世界女帝列伝 クレオパトラ

世界女帝列伝 クレオパトラ

エジプトの女王、クレオパトラ7世の生涯を描いた歴史劇。ユリウス・カエサルやマルクス・アントニウスといったローマの英雄との恋愛などは史実に沿っているが、創作の部分も多い。カエサルの妻、カルプルニアの嫉妬心が強調されるなど、男女のドロドロした愛憎劇が中心に描かれている。

正式名称
世界女帝列伝 クレオパトラ
ふりがな
せかいじょていれつでん くれおぱとら
作画
原作
ジャンル
その他歴史・時代
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あらすじ

第1巻

エジプトが衰退し、新興国ローマに圧迫されていた紀元前1世紀が舞台。エジプトの王女であるクレオパトラ7世は、まだ少女ながら「聡明さや判断力、決断力などほかの兄弟姉妹の中でずば抜けている」と評価され、ファラオ(王)の後継者として期待されていた。この頃、エジプト国内で反乱が起き、ローマの若き将軍のマルクス・アントニウスが鎮圧の手助けをする。アントニウスと出会ったクレオパトラは、情熱的な恋に落ちた。その後、クレオパトラは弟のプトレマイオス13世と共に王位を継承し、前途多難な治世が始まる。

第2巻

政治混乱が続くエジプトに、ローマの将軍であるユリウス・カエサルが軍を率いて介入してきた。強力な後ろ盾を求めるクレオパトラ7世は、密かにカエサルのもとを訪ね、自分の肉体と引き換えに庇護を求めた。強力な味方を得たクレオパトラは、敵対者である宦官のボティノスと、その傀儡である弟のプトレマイオス13世を打ち破る事に成功した。以後もカエサルは激しくクレオパトラを愛し、息子のプトレマイオス・カエサルが誕生する。

第3巻

ユリウス・カエサルは部下のマルクス・アントニウスと共に戦功を上げ続け、ますます強い権力を手にしていた。カエサルの凱旋式に招かれてローマを訪れたクレオパトラ7世は、そこでカエサルの養子であるオクタヴィアヌスと出会う。この時オクタヴィアヌスは、クレオパトラの美しさに惹かれ、密かに恋心を抱くようになった。一方、カエサルの妻であるカルプルニアは、クレオパトラが夫をそそのかしていると見なし、激しい対抗心を燃やす。そしてカルプルニアは、カエサルを失脚させて自らローマを支配するという野望を持つようになっていく。

第4巻

クレオパトラ7世は、ローマの最高権力者たるユリウス・カエサルの愛人となっただけでなく、その部下のマルクス・アントニウスも手玉に取っていた。さらにオクタヴィアヌスからも思いを告げられるが、クレオパトラは拒絶。かえって相手の妄執を強める事になった。一方、終身独裁官として独裁的な権力を振るうカエサルは、カッシウスら元老院との対立を強めていた。カルプルニアに誘惑されたカッシウスは、ついに同志と共にカエサルを襲撃し、暗殺してしまう。

第5巻

ユリウス・カエサル暗殺によって後ろ盾をなくしたクレオパトラ7世は、マルクス・アントニウスの庇護を受ける。ところが、カエサルの妻のカルプルニアは、養子のオクタヴィアヌスを後継者に指名。アントニウスが後継者争いで不利になったため、クレオパトラはローマを離れてエジプトに戻った。一時内戦状態となったローマだったが、カルプルニアの深謀遠慮を背景に、オクタヴィアヌスはアントニウスと和解する。

第6巻

マルクス・アントニウスの軍によって、ユリウス・カエサルを暗殺したカッシウスらの勢力は鎮圧された。しかし平穏はつかの間に終わり、オクタヴィアヌスはアントニウスとクレオパトラ7世に対して宣戦布告する。オクタヴィアヌス軍は、アクティウムの海戦でアントニウスの軍を破った。しかし、クレオパトラは陰謀をめぐらせ、オクタヴィアヌスとその後ろ盾であるカルプルニアのあいだを引き裂こうとする。その結果、カルプルニアへの不信と憎悪にかられたオクタヴィアヌスは、カルプルニアを刺殺してしまう。

第7巻

アクティウムの海戦で大敗した事で、マルクス・アントニウスと同盟するエジプトは窮地に立たされた。オクタヴィアヌスの率いるローマ軍はエジプトに迫り、アントニウスもオクタヴィアヌスの軍に突撃して戦死。クレオパトラ7世は、オクタヴィアヌスに屈して生き延びるよりも、愛するアントニウスに殉じて、誇りを保ったまま死ぬ事を選び、毒蛇に胸を嚙ませて命を絶つのだった。

登場人物・キャラクター

クレオパトラ7世 (くれおぱとらななせい)

エジプトの女王。エジプト王、プトレマイオス12世の娘として生まれる。少女時代から、聡明さや決断力などを高く評価された。即位後は、国内反対派のクーデターやローマからの外圧など、さまざまな困難に襲われる。しかし、「エジプトを守るためなら娼婦にもなろう」という決意のもと、ローマの有力者をその美貌で籠絡する事で、懸命に国を保とうとした。 実在の人物、クレオパトラ7世がモデル。

