セルフ

本作は、生理現象やオナニーを独自の視点で描いたラブコメディ。主人公の国木田陽一は、これまで彼女には恵まれてきたものの、オナニーの経験がない青年。あるきっかけでオナニーに強い興味を抱くことになり、周囲の人間関係や日常生活が目まぐるしく変化していく。陽一はオナニーの起源や方法を探求し、さまざまなやり方でオナニーに挑戦することになる。それに伴い、男性特有の生理現象や性欲に関する豆知識や詳細な解説が随所に盛り込まれている。さらに、時にはオナニーの瞬間を家族や他人に見られてしまうというハプニングが発生するなど、シュールな下ネタギャグも楽しめる。

図書館に勤務する陽一は、マイペースにセックスを求めてくる恋人がおり、職場では親睦を深めることが好きな同僚たちが定期的に飲み会を開いていた。そんな日常の人間関係に漠然とした居心地の悪さを感じながらも、陽一は現状から抜け出す勇気を持てずにいた。ある日、勤務先の図書館でオナニーに関する学術書が、幅広い年齢層の男性に読まれていることを知る。そして陽一は、自分が子供の頃から一度もオナニーをした経験がないことに気づく。女性との縁が不思議とあった陽一は、12歳の時に近所の年上の女性に誘われるまま童貞を失った。それ以来、性的欲求はつねに身近な女性との性行為で満たされていたため、オナニーをする必要がなかった。しかし、これまでの性行為では相手への気遣いに疲れを感じていたことや、学術書の話題で盛り上がる同僚たちの輪に入れなかったことから、陽一はオナニーへの関心を強め、自ら調べ始めることにした。

自らの性の探求を続ける陽一は、ついに野外でのオナニーに挑戦するが、その現場を謎の少女、夏目宇多に目撃されてしまう。宇多に案内された怪しげな洋館で、「オナニーの専門家」を名乗る武者小路修三と出会った陽一は、勢いで弟子入りを決意する。しかし、修三との厳しい修行は、恋人の有加との関係にも影響を及ぼし始め、カーナビの履歴から浮気疑惑をかけられるようになる。陽一のオナニー探求を通じて訪れる奇妙な出会いや、修三との修行によって変化していく性生活が、本作の見どころとなっている。また、健気に陽一を思い続ける有加、冷静で勘の鋭い泉薫、そして陽一との出会いを経て変わっていく宇多をはじめとする個性的なヒロインたち。彼女たちの陽一に対する心情の変化も見逃せない。