サチ録～サチの黙示録～

本作は現代日本を舞台にしているが、人間のほかに神や天使、悪魔が存在する世界観となっている。天使と悪魔の話し合いで、人類を滅ぼすかどうかの判断を、一人の人間を観察することで決める「人間神判」。その観察対象となる人間に、全人類の代表として選ばれたのは日本の幼い少女・上野サチだった。天使代表のランと悪魔代表のボロスは神様に命じられ、サチと同居しながら人間神判を進めることになる。こうして人間と悪魔と天使の奇妙な同居生活が、ファンタジーを交えたショートギャグ形式で展開される。

人類代表として選ばれたサチは、スペクタクルを求めて近所でピンポンダッシュを繰り返すような、稀代の悪ガキ小学生。両親を幼い頃に亡くし、施設で暮らしていたサチは、彼女を審査する天使のランと悪魔のボロスに預けられ、より人間神判をスムーズに行うために三人で生活を始める。そしてサチは小学校へ入学し、彼女を審査する立場にあるランとボロスもサチのクラスに無理やり入学することになる。人間神判は採点形式で進められ、サチが善行を積むと加点され、悪行に走ると減点される仕組みになっている。しかし人間滅亡を望むボロスは、事あるごとにサチに難癖をつけて減点しようともくろんでいる。

当初は人類代表のサチ、天使代表のラン、悪魔代表のボロスの掛け合いを中心に物語が展開される。その後、施設の先生や学校の同級生、さまざまな悪魔や天使など個性的なキャラクターが次々と登場し、サチのヘンテコな日常生活は、ますますにぎやかになっていく。人類を滅ぼすべきか否かを決める、「人間神判」の人類代表となったサチの破天荒な行動が見どころとなっている。ふだんはマイペース過ぎるために問題児扱いされがちなサチの意外な行動に心が温かくなり、日常生活でのテンポのいい会話劇とキレのいいギャグが楽しめる。