違えられ「白銀の悪魔」として追われるようになってしまう。

キアラ

バロックヒートの兄で、ラゼル・アナディスの「敵」を名乗る若い男性。クリムゾンレッドの髪に青い目をしている。ラゼルたちの行く先々に現れては、奇妙な言動を残し消え去っている。アルゼイドとバロックヒートを嫌っており、ネクタイの形をした武器を用いて彼らを襲う。身長165センチ。好きな人物はナツメ・アナディス・タカムラ。 昔は黒髪だったが、染髪して今の色になった。名無しの子どもを連れている。

ヴィク

ラゼル・アナディスが街で出会った若い女性。眉上で切った短い前髪に、内巻きにしたボブヘアをしている。危険な情報の詰まった警邏隊内部の記録書を盗んだことから、警邏隊に命を狙われている。夢を抱いて田舎から出てきたが、いつの間にかコソ泥になってしまった。そんな自分の人生を悔いており、ラゼルのような魔法の才能があれば違う生き方ができたのにと感じている。 故郷に、喧嘩別れした親しい男性のサイキがいる。

リィナ・レンフォード (りぃなれんふぉーど)

偶然見かけたアルゼイドを気に入り、ペットにしようと目論む少女。前髪を上げ、左右でお団子ヘアにしている。父親は貿易商を営んでおり、街の人間にも顔が利く存在。そのため彼の権力をかさに着て、傍若無人に振る舞っている。一人称は「りーにゃ」。

タキ

リィナ・レンフォードの使用人を務める少年。長めの髪を外にはねさせている。リィナのためにアルゼイドを捕獲し、彼女のペットにしようと声をかける。リィナの父親の存在とは無関係に彼女を大切に想っているが、こき使われることが多く頭が上がらない。

ノマ

ある村の出口付近に住み着いた、若い女性の姿をした幽霊。駆け落ち予定の恋人と待ち合わせ中、転んで怪我をして亡くなった。死後も20年間にわたり恋人を待ち続けているが、一度も彼は姿を見せたことがなく、そのために成仏する意思もない。

ロドリー

ラゼル・アナディスたちにノマの除霊を依頼した中年の男性。髪をオールバックにして撫でつけ、丸眼鏡をかけている。ノマの元恋人で、20年前彼女と駆落ちする予定だった。しかし、彼女よりも自分自身の将来を案じ、約束を破った。現在も村で暮らしている。

ソレスタ

アルゼイドの知り合いで、オブプレイの軍人を務める若い男性。前髪を真ん中で分けた、容姿も口調も中性的な雰囲気の人物。アルゼイドとは彼が軍にいた頃に知り合い、あることをきっかけに熱烈な好意を寄せるようになる。戦場だけが自分の生きる場所だと考えており、アルゼイドに元の軍人暮らしに戻るよう誘いをかける。アルゼイドの現在の相棒であるラゼル・アナディスには、強い嫉妬心を抱いている。

ヴィンセント

バロックヒートとソレスタが護衛している少年。ある良家の隠し子で、お家騒動に巻き込まれ命の危機にある。素直で可愛らしい雰囲気だが、実際は周囲が望む扱いやすい子供像を演じている。オブプレイを目指す最中にラゼル・アナディスたちと知り合い、ラゼルに憧れるようになる。首から下げた指輪を非常に大切にしている。

元医者の男性 (もといしゃのだんせい)

ラゼル・アナディスが森で出会った若い男性。前髪を真ん中で分け、眼鏡をかけている。元は医者だったが、妻を執刀ミスで失ったことから自殺願望を持つようになった。飛び降り自殺を図ろうとしたところをラゼルに止められたのがきっかけで、彼女と知り合う。腕にためらい傷がある。

ララウェル

ある村の宿屋の娘で、従業員も務める幼い少女。肩より下あたりまで伸ばしたセミロングヘアを、内と外の両側にはねさせている。母親は自分を産んですぐに亡くなっており、その死の不審さから街の子供には化け物扱いされている。宿泊客のラゼル・アナディスと親しくなるが、彼女に「自分は人殺しだ」と告白する。

