イジワルしないで!

高校1年生のまりは、ある日、職員室の前で転倒し、パンツが丸見えの状態になってしまう。周囲の男子生徒に冷やかされる中、まりを助けてくれたのは、まさに彼女の理想通りのイケメンだった。その日の夜、まりたち家族は、同居人を迎える準備をしていた。都合により、父の上司のお嬢さんを3か月だけ預かることになっていたのだ。ところが、やってきたのは、学校でまりを助けてくれたイケメンの彼だった。千秋という名前のため、家族全員が女の子だと思いこんでいたのだ。理想の彼と同居することになったまりは、ときめきを隠せなかったが、千秋は外面が良いだけで、本性はとてもイジワルだった。千秋のイジワルな言動と優しい態度に翻弄されながらも、次第に惹（ひ）かれていくまりの恋心を描いていく。

千秋は、背が高くハンサムで成績優秀、まりが普段思い描いている理想が服を着て歩いているような男子高校生である。ただし、二重人格と思えるほど、家と外では態度が変わる。またクールかつ大胆な性格で、越してきたその日に、まりに濃厚なキスをした。一方、まりはすぐに感情が顔に出るタイプで人に騙（だま）されやすく要領も悪い。しかし、元気が取り柄で根性だけは人一倍の女子高生である。また、ファーストキスの相手と結婚することを夢見るような古風な一面もある。「好きなコほどいじめたくなる」という千秋と、素直で噓がつけないまりという対照的な二人の同居生活が本作の見どころである。

紆余（うよ）曲折を経て、仲良くなったまりと千秋。そんなある日、スイスの学校でクラスメイトだったという、美少女の美緒が、千秋を追いかけて転校してきた。ただの幼馴染（おさななじみ）だと千秋は言うが、美緒は本気で千秋を想っていた。美緒はまりを呼び出し、「あなたなんか眼中にない」「遠慮も手加減もしない」と、堂々と宣戦布告する。「絶対に千秋は渡さない」と意気込むまりだったが、勉強や運動はもちろん、お弁当作りなどあらゆる面で美緒に惨敗。さらに、家族構成のことなど、千秋のことを何も知らないことに気づいたまりは、自信をなくしてしまうのだった。