性行為が全面的に禁止された異色サスペンス
本作の舞台は、法律により性行為が全面的に禁止された令和XX年の日本。厚生労働省の管轄下にある捜査機関「性行為取締部」(通称・セトリ)は、潜入捜査をはじめとする強力な権限を持ち、性行為が発覚した場合は即座に逮捕され、重罪に処される。しかし、それでもなお性行為を行う者はあとを絶たず、独特のディストピア社会を背景に、性的行為が身の破滅に直結する危険なものとして描かれている。エロティックな状況がそのままスリリングな展開へとつながる、異色のサスペンス作品となっている。
性欲と罪悪感に揺れる男子高校生、光
男子高校生の光は、性行為取締官の幹部である父親を持ち、性行為は百害あって一利なしと考える優等生。しかし、悪友に連れられて訪れた謎の地下クラブで、法律を無視して性行為に耽(ふけ)る多くの男女の姿を目の当たりにする。さらに、その中には彼があこがれる国民的アイドル女優、愛称「ウチュラ」こと美空の姿もあった。悪友の助けでなんとかその場を逃れた光だったが、初めて経験する性衝動を抑えきれず、夢精してしまう。その後、光の通う高校に転校してきたウチュラに誘惑され、抑えきれない性的欲望と罪悪感の狭間で激しく葛藤することになる。
性欲に翻弄される登場人物たちの極端なリアクション
本作では、性欲に翻弄される登場人物たちの姿や行動が誇張されて描かれており、シリアスでサスペンスフルな物語の中にも、どこか滑稽で思わず笑ってしまう場面が数多く散りばめられている。特に主人公の光は、ふだんはキリッとした優等生だが、射精した際には両目を見開いて茫然(ぼうぜん)自失となったり、セックスへの欲求から犬のように唸り声を上げて激しく腰を振ったり、セックスをしてしまったとカンちがいして逮捕の恐怖に涙目で顔を歪(ゆが)ませたりと、そのリアクションや表情の変化が非常に極端。こうした光のみごとな壊れっぷりも、本作の大きな見どころの一つとなっている。
登場人物・キャラクター
犬田 光 (いぬた ひかる)
令和星仰学園に通う高校2年生の男子。黒髪の短髪を横分けにし、黒縁眼鏡をかけている。学年トップの成績を誇る優等生で、性行為取締官の幹部である父親を心から尊敬している。自身も東大に進学して立派な性行為取締官になることを目指しているため、性行為を悪とみなし、セックスにかかわる人々を露骨に見下している。しかし、女性にまったく興味がないわけではなく、「ウチュラ」こと人気女優の美空の大ファンだが、異性とはテレビ越しの距離感がちょうどよいと考えていた。ところが、悪友に連れられて訪れた地下クラブで、男女がセックスに興じている姿を目撃し、さらにその中にあこがれのウチュラがいたことから、光は次第に深い性欲の沼へとハマっていく。
宇宙 美空 (うちゅう みそら)
「ウチュラ」の愛称で親しまれる若手人気女優。高校2年生にして、次の月9ドラマのヒロインに抜擢(ばってき)されるほど国民的な支持を集めている。透き通るような美貌の持ち主で、清純派のイメージで知られているが、実は地下クラブで開かれる乱交パーティーに出入りしていた。そこで悪友に連れられてきた光と出会い、彼が落とした学生証を手に入れ、光の通う令和星仰学園に転校する。そして光を誘惑し、彼の運命を大きく狂わせていく。
書誌情報
アカイリンゴ 8巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2020-09-09発行、978-4065195581)
第2巻
(2021-02-10発行、978-4065222904)
第3巻
(2021-08-11発行、978-4065243466)
第4巻
(2022-01-20発行、978-4065264836)
第5巻
(2022-09-20発行、978-4065291238)
第6巻
(2023-05-18発行、978-4065317754)
第7巻
(2023-11-20発行、978-4065336540)
第8巻
(2024-07-19発行、978-4065352663)








