てんまんアラカルト

蒼司は8歳の時に偶然、克洋の経営するレストラン「BLUE」に迷い込み、彼の生み出す料理の数々に魅了され、弟子入りを志願する。蒼司はわずか半年ながら克洋の教えを受け、本格的に料理への道を志すようになる。それから10年の月日が流れ、蒼司は宇佐木農業学校の食材調理科に進学していた。そんなある日、克洋の娘の天満が父親からの手紙を携えてやってくる。手紙には、克洋がトラブルで蒼司や天満と会えなくなったこと、蒼司に「BLUE」のシェフと天満への料理の教示を任せる旨の記述があった。10年ぶりに尊敬する克洋の手がかりを得た蒼司は、師匠と仰ぐ彼との再会を願いつつ、BLUEの臨時シェフとして腕を振るう。

克洋は料理業界で伝説ともいえる天才料理人。一見すると無意味に見えるが、必ず成長のためのヒントとなる指導を蒼司に対して施し、蒼司のすぐれた技量と柔軟な発想力を生み出すきっかけとなった。また、娘の天満の絶対味覚にも気づいており、日々彼女に料理を振る舞うことで、料理人としての成長をうながしていた。よくも悪くも自由奔放の克洋は、才能のある者を厚遇する一方で、自分の評価しない相手に対しては冷淡な態度を見せる。そのため蒼司や家政婦の寧々など、克洋を尊敬してやまない人物も多いが、「料理界の面汚し」と侮蔑する者もいるなど、評価が両極端に分かれている。

食材調理科に通う蒼司は、卓越した料理の腕やコミュニケーション能力の高さから、宇佐木農業学校では沢山の友達に恵まれている。クラスの委員長を務める久石香織は、幼い頃から蒼司を知っているため、授業をサボってばかりいる彼を叱責することも多く、蒼司にとって頭が上がらない存在。食材調理科の優等生、海は、蒼司と香織だけにしか心を開かず、周囲とは言葉を交わすことさえ避けているが、二人に対しては笑顔を見せる。蒼司にとって海と香織はかけがえのない仲間であると同時にライバルでもあり、自分自身を高めてくれる必要不可欠な存在となっている。