いっそあなたがトドメを刺して

これまで浮気されたり振られたりと、なかなか幸せな恋愛に恵まれなかった女子大生の一香。今度こそふつうの恋愛をしたいと願い、大学の飲み会に参加した彼女は、他学部の爽やかなルックスと人懐っこい笑顔が印象的な航生と出会い、次第に彼に惹かれていく。何度かデートを重ね、二人は恋人同士になる寸前まで関係を深めたが、航生から「自分は女癖が悪く、本命の彼女を作らないクズだ」と衝撃的な告白を受ける。ショックを受けながらも、航生をあきらめきれない一香は、彼の本命になるために一途なアプローチを開始する。彼女の真っ直ぐな愛情表現に少しずつ心を動かされていく航生の姿が、本作の見どころの一つとなっている。

一香は「誠実な人とふつうの恋愛がしたい」と願いながらも、その派手な外見が災いして、思いを寄せた男性たちから軽んじられてきた。そんな一香は、航生が自分を恋愛対象として見ていないと知りながらも、一途にアプローチを続けている。一方、航生は優しい見た目とは裏腹に、人に対する執着心がまったくなく、その素行を知る女性たちからは避けられているが、本人はまったく気にしていない。当初は一香を遊び相手の一人としか見ていなかったが、彼女の見た目とは異なる純粋さに触れ、「女友達」としての関係を続けている。一香の好意には気づいているものの、純粋な彼女に自分のような人間がかかわるべきではないと考え、距離を置こうとしている。

停滞していた二人の関係を動かすキーパーソンとなるのは、一香の後輩、五十川新。二人は同じ学部で顔を合わせるうちに親しくなり、いっしょに過ごす時間が次第に増えていく。やがて新は一香に惹かれていくが、彼女の心には航生しかいないことを悟り、その思いを胸に秘めながら、よき相談相手として彼女を支えていた。しかし、航生に振り回され傷つく一香を間近で見るうちに、自分が彼女を守りたいという気持ちを抑えきれなくなる。そして、北海道へのグループ旅行をきっかけに、新はついに航生に対してライバル宣言をする。それ以降、新は一香への恋心を隠さず、率直にアプローチを始める。そんな新の行動が航生の心に焦りを生み出していく。