8分間の総合芸術に込めた青春
本作は「8分間の総合芸術」と称されるマーチングバンドをテーマに、千秋高校マーチングバンド部の部員たちが、それぞれの演目や楽器の練習に全力で取り組む姿を、美しく力強い筆致で描いている。彼らの日々の努力が、やがて大会で実を結ぶまでの過程も丁寧に綴られている。なお、作者の山田はまちは、マーチングバンドをテーマに選んだ理由について、あとがきで「高校生の時にマーチングと出会い、一人では絶対に見られない素晴らしい景色を見ることができた」「楽しさや華やかなショーの裏に隠された汗と涙を描き、たくさんの方にマーチングを知ってもらいたい」と語っている。
美月のマーチングバンドとの出会い
勉強漬けの日々に嫌気がさしていた高校1年生の美月は、春休みに思い切って家出を決意する。母親の妹のユキを頼りに、東京から秋田へ向かうと、事情を聞いたユキは、自身が経営するカフェ「風車」での滞在を快く許可する。春休みのあいだ、ユキのカフェを手伝いうことになった美月は、そこでアルバイトをしている星野アキラと出会う。ある日、美月はユキの配達を手伝うために千秋高校を訪れ、そこで響く音色に惹(ひ)かれて体育館へ足を運ぶ。そこではアキラが所属するマーチングバンド部の練習が行われており、その光景に強く心を奪われる。これをきっかけにマーチングバンドに挑戦したいと考えた美月は、ユキの計らいで千秋高校へ転校し、本格的に音楽の道を歩み始める。
千秋高校マーチングバンド部の成長物語
千秋高校マーチングバンド部には、美月やアキラをはじめ、長身で引っ込み思案なカラーガード志望の暁ヒカリ、かつてサックスの賞を受賞した名手、湊カナデなど、個性豊かな部員たちが集まり、日々練習に励んでいる。彼らはつねに最高のパフォーマンスを発揮するため、部内で意見の対立が起こることも少なくない。しかし、その衝突は全員が真剣にマーチングに向き合い、より高いレベルを目指す情熱の表れでもあった。そんな彼らの熱意に触れた美月は、さらに練習に打ち込み、やがて経験者にも引けを取らない技術を身につけていく。
登場人物・キャラクター
姫川 美月 (ひめかわ みづき)
もともとは東京の進学校に通っていた女子高生。2年生の時に千秋高校へ転校し、マーチングバンド部に入部した。両親との関係は良好とは言えず、特に母親からは勉強に専念するよう半ば強制されていたため、強い苦手意識を抱いている。秋田に住む叔母のユキを慕っており、千秋高校への入学やマーチングバンド部での活動も、彼女の大きな支えがあってこそだった。幼い頃から勉強に励んできたため学業は優秀だが、運動は苦手で自転車にも満足に乗れないほど。楽器の経験はなく、引っ込み思案な性格もあって、担当するトランペットはなかなか上達しなかった。しかし、生まれて初めて芽生えた「自発的に何かをやりたい」という熱意に突き動かされ、必死に練習を重ねた結果、やがて先輩たちからも一目置かれるほどの技術を身につけていく。
星野 アキラ (ほしの あきら)
千秋高校マーチングバンド部に所属する2年生の男子。ユキが経営するカフェ「風車」でアルバイトをしており、美月とは千秋高校に転校する前からの顔なじみである。ハングリー精神が旺盛で、やる気のない部員や技術が未熟な部員には厳しい言葉をかけることが多い。しかし、あきらめずに挑戦し続ける部員には、不器用ながらも好意的な態度で接する一面もある。美月と同じくトランペットを担当し、2年生ながら卓越した技術を誇り、先輩たちからも厚い信頼を寄せられている。
書誌情報
みかづきマーチ 全6巻 双葉社〈アクションコミックス〉
第1巻
(2020-07-28発行、978-4575854688)
第2巻
(2020-10-28発行、978-4575855036)
第3巻
(2021-01-28発行、978-4575855432)
第4巻
(2021-04-27発行、978-4575855708)
第5巻
(2021-09-28発行、978-4575856460)
第6巻
(2022-01-27発行、978-4575856880)







