オタクに優しいギャルはいない!?

引っ込み思案で存在感の薄いオタクの瀬尾卓也は、マンガの世界のような「オタクに優しいギャル」の存在を否定していた。一見すると大人っぽくクールなギャルの天音慶は、実は卓也と同じオタク女子で、周囲には自らのオタク趣味を必死に隠していた。一方の卓也は、見た目が華やかな慶とは住む世界が違うと勝手に判断し距離を置いていた。しかし、慶はいっさいの偏見を持っておらず、卓也に自らオタクであることを告白してなかよくなる。そんな出来事もあって、卓也はクラス内の序列は関係なく、自分が心を開けば周囲と打ち解けることができることを身をもって経験し、成長していく。

天音慶はクールな見た目と美貌ながら、その圧倒的な存在感で周囲から距離を置かれている。大人っぽく何に対しても冷めた印象を抱いているものの、実は子供っぽい一面があり、大ファンである女児向けアニメ「キラリンモンペット」のイベントには、変装して参加している。また恋愛に対して非常に奥手で、瀬尾卓也と二人で外出する時は母親にアドバイスを求めている。外見は大人っぽく、内面は子供っぽいというイメージのギャップが、慶の最大の魅力となっている。

周囲から羨望の眼差しを向けられているが、近寄りがたいオーラを放っている天音慶にとって、唯一の親友が伊地知琴子。琴子は派手なメイクとヘアスタイル、露出度の高いファッションをまとった王道ギャルである。オタクの慶にもいっさいの偏見を持っておらず、瀬尾卓也と慶が親しくなったことで卓也と距離が縮まり、これまで自分の周りにいなかったタイプだと無邪気に喜んでいる。明るく開放的な性格で、卓也が観たい映画を遠慮して言い出せなかった時は、「本当に好きなものを教えて」と伝え、まったく興味のないB級ホラー映画をいっしょに楽しんでいた。人付き合いが苦手な卓也と慶にとって、陽気な琴子は二人の絆（きずな）を深める重要な人物といえる。