朝霧島の財宝伝説を描いたコメディ冒険譚(たん)
一馬は、親戚が営む古民家喫茶兼女性専用民泊「海音荘(うみねそう)」で働くため、本土から離れた朝霧島を訪れる。近年、近海で金塊を積んだ海賊船が引き揚げられたことで、朝霧島は財宝伝説の島として注目を集めていた。しかし、その噂を聞きつけてマナーの悪い輩(やから)が島を訪れ、住民たちは困惑していた。そんな中、一馬は海賊船が発見される以前から財宝を探していた朝霧夕凪と出会い、彼女と共に財宝探しに挑むことになる。本作は、財宝の謎を追いながら、主人公とヒロインの絆をコメディタッチで描いている。
魅力的なヒロインたちとの共同生活
一馬が働く海音荘は、女性専用の民泊で、個性豊かなヒロインたちが暮らしている。幻の日本酒の再現を夢見る杉山伊織や、妖艶な雰囲気を漂わせる一之瀬凛子など、一馬は夕凪以外の住人とも交流を深めていく。また、海音荘には空き部屋があり、一馬が働き始めてからも新たな住人が次々と加わっていく。一馬を宿敵とみなす格闘家の七川連や、一馬の命を狙うくのいち、新堂桜など、一癖も二癖もある女性たちが登場し、さまざまな騒動を巻き起こす。離島の民泊という閉ざされた空間の中で、主人公とヒロインたちが共同生活を送りながら、恋愛や友情を育んでいく賑(にぎ)やかな日常が見どころとなっている。
瀬尾公治のメタギャグと自己パロディの魅力
作者の瀬尾公治は、『涼風』をはじめとする数多くのラブコメディ作品を世に送り出してきた漫画家である。彼の作品は世界観が共有されていることが多く、本作にも過去作を知っているとより楽しめる小ネタが随所に散りばめられている。また、自身の作風をネタにしたギャグも豊富で、トラブルで女性を押し倒した際に「テンプレですみません」といったセリフがあったり、美少女を見かけてラブコメの展開を予想するなど、登場人物たちがメタ的な言動を繰り返す場面が多く見られる。さらに、作中には瀬尾公治に似た作風の漫画家「虹緒駆(にじおかける)」が登場し、「いきなりのエロ展開は保険のつもり?」や、大ヒット作を生み出せない「アベレージヒッター」といった、自身の作風を自虐的に笑い飛ばすシーンも描かれている。
登場人物・キャラクター
潮崎 一馬 (しおざき かずま)
フリーターの青年。年齢は19歳で、誕生日は5月5日、血液型はO型、身長177センチ、体重68キロ。親戚が営む古民家喫茶兼女性専用民泊「海音莊(うみねそう)」で働くため、朝霧島にやってきた。漫画好きで、愛読しているのは「週刊少年マガジン」。推している作者は「虹緒駆」で、新連載は毎週欠かさず読み、的確な批評も行っている。年齢の割にやんちゃな一面が抜けきらず、朝霧島に伝わる海賊の財宝伝説に冒険心をくすぐられている。一見すると平凡な青年に見えるが、実は幼稚園の頃から「鶴河流無敵拳」という怪しげな武術を習っており、大男数人を一方的に倒せるほどの腕前を誇る。ただし、その構えは非常に格好悪く、見た者は口をそろえて「ダサい」と評している。また、武術だけでなく、師匠の鶴河秋水からさまざまな特技も伝授されており、動物を手懐ける不思議な能力も持つ。海水浴の際には、手懐けたイルカをサーフィンボードのように乗りこなし、周囲を唖然とさせた。夕凪とは当初険悪な関係だったが、彼女を暴漢から救ったことをきっかけに打ち解け、その後は夕凪の宝探しに付き合う約束を交わした。
朝霧 夕凪 (あさぎり ゆな)
朝霧島の高校に通う3年生の女子。誕生日は6月17日、血液型はB型で、身長は163センチ。赤い髪をボブカットにした整った容姿を持つが、どこか近寄りがたい鋭い雰囲気を漂わせている。古民家喫茶兼女性専用民泊「海音荘」で暮らしており、そこでアルバイトとしてやってきた一馬と出会う。生まれ育った島を心から愛しており、財宝伝説の噂を聞きつけて訪れるマナーの悪い観光客を嫌悪している。一馬もまた財宝伝説に興味を持っていたため、当初は彼もそうした輩の一人だと見なして敵対していた。しかし、暴漢に襲われた際に一馬に助けられたことをきっかけに、次第に心を開いていく。実は祖父が遺(のこ)した財宝の在り処(か)を記した巻物を持っており、祖父は財宝探しの途中で志半ばにして亡くなったため、周囲からはウソつき扱いされていた。そのため、祖父の言葉が真実であることを証明しようとしている。一馬にその事情を打ち明けたあと、二人は共に財宝を探す約束を交わした。








