正反対な二人の共同生活
遼馬は、祖父の柿内勝臣が営む銭湯「柿の湯」を手伝いながら高校生活を送っていた。そんなある日、東京から少年、玲臣が訪ねてきて、遼馬の父親の龍臣が自分の父親だと告げる。龍臣がすでに亡くなっていることを知った玲臣は東京へ帰ろうとするが、遼馬は彼を放っておけず、「柿の湯」に迎え入れて共に暮らすことにする。マイペースで他人の目を気にせずに生きる遼馬と、社交的で気配り上手ながらも周囲の空気を読みすぎて自分を抑えがちな玲臣。本作は、そんな正反対の二人が互いを理解し、影響を与え合いながら、少しずつ家族になっていく姿を描いている。
複雑な家庭環境を抱えるクラスメイトたちとの交流
遼馬と玲臣は、いっしょに暮らし始めたことをきっかけに、同じ高校のクラスメイトとなる。二人は、さまざまな事情を抱えた仲間たちとかかわる中で、自身の悩みや葛藤と向き合っていく。本作には、母子家庭で恋多き母親とのすれ違いに悩む女子高生の秋野や、幼少期に病弱だったため両親の愛情を独り占めし、その影響で兄との関係がこじれてしまった男子高生、有門光基など、複雑な家庭環境を持つキャラクターが登場する。彼らは遼馬や玲臣との交流を通じて、自分の居場所を見つけ、過去を乗り越えていく。そして同時に、遼馬と玲臣も少しずつ人間的に成長していく。こうしたクラスメイトたちとの心温まる交流が、本作の大きな魅力となっている。
銭湯「柿の湯」が紡ぐ心の葛藤と癒しの物語
本作は、遼馬と玲臣のあいだに生じるすれ違いや衝突、さらにクラスメイトたちが抱える家族問題や将来への不安など、さまざまな葛藤が描かれている。そうした問題の解決に一役買っているのが、二人が暮らす銭湯「柿の湯」である。広々とした湯船に浸かって汗を流したり、浴場で共に作業をしたりすることで、それぞれが抱える心のモヤモヤを洗い流し、傷ついた心を癒す場所として機能している。
登場人物・キャラクター
柿内 遼馬 (かきうち りょうま)
高校1年生の男子。年齢は15歳。祖父の勝臣と二人暮らしをしており、祖父が経営する銭湯「柿の湯」の手伝いを生きがいとしている。ある日、亡き父、龍臣の隠し子を名乗る玲臣が突然訪ねてきて戸惑うが、居場所を失っている彼の苦境を察し、祖父と共に家族として迎え入れた。眼鏡をかけた地味な風貌で、自意識過剰な一面があり、陽キャを過度に避けているため、学校では一人で過ごすことが多い。しかし、それはあくまで気楽だからであり、決して人嫌いというわけではない。周囲に流されない強い心と、他者を思いやる温かさを兼ね備えている。玲臣やとなりの席の女生徒、秋野とのかかわりをきっかけに、徐々にクラスメイトとも打ち解けていくが、玲臣の「話題にされるのを避けたい」という意向を尊重し、彼と兄弟であることは周囲には秘密にしている。
柴崎 玲臣 (しばさき れお)
遼馬の父親、龍臣の隠し子を名乗る高校1年生の男子。年齢は15歳。母親が蒸発したため、父親に会うために柿内家が営む銭湯「柿の湯」を訪れた。しかし、龍臣はすでに他界しており、途方に暮れていたところを、遼馬とその祖父、勝臣の好意で「柿の湯」に迎え入れられる。端正な顔立ちで社交的な性格から、すぐに遼馬のクラスに溶け込むが、実際は他人の目を気にして空気を読み、自分の本心を抑え込んでいた。余計なトラブルを避けるため、遼馬と兄弟であることや同居していることも周囲には秘密にしている。そんな自分に嫌悪感を抱きつつも、遼馬や勝臣、同じクラスの女子、秋野らと過ごすうちに、少しずつ自分らしさを取り戻していく。
書誌情報
おかえり水平線 3巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2025-07-04発行、978-4088845852)
第2巻
(2025-11-04発行、978-4088847672)
第3巻
(2026-04-03発行、978-4088850320)







