こっち向いてよ向井くん

10年前「美和子をずっと守りたい」と言ったことがきっかけで、順調だと思っていた彼女と別れることになってしまった主人公、向井悟。あの時、何が間違っていたのか、わからないまま35歳になってしまう。10年恋愛をしてこなかった向井は、女性の好意を勘違いしたり、若い女子からのアプローチに振り回されたり。浮かれたり落ち込んだり、恥ずかしい思いをしながらも、恋愛に突き進もうと奮闘する。大人の男女のすれ違いをリアルに描いたラブコメディ。

社内でもかわいいと評判の派遣社員の中谷と、たまたま帰りが一緒になった向井は、義弟の武田元気に誘われ、二人で彼の店に行くことに。以来中谷は、会社でもなにかと向井を頼り、好意的な仕草を見せる。向井の義弟、元気の店で働く若くて色気のある女子店員のアンは、ドリンクをこぼし、服を濡らしてしまった。そんなアンに、さりげなくＴシャツのサンプルをあげる向井。それからアンは向井への積極的なアプローチを開始する。友人の紹介で知り合い、3年ほど前に向井と一夜を共にした原チカは、それから一度も彼と会っておらず、向井は顔もおぼろげにしか覚えていなかった。そんな彼女から突然会いたいと連絡が入る。みんな向井に一度は好意を寄せてくれるものの、「優しくていい人、だが何かが違う」と離れていく。また向井も相手を「本当に好き」なのか迷ってしまい、なかなか先へは進めないのだった。

元気の店で知り合った女性、坂井戸洸稀は、向井の恋愛や男はこうあるべきという思い込みに対して、自分の意見を隠さずにストレートに言い放つ。女心のわからない向井は洸稀を頼り、図星をつかれ、傷つく言葉を投げかけられても、彼女の意見に耳を傾ける。洸稀も自分の恋愛のことを向井に相談するようになり、二人は友達として関係を深めていく。女性との新たな出会いがあっても、その先の恋愛までなかなか発展しない向井。何かあるとすぐに元カノの美和子のことを思い出し、彼女を引きずっていることが原因だった。そんな中、プチ同窓会が行われ、元カノの美和子と再会する機会が訪れる。