禁忌とされる殺人能力
尾城は、日雇い労働で生計を立てる社会的弱者であり、特に目立った取り柄はなかった。しかし、初めての実戦で拳銃を携えた藤藍組のヤクザ八人を瞬く間に倒したことをきっかけに、尾城の中に眠っていた「殺人」の才能が覚醒する。その才能は常軌を逸しており、覚醒からわずか2週間で約40人を殺害するに至った。特にナイフの扱いはプロも認めるレベルで、左右自在にあやつることができる。また、愛用のリュックには爆弾や発煙弾、自作銃(ジップガン)など多種多様な武器を隠し持ち、爆発で撹乱して標的を仕留める戦術を得意としている。尾城は自身の力を「虚を突く能力」と称し、のちに「意識の外側からの攻撃」こそが殺人の極意であると定義した。不意打ちを得意とする一方で、正面からの徒手格闘は苦手としている。
尾城の運命を変えた山本家との出会い
尾城が住む団地のとなりの部屋には、シングルマザーの山本マリサを大黒柱とする山本家が暮らしている。当初、騒がしい隣人を疎ましく感じていた尾城だったが、三女の四葉と交流を重ねるうちに次第に情が芽生え、彼女が誘拐された際には命をかけて奪還に挑んだ。その後、恐怖に震える四葉を守るため、山本家を守ろうという思いが強まり、これまで執念を燃やしていた与党政治家の暗殺計画を完全に放棄。弱者を食い物にする暴力団こそ排除すべき「日本の癌」であると考えを改め、巨悪との戦いに身を投じる道を選んだ。なお、山本家は複雑な事情を抱えており、八人の子供たちの父親は一人ではない。長男・長女・次女の三人はすでに独立して家を離れている。
国内最大規模の暴力団との激闘
尾城が立ち向かう黒布(こくぶ)会は、全国にその名を轟かせる国内最大規模の暴力団である。その勢力は警察権力さえ及ばず、たった一人の標的を始末するために自動小銃で武装した小隊を派遣するなど、過激な手段も厭わない。マリサの友人は、家族ごと「消(と)ばされた」と言われている。情報戦にも長(た)けており、ネット上に不利な情報が流れた場合は、専属のハッカーが迅速に削除する体制が整っている。メディアにも関係者を抱え、マスコミさえも掌握している。黒布会の組織は、忍田(しのだ)組、朱城(あけぎ)組、押金組を筆頭に構成されている。尾城が壊滅させた藤藍組は忍田組の傘下組織で、借金のカタに子供を売り飛ばす人身売買をシノギとしていた。のちに尾城が抗争を繰り広げる緋雨(ひさめ)組は、朱城組の傘下組織で、訳ありの子供たちに訓練を施し、兵隊として上納していた。
登場人物・キャラクター
尾城 慎太郎 (おじろ しんたろう)
古い団地に住む無職の独身男性。年齢は39歳で、ふだんはパーカーとジーンズを身にまとい、外出時にはニット帽をかぶることが多い。幼少期に虐待を受けた経験があり、酒と煙草だけを慰めに虚無感に苛(さいな)まれる日々を送っていた。ある日、与党の政治家を暗殺して日本を救おうという歪んだ正義感に目覚め、暗殺計画の準備と鍛錬に没頭するようになる。武器の製作も進めていたが、隣人、マリサの三女、四葉に部屋を見られてしまい、口止めを余儀なくされる。当初は菓子を与えて黙らせていたが、山本家の困窮を知り、子供五人分の食事を差し入れるという奇妙な交流が始まった。そしてXデーを迎えるが、四葉が借金のカタに連れ去られたことを知り、計画を中止。藤藍組を襲撃して四葉を奪還する。その後、右目尻に傷を負いながらも刺客の皿間兄弟を倒し、山本家を安全な北海道へ避難させた。紆余曲折を経て、緋雨(ひさめ)組の三代目組長の次男、緋雨玄平と協力関係を築き、彼の隠れ家に身を寄せながら、巨大組織「黒布(こくぶ)会」への反撃の機を窺(うかが)っている。
クレジット
- 原作
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浅村 壮平
書誌情報
アマチュアビジランテ 7巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2024-10-04発行、978-4065369883)
第2巻
(2025-01-06発行、978-4065382769)
第3巻
(2025-04-04発行、978-4065392300)
第4巻
(2025-07-04発行、978-4065401736)
第5巻
(2025-09-05発行、978-4065408506)
第6巻
(2025-12-05発行、978-4065417652)
第7巻
(2026-03-06発行、978-4065428801)








