冥土と浮世のはざまの物語
江戸時代最大の遊郭、新吉原の廓内にある九郎助稲荷(いなり)に向かっていた花魁の濃紫は、いつの間にか見知らぬ神社にたどり着く。そこは命婦薄神(みょうぶうすいのかみ)という白狐を祭神とする、冥土と浮世のはざまにある「鎮守の社」だった。冥土ではそれぞれが生前の想いに囚われた姿をしており、脚気で死に足の形になった者、盗み食いで折檻死(せっかんし)し、ろくろ首のような姿になった者など様々である。濃紫も「あお」と名乗っていた童女時代の姿に戻っていた。あおを出迎えたのは、キツネ耳が特徴の宮司、楽丸。鎮守の社を訪れる者の魂を導くことを生業としている。あおはそんな楽丸とともに死者を救うことに生計(たつき)の手立てを見出す。なお、鎮守の社に来るのはほとんどが死者だが、強い霊験のご利益を求める生者が迷い込むこともある。また、社の天井裏は浮世のどこかに繋がっており、浮世で浄霊が行われることもある。
遊女たちの魂を巡る人間ドラマ
鎮守の社を訪れるのは悲しい過去を背負った遊女がほとんどである。浮世に未練を残して亡くなった者は心にわだかまりがあり、それが恨みになると悪霊と化して悪さをする。醜い顔に劣等感を抱く遊女の富岡は、同郷の美女への嫉妬が原因で命を落とした。そんな富岡は分厚い白粉(おしろい)に覆われた巨大な顔だけの姿で鎮守の社を訪れる。また、畜生の子と忌み嫌われた三つ子の少女たちは、吉原に売られる途中で山賊に襲われて亡くなり社にやってくる。楽丸は命婦薄神の力を借りた鍵を使って彼女らの穢(けが)れを祓(はら)い、魂を導く。その際、あおは同じ遊女という立場を活かして彼女らの話を聞いてやり、わだかまりを紐解(ひもと)いていく。
二人の宮司の救済と断罪
貧しい家に育ち吉原に売られたあおは、妹を救うために金に執着しており、その思いは死後も消えていない。そんなわだかまりを持つあおは、ある事件で悪霊に接した際、憎悪に支配され自身も悪霊に落ちかけてしまう。何とか元の姿に戻ったあおだが、一度まとった穢れは10日間は消えない。そこに現れたのが、榎本稲荷の奥にある鎮守社の宮司、恐丸(おそれまる)だった。廓の断罪人と呼ばれる恐丸は、悪霊の臭いを嗅ぎつけると、問答無用で祓い清める。あおももう少しで断罪されるところだったが、楽丸に救われた。遊女の過去を聞いてやり手を差しのべることで魂を救う楽丸と情容赦なく悪霊を退治する恐丸。同じ使命を持ちながら対照的な二人の宮司は、物語の中でしばしば衝突することになる。
登場人物・キャラクター
濃紫 (こむらさき)
人気絶頂のまま命を落とした三浦屋の花魁。童女の姿で鎮守の社にやってきたため、幼名の「あお」と呼ばれることになる。浮世では妹を救うために金を稼いでいたようで、死後も金に異常な執着をみせる。鎮守の社を訪れる遊女たちの話を聞いてやることが上手で、宮司の楽丸と一緒に彼女らの魂の救済を行う。
楽丸 (らくまる)
鎮守の社の宮司を務める狐耳の青年。社を訪れる者たちの魂を守り、救済することを生業としている。心にわだかまりを持った者は、悪霊に陥ることが多い。そんな迷える魂を、命婦薄神の力を借りた大きな鍵を使って祓い清める。悲しみを背負った遊女たちの扱いが上手いあおを、社で雇うことにする。
書誌情報
あおのたつき 19巻 コアミックス〈ゼノンコミックス BD〉
第5巻
(2022-07-20発行、978-4867204023)
第6巻
(2022-09-20発行、978-4867204276)
第7巻
(2022-12-20発行、978-4867204450)
第8巻
(2023-02-20発行、978-4867204795)
第9巻
(2023-04-20発行、978-4867205037)
第10巻
(2023-06-20発行、978-4867205211)
第11巻
(2023-08-19発行、978-4867205617)
第12巻
(2023-11-20発行、978-4867205914)
第13巻
(2024-03-19発行、978-4867206331)
第14巻
(2024-07-20発行、978-4867206928)
第15巻
(2024-11-20発行、978-4867207215)
第16巻
(2025-03-19発行、978-4867207574)
第17巻
(2025-07-18発行、978-4867208120)
第18巻
(2025-11-20発行、978-4867208786)
第19巻
(2026-04-20発行、978-4867208908)








