しれっとすげぇこと言ってるギャル。―私立パラの丸高校の日常―

本作の世界観は現代日本とほぼ同様ながら、唯一の相違点として、すべての人が生まれつき一つの超能力を持つという点が挙げられる。その能力とは、「未来視」や「並行世界移動」などの強力で有用なものから、ただ光るだけといった何の役に立つのかわからないものまで多種多様。だが、人々はその現実をふつうに受け入れており、特に問題が発生するわけでもなく、平然と生活を送っている。

見里未来と平翔子は共におしゃべり好きで天然気味な一面があり、ボケともツッコミともつかないとりとめのない雑談を繰り返している。だが、それらの会話が最終的に「トロッコ問題」や「テセウスの船」といった難題に対して、ギャルらしい新たな切り口で含蓄のある解答を導き出していく。「そういう考え方もあるかも……?」と思わず納得してしまう、独特のカタルシスが楽しめる。

見里未来と平翔子は二人ともバリバリのギャルだが、何事も先入観なくありのままを受け止める素直な性格で、オタクや幽霊が相手であっても偏見なく接する。物語の主な舞台が高校ということもあり、さまざまな生徒や教師たちが登場し、彼らももちろん超能力を持っている。裏表のない未来や翔子たちと触れ合うことで、他者からの介入を拒む「盾(シールド)」の能力を持つ漫画家志望のオタク・小宅守が、前向きになって未来を変化させていったりと、笑えて心温まるさまざまな人間模様が楽しめる。