天泣のキルロガー

天泣のキルロガー

ある事件に巻き込まれたことをきっかけに、平凡だったはずの守永尋武の人生は一変した。他人が殺人を犯した履歴「キルロガー」が見えるようになった尋武が、殺人者の肉しか食べられない少女、琥珀ゆずかとの出会いによって運命に翻弄される姿を描いたダークサスペンス。「漫画アクション」2019年3月19日号から2020年6月2日号にかけて掲載された作品。

正式名称
天泣のキルロガー
ふりがな
てんきゅうのきるろがー
原作者
菅原 敬太
作画
ジャンル
異能力・超能力
 
サスペンス
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あらすじ

ごく平凡な生活を送っていた男子高校生の守永尋武は、10万円連続通り魔事件に巻き込まれたことで両親を失い、尋武自身も、他人が殺人を犯した履歴「キルロガー」が見えるようになったことで苦悩の日々を過ごしていた。そんな尋武の学校に、転校生の琥珀ゆずかがやって来る。尋武は、大量の人間を殺害したキルロガーを持つゆずかに恐怖するが、ゆずかが殺人者の肉しか食べられない体質で、さらにゆずかが殺人者を食べると、その殺人の被害者は安らかな顔で成仏することを知った尋武は、ゆずかに協力することを決意。キルロガーを使って、日常の中に溶け込む多くの殺人者を見つける中で、尋武は偶然にも10万円連続通り魔事件と関連がある可能性を秘めた人物を発見する。

登場人物・キャラクター

守永 尋武 (もりなが ひろむ)

他者が殺人を犯した履歴「キルロガー」を見ることのできる特殊能力を持った男子高校生。美術部に所属している。サイドが長めの黒髪で、頭頂部の毛が一房立っている。争いごとを嫌う控えめな性格をしている。10万円連続通り魔事件の被害者であり、両親と旅行で訪れた羽仁温泉で何者かに襲われた。その際に両親は殺され、守永尋武自身も凶器を避けようとした結果、5メートルの崖から転落して瀕死の重傷を負った。この事件がきっかけとなり、キルロガーを見る能力が備わった。キルロガーを使って両親を殺害した犯人を捜しながら、殺人者の肉しか食べることができない琥珀ゆずかに協力して行動を共にしている。

琥珀 ゆずか (こはく ゆずか)

殺人者の肉しか食べることができない女子高校生。飾り気のない清楚な黒髪ロングヘアで、初対面の人間から見惚れられるほど整った顔立ちをしている。3年前に家族で羽仁温泉に旅行した際、バスジャックに遭って転落事故に巻き込まれて以降、殺人者の肉以外を食べると体がしびれ、まともに動けなくなってしまう体質に変化してしまう。守永尋武が人殺しを判別できるキルロガーの能力を持つことを知り、自分の体質を打ち明けて協力を求めた。多くの殺人を犯した人間ほど美味に感じるため、殺人未遂現場に居合わせた際には静観し、殺害される人数が増えるまで待機することもある。キルロガーが発動している時の尋武の目には、琥珀ゆずかの姿は大量の死人の顔を内包した黒い翼を広げているように見える。

亜里沙 (ありさ)

守永尋武のクラスメイトの女子高校生。ミディアム丈の金髪で、毛先が外側に跳ねている。尋武と同じマンションに住んでおり、10万円連続通り魔事件に遭った尋武のことをいつも気にかけている。尋武に思いを寄せている様子があり、尋武が琥珀ゆずかとなんらかの特別な関係にあることを察して注視している。

倉元 (くらもと)

守永尋武が住むマンションの隣室に暮らしている中年男性。茶髪で、眼鏡をかけている。夫婦で暮らしており、尋武が10万円連続通り魔事件後に退院した時にも心配している様子を見せていた。しかし後日、妻から浮気を問い質(ただ)されたことで激昂し、絞殺してしまう。このことをキルロガーによって読み取った尋武が、うっかり倉元の前で口にしてしまったのをきっかけに、尋武の命が狙われることとなった。

但馬 美春 (たじま みはる)

守永尋武の通う高校で教師を務める女性。長い黒髪をポニーテールにしている。2か月後に出産を控えた妊婦で、大きな腹部をしている。大学時代は豊と付き合っていたが、束縛が激しく暴力も振るわれていたため、別れて行方をくらませたことがある。現在は夫の但馬輝信と幸せに暮らしている。

但馬 輝信 (たじま てるのぶ)

但馬美春の夫。外ハネした茶髪をしている。美春を非常に大切に思っており、美春が妊娠してからは外出するたびにSPのように周囲を警戒して行動を共にしている。美春が豊と再会した直後に体調を崩した際には、会社を早退して駆けつけた。

(ゆたか)

但馬美春の元交際相手の男性。ツーブロックヘアで、非常に背が高く痩せた体型をしている。ひどい妄想癖があるうえに美春を偏愛し、美春と別れてからも行方を追って、ストーカー行為を繰り返している。数年前に別れているにもかかわらず、美春が身ごもっているのは自分の子供だと信じており、美春の夫である但馬輝信のことは美春の浮気相手だと考えている。

桃沢 直純 (ももさわ なおずみ)

琥珀ゆずかの幼なじみの男性。金髪のツーブロックヘアで、サングラスをかけている。小学3年生の頃に転校してゆずかとは離ればなれになったが、それまでは非常に仲がよく、毎日のようにいっしょに遊んでいた。情報通で、街中で偶然ゆずかに再会して以降、ゆずかと守永尋武からさまざまな情報提供を依頼されている。ゆずかからは「モモちゃん」と呼ばれている。

