ぱすてる

高校1年生の只野麦は、夏休み前に東京へ引っ越した加山ひな子と別れたばかり。傷心を癒やすために海の家でバイトしていたところ、美少女・月咲ゆうと出会い、一目惚れする。連絡先も知らないまま別れた二人だったが、その後二人はひとつ屋根の下で住むことになる。ゆうとその妹・月咲つかさは、亡父の親友だった麦の父・只野健を頼って、東京から尾道市に引っ越してきたのだ。健は仕事の関係でほとんど家におらず、思春期の少年少女たちの恋愛模様が展開されることになる。前作『ぱられる』は、喧嘩ばかりしている中学3年生の猫田信之介と星野桜が、両親の再婚で同居することになるという王道ラブコメ。広島県尾道市という舞台と、子どもたちだけの同居生活という設定を継承した本作は、『ぱられる』のリメイク作品であり、2002年から2017年までの長期連載作品として作者の代表作になった。

麦はゆうに一目惚れして以来、一途に彼女を想い続けている。しかし、同居するようになり、なかなか自分の想いを伝えられなくなっていた。もし告白すれば、気まずくなって一緒に住めなくなってしまい、彼女の居場所を取り上げてしまうことになるからだった。そんな心優しい麦は、ゆうとつかさを親戚の子だと称して暮らしているが、同居生活ならではのうれし恥ずかしいハプニングに悩まされる。「ゆうが風呂に入っているところを覗いてしまう」「雷に弱いゆうに裸同然の姿で抱きつかれる」「湯当たりしたゆうに下着を着せる」といった、心かき乱されるエロチックなシチュエーションに遭遇しながらも、なんとか自分の気持ちを抑える麦の姿が描かれる。

親友・三宮一機に無理やり連れられ、プールでナンパしていた麦は、幼なじみの崎谷まなみと遭遇する。彼女は、麦の元カノ・ひな子の親友でもあった。髪型を変えてハッとするほどかわいくなったまなみは、実は小5の時から麦に恋をしていた。自分が紹介したひな子と麦がカップルになってしまったために身を引いていたが、ひな子がいなくなったことで、麦に迫る。またその後、ひょんなことから東京に向かった麦は、元カノ・ひな子とも再会。転校を理由に二人の関係は終わっていたが、まだ彼女にドキドキしてしまう麦。そしてひな子もまた、麦のことが忘れられないでいた。複数の女性の登場で、麦とゆうを中心にした関係はますます複雑になっていく。