ベレニケ4世 (べろにけよんせい)

プトレマイオス12世の娘で、クレオパトラ7世の姉。クレオパトラと共に教育を受けるが、怠惰な性格で能力も凡庸である。側近にそそのかされ、謀反を起こして父王を追放する。しかし、ローマの将軍、マルクス・アントニウスの介入で謀反は失敗し、帰国した父王の命令で処刑された。実在の人物、ベレニケ4世がモデル。

プトレマイオス12世 (ぷとれまいおすじゅうにせい)

クレオパトラ7世の父親で、エジプトの王。エジプトの国力がローマに劣る事をよく理解しており、ローマに賄賂を贈る事で国を保つ現実的な外交を行っている。国民には「屈辱的な外交」と言われて人気がないが、娘のクレオパトラはその意図をよくわかっており、敬意を持たれている。実在の人物、プトレマイオス12世がモデル。

プトレマイオス13世 (ぷとれまいおすじゅうさんせい)

プトレマイオス12世の息子で、クレオパトラ7世の弟。能力的には姉と異なり凡庸で、家庭教師に「賢姉愚弟」と評されている。父王の死後、クレオパトラと共に共同統治者として王位を継承する。宦官のボティノスのクーデターのあとは、その傀儡となる。最後は、ローマ軍を味方につけたクレオパトラに敗れ、ナイル川の藻屑となる。 実在の人物、プトレマイオス13世がモデル。

マルクス・アントニウス (まるくすあんとにうす)

ローマの将軍で、若い男性。ユリウス・カエサルの部下。エジプト王女のベレニケ4世が反乱を起こした時に軍事介入して鎮圧。その際にクレオパトラ7世と知り合い、情熱的な恋に落ちる。その後、クレオパトラは後ろ盾を求めてカエサルの愛人となる道を選んだため、嫉妬のため苦悩する。しかし、自暴自棄な生活をカエサルに叱責された事で自覚を取り戻し、ローマの将軍として功績を上げ、カエサルの有力な後継者候補となる。 実在の人物、マルクス・アントニウスがモデル。

ボティノス

エジプトの宦官(去勢された男性)。狡猾で奸智に長けた人物。プトレマイオス13世をそそのかし、クレオパトラ7世の政治に不満を持つ人々を扇動してクーデターを起こす。クーデターは成功し、クレオパトラは一時的に亡命を余儀なくされた。ローマのユリウス・カエサルの介入を受けて、一度はクレオパトラと和解するが、再度反旗を翻す。 最後はクレオパトラに味方したローマ軍に敗れ、プトレマイオス13世と共に戦死する。実在の人物、ボティノスがモデル。

ユリウス・カエサル (ゆりうすかえさる)

ローマの将軍で、壮年の男性。ローマで最も実力を持つ指導者。その庇護を求めて近づいたクレオパトラ7世の美貌と肉体の虜となる。クレオパトラより30年も年長だが精力絶倫で、息子のプトレマイオス・カエサルをもうける。その後は終身独裁官に任命され、名実共にローマの最高権力者となるが、妻のカルプルニアの陰謀により暗殺される。 実在の人物、ユリウス・カエサルがモデル。

カルプルニア

ユリウス・カエサルの妻。子供がいないため、オクタヴィアヌスを養子としている。本来は穏やかな性格であり、色を好む夫の放蕩も大目に見ている。しかし、カエサルがローマにクレオパトラ7世を招くと、クレオパトラが夫をたぶらかしていると見なして激しく憎悪する。のちに自身を裏切ったカエサルへの憎しみから、彼を追い落として実権を握ろうと画策する。 実在の人物、カルプルニアがモデル。

オクタヴィアヌス

ユリウス・カエサルの養子の青年。マルクス・アントニウスと並ぶ、カエサルの有力な後継者候補である。カエサルに招かれてローマを訪れたクレオパトラ7世と出会い、密かに恋心を抱く。のちにクレオパトラから愛を拒絶されるが、かえって妄執を強める。以後、カルプルニアの後ろ盾のもと、強大な権力を手にするために策謀を巡らせるが、その目的はクレオパトラを我が物にするためであった。 実在の人物、オクタヴィアヌスがモデル。

カッシウス

ローマの政治家で、髭を蓄えた中年男性。終身独裁官となって権力を一手に握ったユリウス・カエサルを警戒している。カエサルの妻であるカルプルニアとは愛人関係である。カエサルを抹殺しようとするカルプルニアの意を受け、同志と共にカエサルを暗殺。しかし、暗殺の達成後はカルプニアにとって利用価値がなくなり、謀反人とされて討伐された。 実在の人物、カッシウスがモデル。

アグリッパ

ローマの将軍で、中年の男性。海戦を得意とする名将。オクタヴィアヌスの部下として、マルクス・アントニウスとの内戦を戦う。アントニウスとクレオパトラ7世の連合軍に対して、アクティウムの海戦で激突。巧みな戦略・戦術によって、クレオパトラ側を撃破した。実在の人物、アグリッパがモデル。

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