ぬいぐるみクラッシュ

不破わたるは、かわいいものが大好きな高校生。つい自分の世界に浸り、ぬいぐるみに話しかけて引かれたりする少年である。そんなわたるが見つけてしまったのが、クレーンゲーム機の中でシャワーを浴びる全裸の青年だった。モフ太郎と名乗る青年は、自分をぬいぐるみだと言い張るが、不審者にしか見えない。わたるは慌てて家に逃げ帰るが、モフ太郎はすでにベッドで待ち受けていた。こうして、わたると同居することになったモフ太郎は、女子力を身に着けようとしたり、ストーカー行為をしたり、あの手この手でわたるの気を引こうとする。本作は、全裸の人型ぬいぐるみモフ太郎のシュールな求愛活動と、嫌がりながらも次第にモフ太郎に親しみを感じるわたるの関係をコミカルに描く。また、第3巻の27話では、モフ太郎のわたるへの好意が偶然ではなく、きっかけがあったことが描かれている。 

モフ太郎の登場がきっかけで、可愛いクマのぬいぐるみ「むーむー」が、じつはモフ太郎の先輩で、喋れることが判明する。人間は知らないが、「ぬいぐるみ界」というものが存在し、二人は養成所の先輩後輩だったのだ。また、むーむーの元部下で、うさぎの耳をつけた人型ぬいぐるみ・グタ乃進や、養成所時代の鬼教官・ハニ和田、モフ太郎の兄でヒツジをモチーフにした人型ぬいぐるみ・メェ太夫などが登場。ぬいぐるみ界から、ユニークなぬいぐるみたちが続々とやってきて、物語をますます混乱させる。 

わたるのクラスメイト・糸瀬紡は、「男のくせにぬいぐるみが好きだなんて女々しい」と、わたるをいじめる天敵である。そんな糸瀬は、ある日ゲームセンターで、人型ぬいぐるみ・グタ乃進を蹴ってしまい、彼を買い取ることになった。元軍人のグタ乃進は、主人である糸瀬を良い人間にしようと厳しく指導する。そして、糸瀬がじつは可愛いもの好きであり、わたるをいじめるのも、本当は好きなものの話を一緒にしたいからだと看破した。その後、本心を知られた糸瀬は、照れながらわたるに謝罪。人型ぬいぐるみの主人同士で、交流を持つようになる。