ジェンフープ

ララウェルの父親で、宿屋を経営する男性。こけた頬に高い鼻の、太い眉が特徴の人物。妻を亡くしているため、ララウェルと2人きりで暮らしている。穏やかな雰囲気でララウェルを溺愛しているが、宿に他の従業員を雇っていないなど不審な点が多い。

マデイラ

森の中の大きな屋敷に住む少女。ショートカットに眼鏡をかけ、鼻のあたりにそばかすがある。美しく心優しい妹に比べ、自分は両親に愛されていないと感じており、やや偏屈な性格の持ち主。大学への進学を希望しているが両親には反対されている。そのため、学費を捻出しようと祖父の遺産探索をラゼル・アナディスたちに依頼する。

ミゼット

若い娼婦。前髪を真ん中で分け、胸のあたりまでのストレートロングヘアをしている。街で男性に絡まれていたところをラゼル・アナディスに助けられたのがきっかけで彼女と知り合う。ラゼルと同年代の頃には身売りをして暮らしていたが、妊娠を機に退職を決意した。しかし、自分が良い母親になれるかと悩んでおり、精神的不安からドラッグ「エンジェル・テクスト」に依存している。

ディイ・フェンネル (でぃいふぇんねる)

宗教法人「シンクロニック・センチュリー」の代表を務める若い男性。教団関係者には「教祖様」と呼ばれている。慇懃な雰囲気で丁寧な口調で話す。しかし教団を束ねる自分は「天使」になる権利があると考え、選び抜かれた美しい容姿と心を持つ女性の身体を乗っ取ろうとするなど狂った一面がある。街でラゼル・アナディスの勇気ある行動を目撃して以降彼女を気に入り、自らのものにしようとする。

エルマー

ラゼル・アナディスたちが街で出会った少年。ツンツンに立てた髪型が特徴。アリアメイル監獄から出所間近だった父親を、新所長リィズフェルトに突如死刑にされる。その理由説明と死体の返還を求めリィズフェルトに面会するが、投獄されてしまう。リィズフェルトへ復讐を誓っている。

リィズフェルト

アリアメイル監獄の新所長を務める中年の男性。禿げ上がった頭に太い眉をした、小太りの人物。囚人たちを地下の闘技場で戦わせ、最後の一人になるまで殺し合わせるという「ゲーム」を主催している。面会に訪れたエルマーと、巻き込まれたラゼル・アナディスたちを「ゲーム」に参加させ、殺そうとする。

ロマリオ

ラゼル・アナディスたちがサーカスで出会った少年。サーカスに憧れているが、ピアノを習っているため怪我をする危険のあることは禁じられている。サーカスの出し物にゲストとして指名されて以降行方不明となっており、ラゼルたちが捜索に出る。

イリージャ・バートネル (いりーじゃばーとねる)

サーカスの団長を務める若い女性。調教師の衣装を着て、帽子の中にまとめた髪の一部を垂らしている。自然流産した自らの子供のヴァイオラに強い執着を持っており、優秀な子供の身体をつぎはぎした肉体を用意し、再度生まれさせようとしている。

ルドヴィカ

ラゼル・アナディスたちが地図にない村で知り合った少女。ショートカットが特徴の、白い髪に赤い瞳のアルビノ。日光に弱い身体のために外出を制限されているが、たびたび家を飛び出して村を歩いている。同じアルビノのアルゼイドに関心を示し、彼に懐くようになる。

バルマン・ディオルテ (ばるまんでぃおるて)

レイボーン・ディオルテの父親。長髪を一つにまとめ、顎ひげを蓄えた、若々しい雰囲気の人物。裕福で賭け事にめっぽう強い権力者だが、その分周囲から恨みを買うことも多い。現在ベルンプエラの漁船の権利をほぼ100%所有している。

