あらすじ
バラが咲いた
塚本晋次は生まれつき感受性が乏しく、感情を表に出すことが少なかった。しかしそんな晋次は、小学生の時に同じクラスになった戸川を美しいと感じ、大いに心を揺さぶられる。そして月日は流れ、高校生になった晋次がそんな感情をすっかり忘れた頃に、戸川が小学生時代と変わらない姿で晋次の前に現れる。
星空で目がくらむ
一人っ子で鍵っ子の中学生・有為子には、森岡健一という幼なじみがいた。自分の家族はケンカばかりで有為子はいつもうんざりしていたが、そんな彼女を助けてくれるのはいつも健一だった。
星の名前
一人暮らしをしている須田秋生は、毎日を退屈だと感じつつも、隣の部屋に住む美人の風吹ジュンコのことが気になっていた。ジュンコに対する想いを日々募らせた秋生は、ついに彼女に手紙を出すことを決意する。
PUNKY CAKE JUNKEI
中路モエコは過食症で、ケーキを食べることを抑えられずにいた。ある日、いつも通っているケーキ屋で衝動買いをした結果、モエコは所持金がまったくなくなってしまう。しかし、その後もケーキを食べたいという衝動は抑えきれず、身体を売って金を稼ごうと行動を開始する。そんなモエコに、ケーキ屋で働いている三浦夏生が声をかける。
青色的少年
華原マキは、それまで仲の良かった家族が離婚により離れ離れになったことで、自暴自棄になっていた。そんな華原のクラスに青い髪の自由奔放な荒幡幸男が転校生としてやって来て、華原の後ろの席になる。ある日、幸男が華原に迷惑をかけたことで、2人は反省文を書くことになってしまう。
登場人物・キャラクター
塚本 晋次 (つかもと しんじ)
エピソード「バラが咲いた」に登場する。10代の男の子。感受性が乏しく、幼い頃から何かを見て笑ったり、泣いたりすることがまったくなかった。そのため感情的に振る舞うことはほとんどなく、物事を客観的に見ることができ、成績も優秀。しかし、小学校の頃に同じクラスだった戸川を見て、きれいだなと感じ、一度だけ感情を高ぶらせたことがある。
有為子 (ういこ)
エピソード「星空で目がくらむ」に登場する。一人っ子の女子中学生。思ったことをハッキリと言えず、ストレスを溜め込むタイプ。幼少期の両親のケンカがトラウマとなっており、部屋に籠るようになった。唯一心を開くのは、隣に住んでいた森岡健一で、彼とは幼なじみで仲が良い。学校では、いじめを避けるために皆と仲良くしている振りをしているが、内心ではクラス全員を見下している。
須田 秋生 (すだ あきお)
エピソード「星の名前」に登場する。10代の男子学生。ボーっとしていることが多く、漠然と退屈な日々を抜け出したいと考えている。そんな中、隣の部屋に引っ越して来た風吹ジュンコに一目惚れする。楽天的で考えも甘い性格だが、ジュンコのことは大切に想っている。
中路 モエコ (なかみち もえこ)
エピソード「PUNKY CAKE JUNKEI」に登場する。過食症の女子高生。小さい頃のトラウマがもとで過食症になった。ケーキばかりをお腹いっぱいに食べては、吐くことを繰り返している。それが行き過ぎ、今ではケーキのためなら何でもするという危険な思考に陥っている。
華原 マキ (かはら まき)
エピソード「青色的少年」に登場する。クラスの皆と距離を置くタイプで、ショートカットの髪型をした女子学生。小学生の時はソフトボール部に所属しており、活発的な女の子だった。以前は明るい性格だったが、両親が離婚したことが原因でふさぎ込み、人付き合いも上辺だけのものとなっている。
戸川 (とがわ)
エピソード「バラが咲いた」に登場する。10代の女の子。容姿端麗で、感受性が豊かな女性。塚本晋次とは小学校の時のクラスメイトで、仲が良く一緒にいることも多い。戸川自身も晋次のことが好きだったが、卒業後は離れ離れになった。高校生になって晋次と再会するが、その時には自分の体を売って金を稼ぐ生活を送っていた。
森岡 健一 (もりおか けんいち)
エピソード「星空で目がくらむ」に登場する。一人っ子の男子中学生。周囲からは「ケンちゃん」と呼ばれている。有為子とは幼なじみ。小さい頃からワルぶっているが、学校のクラスメイトからは評判が良く、女子にもモテる。幼い頃から有為子とは仲が良く、正式に付き合っているわけでないが、13歳の時に彼女を相手に初体験を済ませている。
風吹 ジュンコ (ふぶき じゅんこ)
エピソード「星の名前」に登場する。須田秋生の隣の部屋に住む若い女性。容姿端麗ながら、何故か着ている服は一昔前のものである。家庭持ちの男性と付き合っており、彼に自分の方を向いてほしいと強く願っているが、その想いを伝えることができずにいる。
三浦 夏生 (みうら なつお)
エピソード「PUNKY CAKE JUNKEI」に登場する。19歳で料理専門学校に通う青年。実家はケーキ屋を営んでおり、料理専門学校に通っているのも実家を継ぐための修行の一環。髪が赤く派手な容姿のため一見怖そうに見えるが、見た目とは裏腹に誠実な性格をしている。中路モエコがケーキばかり食べる理由を知り、彼女を助けるためのケーキ作りに奮闘する。
荒幡 幸男 (あらはた ゆきお)
エピソード「青色的少年」に登場する。水中眼鏡をつけた青い髪の男子学生。周囲の人を巻き込む迷惑なタイプで、あまり言葉を発しない。華原マキのクラスにやって来た転校生で、華原の後ろの席になった。父親の仕事でメキシコに行っていたため、その影響から性格は自由奔放で独創的。