就職活動がデスゲームの舞台となる
繁栄を築いていた日本は、ある日「スコーチド」と呼ばれる大恐慌により、慢性的な不況に襲われる。そんな大恐慌の中、国の経済をたった四つの巨大財閥が支配するようになり、世間は超就職氷河期を迎えていた。悪魔と契約を交わした就活者は、それぞれに一つだけ特殊な能力を授かり、その能力を使って就職活動の内定を勝ち取っていく。しかし、就職活動で内定が取れない者は必ず死が訪れるという、壮絶なサバイバルデスゲームが展開される。
物語は御曹司(おんぞうし)の没落から始まる
本作の主人公であるカズヤは、四大財閥の一つである蓼丸財閥の次期CEOとして順風満帆な人生を送っていた。しかし突然、父親が派閥争いに巻き込まれて更迭されたことで資産は凍結され、カズヤの生活は一変する。大学卒業後は蓼丸財閥で遺憾なく力を発揮する予定だったカズヤは、就職活動に一から挑むことになる。そんなカズヤの前に現れたのが、悪魔のアガリだった。就活に有利になる能力を授けると持ちかけるアガリを最初は拒否していたカズヤだったが、友人たちの裏切りに遭い、彼女と契約を交わし就職活動に身を投じていく。
就職活動はさらに厳しさを増していく
カズヤたちが就職活動を行うにあたって、重要なポイントとなるのが序列試験制度。日本に存在する9割の企業が四大財閥いずれかの傘下にあり、財閥制度成立に伴って自然発生したとされている。各企業には財閥内での序列が存在し、就職活動は序列下位の企業から行われる決まりがある。ここで内定を得られなければ上位の企業を受けることすらできないが、言い換えれば下位企業の試験は上位企業の一次面接のようなもので、下位企業にふさわしくない人財だとしても、上位企業で活躍できる人間だと判断されれば内定を獲得することができる。カズヤはこれまで採用側の人間だったことを逆手に取り、アガリから授かった能力「消去(デリート)」と頭の回転の速さ、優れた洞察力を発揮して就職活動を勝ち抜いていく。
登場人物・キャラクター
蓼丸 カズヤ (たでまる かずや)
蓼丸財閥の御曹司で、次期CEOと噂されていた男子大学生。養父の豪が派閥争いによって更迭されて失踪し、資産も凍結されたため、一から就職活動を始めることになる。豪と同じ「AB型Rh-null」という珍しい血液型のため、非常時の血液パック代わりとして養子に迎え入れられた。傲慢な性格で、他人に利用されることをなにより嫌っている。一方、カズヤ自身に貢献した人物には相応の報酬があるべきだと考えており、成果を出した者には評価を惜しまない。再び支配者としてすべての財閥を傘下に収めるという野望を持ち、悪魔のアガリと契約を交わした。アガリから授かった能力は、直前の発言がなかったことにできる「消去(デリート)」だと知った際には、あまりにも限定的すぎる能力に啞然とするものの、この能力を駆使して就職活動を勝ち抜いていく。
アガリ
蓼丸カズヤのパートナーを務める女悪魔。本来の姿は左目の白目部分が黒く、露出度の高い水着のような衣装を身につけているが、長い金髪をサイドテールにまとめた女子大学生の姿に化けることもできる。カズヤと契約を交わし、直前の発言がなかったことにできる「消去(デリート)」の能力を授けた。ほかの悪魔たちと人間の就職活動を介したサバイバルデスゲームに参加しているが、それを楽しんでいる様子は見られない。カズヤが木村厳龍斎を救うため「消去」の能力を乱発したペナルティとして、一時的に能力の使用回数を4回に制限にするなど、カズヤに手厳しい一面を見せる。なんらかの目的を持ってカズヤに近づいているのは間違いないが、悪魔たちの真の目的は不明。
クレジット
- 原作
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MITA