アディ・アズヒム (あでぃあずひむ)

ラゼル・アナディスたちがアカネアの街を訪れた際、突如攻撃してきた若い女性。眉上で切った短い前髪に耳の高さで内巻きにしたボブヘアをしている。アカネアに現れた「白銀の悪魔」をアルゼイドと勘違いし、兄のアシュマー・アズヒムと組んで襲ってくる。生真面目な性格で、丁寧な口調で話す。

アシュマー・アズヒム (あしゅまーあずひむ)

アディ・アズヒムの兄。肩まで伸ばした長髪を外にはねさせ、眼鏡をかけた若い男性。妹のアディと組んで「白銀の悪魔」と勘違いしたアルゼイドを狙うが、誤解と分かった後はラゼル・アナディスたちに協力することになる。光の屈折率を操作する能力を持っているが局地的な場面でしか役に立たないため、アディには頭が上がらない。 アディのことを非常に大切にしている。

テイラ・カナビス (ていらかなびす)

アカネアで医者を務める若い女性。元オブプレイの軍医で、アルゼイド、ソレスタ、バロックヒートとは知り合い。前髪を真ん中で分け、胸のあたりまで伸ばしたストレートロングヘアに眼鏡をかけている。浅黒い肌が特徴のセクシーな雰囲気の人物。夫をアルゼイドに殺された過去から、彼を強く憎んでいる。14年前は生真面目でおとなしい雰囲気の人物だった。

嘯月 (しょうげつ)

プロメテウスの街に住む16歳の少年で、街で最高の科学者。ふんわりとした黒髪と、右目尻にほくろがあるのが特徴。天才肌でその気になればどのようなこともできるが、突飛な行動や発言から「バカ」と称されることが多い。マイペースで、熱中すると周りが見えなくなる。勘が鋭く、自身も「僕の勘は当たる」と自負している。アルゼイドに関心を抱いている。

ベファティラディータ

嘯月に仕える、人工的に造られた少女。嘯月のことは「マスター」と呼ぶ。前髪を斜めに分け、前下がりのボブヘアをしている。クールで慇懃だが、はっきりとものを言う性格。嘯月よりも日々の暮らしを大切にしているが、彼への忠誠心がないわけではない。「人面お手玉」や「萌えっ子サイコロ」といった奇妙なおもちゃを作るのが趣味。

サラサネイア

嘯月に仕える、人工的に造られた少女。嘯月のことは「嘯月さま」と呼ぶ。眉上にしたラウンド前髪に、腰のあたりまで伸ばしたロングウェーヴヘアをしている。嘯月を熱心に慕っており、自分以外の女性が嘯月の関心を引くことを嫌がる。料理に関する認識が独特で、弁当に缶詰を缶のまま入れて渡すなど独自の料理をするが、本人にその自覚はない。

馬車強盗の老人 (ばしゃごうとうのろうじん)

ラゼル・アナディスがヴェルニーニの村に向かう途中の馬車で出会った年老いた男性。禿げあがった頭にサイドだけ髪を残し、口ひげを蓄えている。長年真面目に暮らしてきたが、ある時自分には友人も家族もいないと気づく。そのため、羽目を外そうと悪事を働くが、生真面目な性格が災いして失敗。自分にも存在価値があり、物語のヒーローのような活躍がしたいと考えている。

サイヴァ・サルヴァリュート (さいゔぁさるゔぁりゅーと)

プロメテウスの街に住む少年。ブランオーウェンの知り合いで、アルゼイドたちの滞在中、彼らと一緒に過ごすことになる。ブランオーウェンを「姐さん」と呼び慕っている。家事全般が好きだが、料理の腕は人並み。

エネロ・フェブ・イェル・カーボベルデ (えねろふぇぶいぇるかーぼべるで)

