カモナ マイハウス!

以前、陽向は古い平屋に家族みんなで平穏な日々を過ごしていた。しかし、父親の急死や祖母の引っ越しもあり、現在陽向は母親とマンションで二人暮らししている。当たり前だと思っていた家族との生活が消失した現実が受け入れられず、陽向は管理と称して今は空き家になっている家に毎日のように通っていた。敷地の庭にかまどを作り、一人でBBQを楽しみながら懐かしさに浸っていた。そんなある日、新たな入居者の樹と出会う。誘拐犯だと思われたくない樹は、「もう来るな」と陽向を突き放すが、この家が彼女の家族との思い出の場所だと知り、ウッドデッキまでなら入っていいと伝える。最初は樹に父親の面影を重ねていた陽向だったが、次第に彼に恋心を抱いていることに気づく。本作では二人の恋愛模様を軸に、それぞれの家族への思いが綴られる。

陽向は忙しい母親と二人暮らしで、母親が忙しいこともあり、以前楽しく過ごしていた家族への思いを断ち切れないでいた。ふだんの生活は気丈に振る舞っていたが、本心では寂しさを隠しており、家族の思い出が詰まった家が唯一の心の拠り所となっていた。一方の樹は有名なゲームクリエイターで、偶然空き家に引っ越してきた人物。最初は女子高校生とかかわって犯罪者になりたくないとの思いから陽向を突き放すものの、次第に彼女の孤独に触れ、少しずつ心を開いていく。二人のあいだにある年の差が障害になっているが、樹はかつて親代わりに面倒を見てくれていた姉を事故で失っていた。大切なものを再び失いたくない思いから、樹は陽向を遠ざけようとする。