猟奇殺人鬼に復讐するダークサスペンス
本作は、復讐と猟奇殺人をテーマにしたダークサスペンスで、過去の殺傷事件のトラウマを抱えたまま高校生となった想が主人公を務める。母親を殺害した犯人への復讐心を胸に秘めつつ、猟奇殺人の謎を追う中で、不気味な手紙を受け取ったことをきっかけに想の運命は大きく動き出す。ミステリーとホラーの要素が巧みに織り交ぜられた物語は、残酷で緊迫感あふれる展開を見せる。作中には、実在の猟奇殺人鬼をモデルにしたシリアルキラーも登場し、想が暮らす街は複数のシリアルキラーの出現によって平穏が脅かされている。多様な思想や価値観が激しくぶつかり合い、単純な善悪では割り切れない複雑な人間模様と命を懸けた死闘が繰り広げられる。また、想が母親を殺害した坂東を追う過程で遭遇する謎の組織の存在や、赤木や真冬をはじめとする友人たちとの切ない関係の変化、そして復讐に生きる中で想の心に芽生えるさまざまな苦悩や葛藤も、本作の大きな見どころとなっている。
幼少期の母子殺傷事件のトラウマと謎の黒い手紙
家族と共に団地で暮らしていた想は、幼い頃に母子殺傷事件の被害に遭った。想はかろうじて命は助かったものの、母親の首が見つからないまま10年の歳月が過ぎていた。深いトラウマを抱えた想は、自身の恐怖と向き合うため、過去の猟奇殺人事件を題材にした小説を書きながら静かな日々を送っていた。そんなある日、想のもとに不気味な黒い手紙が届く。開封した瞬間に言いようのない不快感に襲われた彼は、後日、北斗という謎の人物と出会う。しかし、北斗が手紙にかかわっていることに気づいた直後、想は突然意識を失ってしまう。目を覚ますと、目の前には血まみれで倒れた北斗の姿があった。この事件を境に想の日常は崩壊し、彼自身がこれまで何よりも憎んできた殺戮(さつりく)に手を染めるという皮肉な運命に翻弄されていく。
狂気を宿した想の復讐劇
黒い手紙の力によって謎のシリアルキラーの人格が宿った想は、街中でかつて母親の命を奪った殺人鬼の坂東と偶然再会する。復讐を果たすため坂東の家に侵入するも、一度は返り討ちに遭いかけるが、再び邪悪な人格が目覚め反撃を開始する。逃走した坂東を追い彷徨(さまよ)う中で、想は「コキュートス」という組織に属する謎めいた男性、駆地と出会う。この出会いをきっかけに、友人たちとの平穏な日常よりも復讐を選んだ想は、コキュートスに監視されながら、黒い手紙を配達する人物の追跡任務に就くことになる。
登場人物・キャラクター
襟峰 想 (えりみね そう)
10年前に起きた母子殺傷事件の被害者である男子高校生。自身は命を取り留めたものの、母親は惨殺され、その首は未だに発見されていない。深いトラウマを抱えながらも、表向きはごくふつうの高校生として生活し、友人思いの一面も持っている。クラスメイトの赤木や中学時代の同級生である真冬とは親しい関係にある。過去の恐怖に立ち向かうため、猟奇殺人鬼について独自に調査し、それを題材にした小説を密かに執筆している。ふだんは冷静に振る舞っているが、心の奥底には強い復讐心を秘めている。ある日、謎めいた黒い手紙を受け取ったことをきっかけに、最強最悪のシリアルキラー「ジャック・ザ・リッパー」が想の中に宿り、友人たちと離れて復讐の道を歩むことを決意する。
坂東 (ばんどう)
凶悪な連続殺人犯の男性。10年前に幼い想とその母親を襲った母子殺傷事件の犯人であり、想の最大の宿敵でもある。黒い手紙を受け取ったあとに偶然想と遭遇し、激しい戦いの末に逃走した。殺害した相手の首を切り落とし、コレクションとして部屋に飾るなど、常軌を逸した狂気と冷酷さを持ち、巧妙に犯行を遂行する狡猾(こうかつ)さも兼ね備えている。その後も何かと想の前に姿を現しては、彼の深いトラウマや復讐心を弄ぶ。
書誌情報
シリアルキラーランド 9巻 秋田書店〈ヤングチャンピオン・コミックス〉
第1巻
(2022-08-19発行、978-4253308311)
第2巻
(2022-08-19発行、978-4253308328)
第3巻
(2023-03-20発行、978-4253308335)
第4巻
(2023-09-20発行、978-4253308342)
第5巻
(2024-03-18発行、978-4253308359)
第6巻
(2024-10-18発行、978-4253308366)
第7巻
(2025-05-20発行、978-4253308373)
第8巻
(2025-11-20発行、978-4253008686)
第9巻
(2026-06-19発行、978-4253017640)