プロメテウスの街の最高評議長を務める初老の男性。街の最大権力者で、アルゼイドとバロックヒートの名付け親。ブランオーウェンとも知り合いで、バロックヒートたちを子供や孫のように可愛がっていることから、彼らからは「親父」「親父殿」と呼ばれている。大きな鼻と口ひげ、割れた顎が特徴。一年のほとんどを「休眠期」とし、コールドスリープ状態で眠って過ごしているが、春先に外へ出た際にラゼル・アナディスと出会う。 アルゼイドとバロックヒートを想うラゼルの人柄に触れ、彼女を非常に気に入っている。

ファビエン・ローズ (ふぁびえんろーず)

ラゼル・アナディスの実の父親で、ヴェルニーニの村に住む男性。前髪を真ん中で分け、肩のあたりまで伸ばした長髪と、口ひげ・あごひげが特徴。不在中にヴェルニーニの村が滅びたため、現在は村に一人で暮らしている。優秀なラゼルを深く愛していたが、彼女の力が恐ろしくなり、9歳の誕生日に森に捨てた。

イリリア・ローズ (いりりあろーず)

ラゼル・アナディスの亡くなった母親。前髪を斜めに分け、肩下あたりまで伸ばしたセミロングヘアをしている。「未来を視る」という特別な魔法の力を持っていたが、自分の未来を知ったことで気がふれてしまう。そのためラゼルと無理心中を図ろうとするが、ラゼルに撃退され亡くなった。

セアン・ウェス・ウェラー (せあんうぇすうぇらー)

プロメテウスの街の特殊部隊「馳せ参じる闘神」の大尉を務める若い男性。オールバックにした髪と、あごひげが特徴。以前はオブプレイで軍の教官を務めており、アルゼイドは彼を知っていた。非常に無口で、フェイ・リゼットなど他者に自分の気持ちを代弁させることが多い。

フェイ・リゼット (ふぇいりぜっと)

プロメテウスの街の特殊部隊「馳せ参じる闘神」の准尉を務める17歳の少年。中性的な容姿の可愛らしい雰囲気の人物で、物腰も柔らかいが、実力は本物。小さな理容バサミを携行しているが、どのような所以のあるハサミなのかは不明。ラゼル・アナディスのことを気に入り、即座に結婚を申し出る。家事全般が得意で、夢は可愛いお嫁さんをもらうこと。 自称「ノーブル系」だが、アルゼイドには腹黒いと評されている。

クラリサ

エブロゼに住むラゼル・アナディスの親友で、同じ中学校の3年B組に所属する女子生徒。前髪を真ん中で分け、ゆるくウェーヴがかった長い髪をポニーテールにしている。突如旅に出て連絡ひとつ寄越さなかったラゼルに腹を立てているが、彼女のことを非常に大切に想っている。離れていた間にラゼルと新たに親しくなったアルゼイドとバロックヒートに嫉妬しており、ラゼルが以前ほど自分を好きではないのではと不安に思っている。 男性を毛嫌いしている。

ナツメ・アナディス・タカムラ (なつめあなでぃすたかむら)

バロックヒートの想い人。プロメテウスの創設メンバーで、プロジェクトの発起人でもある若い女性。プロメテウスの街の人間にとっては神のような存在で、周囲に慕われていた。しかし美化されるあまり、その心の奥底にあるものを知る人間は少なかった。アルゼイドの父セカンドを助手として働かせたことがあったり、バロックヒートの右手に刺青を入れた人物でもある。

イリューゼ・ブラハ・メレベッティ (いりゅーぜぶらはめれべってぃ)

プロメテウスの街の特殊部隊「馳せ参じる闘神」の中将を務める男性。オールバックにした髪を立て、盲目のため目をアイマスクで覆っている。テイラ・カナビスとは旧知の仲で、プライベートでは「イリューゼ」と名前で呼ばれたがる。現在のプロメテウスをあまり快く思っておらず、変えたいと思っている。実はエネロ・フェブ・イェル・カーボベルデの直系の子孫で、内縁の妻がいる。 目は見えないが、編み物が得意。

