概要・あらすじ
検事を目指していた大学生、蘭龍一は、司法試験の帰りに通り魔に遭遇。このとき犯人の自殺を手伝い、殺人罪に問われてしまう。この事件により「人間は法より前で生きている。人間は自分も他人も裁くことができる」と感じた蘭龍一は、法曹界に進む道を自ら捨てる。ベトナム人窃盗グループのデュックたちと知り合いになった蘭龍一は、犯罪多発地帯である京極区に「自分の国」を造ることを決意。
その手始めとして、デュックたちと組んで日本への密航ビジネスを開始するが、これが台湾マフィア王秀麗の逆鱗に触れ、蘭龍一たちは絶体絶命の窮地に陥ってしまう。
登場人物・キャラクター
蘭 龍一 (あららぎ りゅういち)
検事を目指していたが、司法試験の帰りに子供を刺した通り魔に遭遇。自殺しようとして死にきれなかった通り魔に頼まれ、彼を殺す。この事件を通して「人を裁くのは法ではなく、人自身だ」と悟った彼は、法曹界で生きる道を捨て、アウトローの世界へ身を投じていく。ベトナムからの密入国者、デュック、チャイ、ミュンの3人と知り合った蘭龍一は、彼らと共に犯罪地区の京極区に「自分の国」を築くことを決意。 その手始めとして、虎風会の菊地正義と取引し、日本への密航ビジネスを開始する。だがそのことで台湾マフィアの首領、王秀麗に目を付けられ、命を狙われることになる。
グエン・バン・デュック (ぐえんばんでゅっく)
通称デュック。ベトナムからの密入国者。ジャパニーズドリームを夢見て日本に密航してきたが、ブローカーに有り金をだまし取られ、犯罪に手を染めるようになる。車泥棒に失敗し、虎風会のチンピラに追われていたところを蘭龍一に助けられる。ベトナム人の自分を信じた蘭龍一に惚れ込み、彼の仲間となる。
ミュン
ベトナムからの密入国者。密航仲間のデュック、チャイと共に窃盗グループを組んでいた。車泥棒に失敗し、虎風会のチンピラに追われていたところを、蘭龍一に助けられる。蘭龍一と行動を共にするうちに、彼を愛するようになる。
劉 文興 (らう まんひん)
デュックの知り合いの中国人武器ブローカー。蘭龍一の度胸と運の強さに惚れ、密輸拳銃50丁を託す。
菊地 正義 (きくち まさよし)
京極連合傘下の暴力団、虎風会の幹部。京極区を支配するという野望を持ち、その実現のために蘭龍一を利用しようとする。根っからの武闘派で、力による解決を好む。
王 秀麗 (わん しゅーりー)
京極区を縄張りにする台湾マフィアの女首領。京極区内における密航ビジネスを牛耳っており、新規ルートを開拓しようとする蘭龍一一派の抹殺を命じる。敵対する者は絶対に許さない冷酷な女性だが、単身で自分のもとに乗り込んできた蘭龍一に興味を抱く。
リン
サイゴンの中国人街に住むベトナム人の金貸しの老婆。ベトナムの裏世界に広いネットワークを持つ。蘭龍一に惚れ込み、親子の契りを交わす。蘭龍一の密航ビジネスを手助けしたことで、王秀麗の怒りを買い、殺される。
カオキ
ジャンク船、赤い鮫の船長。蘭龍一の依頼を受け、破格の50ドルでベトナムから日本への密航を請け負う。
テリー・サイクス (てりーさいくす)
密航船の護衛として蘭龍一が雇った傭兵。ベトナム人とアメリカ兵の混血で、世界中の戦場を渡り歩いてきた。
朽木 (くちき)
虎風会幹部、菊地正義の舎弟。菊地正義の死後、彼の遺志に従い、蘭龍一の子分となる。
桐山 統一郎 (きりやま とういちろう)
構成員2万5000人を誇る巨大暴力団、京極連合の三代目総長。王秀麗率いる台湾マフィアとの手打ちのため、虎風会幹部の菊地正義を殺すよう榊元武志に命じる。さらに虎風会残党を率いる蘭龍一をも抹殺しようとする。
榊元 武志 (さかきもと たけし)
虎風会会長。桐山統一郎に命じられ、幹部である菊地正義に刺客を差し向ける。最期は蘭龍一によって殺された。
集団・組織
京極連合 (きょうごくれんごう)
『アララギ特急』に登場する暴力団。構成員2万5000人を誇る巨大暴力団。虎風会幹部の菊地正義の死をきっかけに、蘭龍一率いるグループと壮絶な抗争を繰り広げる。
虎風会 (こふうかい)
『アララギ特急』に登場する暴力団。京極連合傘下の暴力団で、幹部である菊地正義が組を仕切っている。彼の死後、組員全員が蘭龍一の子分となった。