節子 (せつこ)

要介護認定された夫の自殺幇助(ほうじょ)をした老齢の女性。総白髪のショートカットヘアで、ふくよかな体型をしている。晴れの日が続いたために守永尋武がキルロガーを使用できず、食事を摂(と)れなかった琥珀ゆずかが栄養失調で倒れた際に、介抱した。ゆずかが、かつて亡くなった孫娘の里美とよく似ていることから、本当の祖母のように接している。里美の夫である桑山潤一を唯一の身内として非常に信頼しており、宝くじで高額当選した際には、潤一にその運用について相談したことがある。

桑山 潤一 (くわやま じゅんいち)

節子の孫娘である里美の夫。小太りの中年男性で、黒髪をオールバックにしている。節子には建設会社に勤務していると話しているが、実際は7年前に辞めており、現在は里美を事故に見せかけて殺害した保険金で暮らしている。また節子が宝くじで高額当選したことを知り、節子に取り入って相続人になったあと殺害しようと考えている。

中屋敷 一二三 (なかやしき ひふみ)

ジャーナリストの男性。ボサボサで肩まである黒髪に、無精ひげを生やしている。WEBサイトで主に殺人事件を取り上げた記事を執筆しており、10万円連続通り魔事件の生存者である守永尋武に取材を試みた。かつて10万円連続通り魔事件の被害者の第一発見者になった経験があり、公には伏せられている情報も持っている。体力がなく、虫を大の苦手としている。10万円連続通り魔事件の真相を探るため、尋武を事件現場である羽仁温泉へと誘った。しかし羽仁温泉で、尋武と琥珀ゆずかが違和感のある行動をしていたことを記憶しており、二人のことも調査している。

三苫 恒平 (みとま こうへい)

守永尋武の友人の男子高校生。外ハネ癖のある肩までの茶髪をワンレンにしている。両親が羽仁温泉で旅館「みとまや」を経営している。非常に絵がうまく、中学校の美術コンクールでは何度も受賞しており、その授賞式で尋武と出会った。しかし、1年前に石垣から転落する事故に遭い、意識はあるものの心がなくなったような状態となり、寝たきりの生活を送っている。

健斗 (けんと)

羽仁温泉の温泉街に住んでいる少年。短い茶髪をオールバックにして逆立てている。守永尋武たちが10万円連続通り魔事件について調べていることを知り、さらに琥珀ゆずかに「街に人殺しはいないか」と聞かれた際には、3年前からこれまで、友人三人が両目を抉(えぐ)られて殺害されていることを話した。

郁美 (いくみ)

桃沢直純の友人の若い女性。ワンレンのロングヘアで、果鈴という幼い一人娘がいる。キャバクラに勤めているが、その際には「ミーコ」という源氏名を使用していた。最終出勤日の退勤の際、鬼ノ宮から覚醒剤を盗んだ疑いをかけられて逃げ出し、直純の勧めで守永尋武の家に滞在することになった。見た目は派手で物事を深く考えないところがあるが、素直な性格で母性が非常に強い。

鬼ノ宮 (きのみや)

郁美が働いているキャバクラのオーナーを務める男性。小太りな体型に五分刈りで、口ひげを蓄えたヤクザ者。ショットガンを所持し、気に入らない部下や邪魔になった人間は、組が管理する廃屋を狩猟場に見立てて笑いながら相手を撃ち殺すなど、残虐な性格をしている。そのため、鬼ノ宮を知る人間からは非常に恐れられている。

綾島 (あやしま)

キャバクラでボーイを務める男性。郁美の彼氏で、童顔で背が低い。郁美と結婚することも視野に入れており、娘の果鈴にも優しく接している。鬼ノ宮を非常に恐れているが、鬼ノ宮から覚醒剤を盗んだと疑われている郁美と果鈴を逃がそうとしている。

場所

羽仁温泉 (はにおんせん)

守永尋武の両親が殺された観光地。廃神社、岩月神社の裏の崖からは羽仁温泉が一望できる。しかしその崖は、尋武がキルロガーを見ることができるきっかけになった場所でもあり、3年前に琥珀ゆずかが事故に遭って以来、殺人者の肉しか食べられなくなった場所でもある。

その他キーワード

キルロガー

殺人を犯すと浮かび上がる人殺しの履歴書。守永尋武が見ることができる。殺人者の背後に、その被害者の死に際の顔が平面になって焼きついて見える。また、尋武はその顔に触れることで殺害時の状況を知ることができ、琥珀ゆずかは殺人者を食べることで、殺人者に殺された被害者の顔が安らかになって成仏していく様子を見られる。ゆずかは尋武のキルロガーを利用して食料となる殺人者を探し、尋武はかつて両親を殺害した犯人を見つけ出して、両親を成仏させるためにゆずかに犯人を食べてもらおうと考えている。しかし、尋武がキルロガーを見ることができるのは雨の日に限定されており、雨の降っていない日は殺人者を見つけることができない。尋武は当初「人殺しの履歴書」と呼んでいたが、長いためゆずかが「キルロガー」と呼び始めた。

10万円連続通り魔事件 (じゅうまんえんれんぞくとおりまじけん)

守永尋武の両親が殺害された未解決の事件。1年ほど前から関東近郊で起こっている事件で、被害者に共通点はないものの、遺体には必ず10万円の入った封筒が置かれている。桑山潤一のスーツから10万円が入った封筒が大量に発見されたが、関連性はわかっていない。また、被害者の遺体に10万円入りの封筒が置かれていることは公にされていない。

クレジット

原作

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