エイミー・キンレン (えいみーきんれん)

テイラ・カナビスの知り合いで、プロメテウスの街に住む元帥を務めた若い女性。前髪を斜めに分け、肩までの高さの髪の毛を巻き髪にしている。テイラには気さくな友人のように接するが地位は高く、彼女への命令権もある。サディスティックな性格で、特に14年前はイリューゼ・ブラハ・メレベッティを頻繁に足蹴にしていた。

セカンド

ラゼル・アナディスが、14年前の世界で出会った若い男性。アルゼイドによく似た「1号」と、謎の子どもによく似た「2号」と共に暮らしている。前髪を真ん中で分けて眼鏡をかけ、白衣を着ているのが特徴。無表情で冷たく見えるが悪い人間ではなく、不親切という訳でもない。過去の世界に飛ばされ身寄りのないラゼルを、住み込みの家政婦として雇うことになる。

アイギス

セカンドの家に設置されたセキュリティシステム。誕生当初は警報装置だったが、不正侵入者を排除するため進化し、現在は少女の姿をとっている。ボブヘアにリボンカチューシャをし、メイド服を着ているのが特徴。特に悪質な不正侵入者であるセラティード・アナディスには、強い対抗心を持っている。

イベント・出来事

13番目の試練 (はいどらぽいずん)

プロメテウスの街の特殊部隊「馳せ参じる闘神」への入隊試験。配給されたナイフで目をえぐり、毒物の注射を受けた状態でスタートする。盲目の状態で数々の妨害工作を振り切り、致死性の毒が身体に回る48時間以内に解毒剤を手に入れれば合格となる。「13番目」となっているが、他の12の試練はない。また、解毒剤にはエンジェル・テクストが含まれており、適合すれば高い戦闘能力や治癒能力が得られるが、しなかった場合は死亡してしまう。

その他キーワード

魔法 (まほう)

ラゼル・アナディスが使役する、頭の中に思い描いたイメージを現実世界に投影する力。使用の可否は単純に才能のみで決定され、ラゼルも自分以外には数人しか魔法使いを知らないほどに稀有な能力。一見万能に見えるが目に見えるものしか支配できず、一定の法則に従って働いている。そのため時間や空間を飛び越える、他人の心を自由に操る、消えた命を取り戻す等のことはできない。 この星に存在する魔法使いたちは、すべてある村で行われた人体実験の被験者の子孫であると言われている。

エンジェル・テクスト (えんじぇるてくすと)

若者の間で流行中の新種のドラッグ。正細胞レベルから肉体を作りかえ、人間を人間でないものに生まれ変わらせることを目的に作られたことから「天使になる為の教科書」=「エンジェル・テクスト」の名が付いた。服用すると体が軽くなり、幸福感を得ることができるが、快楽を得ることを目的に作られた薬ではない。中には生物のタンパク質のようなものが含まれており、体細胞にじわじわ侵入し、遺伝情報を自らのものに描きかえ、コピーを繰り返し全身に広がっていくというがん細胞のような働きをする。 薬が適合しなかった者、不必要な分量を一度に摂取した者は、異常増殖した血液による内圧に耐え切れず肉体が破裂してしまう。

クマバッグ

ラゼル・アナディスが携行しているバッグ。黒い目隠しで目を覆われたテディベアの形をしている。背中のジッパーを開けて荷物を収納するが、内容量は無尽蔵で、見た目からは到底入りきらないものもたやすく入れることができる。セラティード・アナディスが発信器などを付けている疑いがある。

苗字トランプ (みょうじとらんぷ)

セラティード・アナディスが考案・制作したカードゲーム。数字の代わりに「鈴木」「佐藤」といった現代日本人の苗字が書かれており、ハートやスペードといったマークの代わりに4種類の書体に別れている。普通の苗字札の他にジョーカーのような位置づけの「田中」「岡本」「三田村」「リンダ」の4種類があり、セラティード曰く、その中にはハズレも混じっている。

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