なかじまなかじま

本作は、アスリートと映画監督という親子の三角関係を描いたラブコメディで、陸上オタクの内気な女子大学生・北白川麗奈を主人公にしている。華やかな名前とは裏腹に、冴えない日々を送る麗奈は、補欠入学したお嬢様短大でも浮いた存在だった。しかし、あこがれのアスリート・中島俊と、彼の実の父親であり、野性味あふれる型破りな映画監督の圭と出会ったことで、彼女の運命は大きく変わっていく。さらに、数少ない友人である社長令嬢・桜沢かすみとの友情や、お嬢様学校ならではのユニークなイベントが盛りだくさんのドタバタキャンパスライフも、見どころの一つとなっている。

煌びやかな名前とは裏腹に、麗奈は地味で非モテな女子大学生。176センチの高身長を気にして猫背になりがちで、流行とは無縁の服装を身につけており、名前に反して地味な外見と根暗な性格がコンプレックスで、自信のない日々を送っている。さらに、アルバイトでもミスが多く、うまくいっていない。そんな灰色の毎日の中で、麗奈の唯一の楽しみは才能ある陸上選手を眺める「陸上ウォッチ」。特に、爽やかなルックスとストイックな走りで多くのファンを魅了している長距離選手の俊は、彼女にとって特別な存在で、小学生の頃から密かに応援している。ある日、数少ない友人でありサクラ製菓の社長令嬢でもあるかすみに誘われ、映画撮影のエキストラとして参加することになる。そこで彼女は、強烈なオーラを放つ映画監督の圭と出会う。圭はなぜか麗奈に異常な興味を示し、「いいブスっぷり」と言いながらも「俺のミューズ」と熱烈に口説き始め、その後も彼女にしつこく付きまとうようになる。

ある日、麗奈が働くハンバーガーショップに、あこがれの陸上選手である俊が訪れる。緊張のあまりグラスで手を切ってしまった麗奈は、俊から優しくハンカチを差し出され、運命的な出会いを果たす。俊が実は圭の息子であること、そして麗奈が圭から熱烈なアプローチを受けていることをお互いに知らないまま、二人は徐々に親しくなっていく。一方、ひょんなことから舞台に立つことになった麗奈は、監督としての圭が放つ厳しい言葉の中に優しさを見いだし、苦手だったはずの彼に対する感情が変化していくことに気づく。そんな麗奈と圭の関係の変化を、俊は敏感に感じ取っていた。二人の関係が気になり、不安に駆られた俊は、部活にも集中できなくなり、ついには衝動的に家を飛び出してしまう。この行動が、微妙なバランスで保たれていた親子と麗奈の関係に大きな変化をもたらすことになる。