超絶ネガティブ男の過激な行政指導
朝倉は警察庁に所属するエリートでありながら、つねに「死にたい」と口にするほどのネガティブな性格の持ち主。彼は仕事に対しても投げやりな態度を崩さず、誰に対してもその姿勢を隠そうとしない。しかし行政指導の際には、マシンガンを乱射したり、相手を丸裸にして縛り上げるなど、裏社会の人間すら震えあがるほどの苛烈な手段を用いる。法律の隙間を突いて悪事を働く者たちに対し、法律に縛られない方法で制裁を加える朝倉の活躍が、痛快かつユーモラスなタッチで描かれる。
個性的な特殊防犯課のメンバーたち
警察庁生活安全局特殊防犯課のメンバーは、朝倉に負けず劣らずの個性的で問題を抱えた人物がそろっている。朝倉とコンビを組むことになった辻は、朝倉や周囲にも流されやすい傾向があり、考えなしに行動して状況を悪化させるなど、トラブルメイカー的な存在。朝倉の直属の上司にあたる叶美由紀は、彼を上回るサディストで、ふだんから朝倉に対して罵声を浴びせて厳しい態度を取りつつも、内心では朝倉に好意を抱いている複雑な性格の持ち主で、彼からも苦手意識を抱かれている。彼らは多くの問題を抱えながらも、確固とした信念を持っており、その信念は朝倉にとって心の支えとなっている。
朝倉を悩ませる害虫たち
朝倉が過度にネガティブ思考になったのは、市井の弱者を利用して暴利を貪る犯罪者の存在に起因している。具体的には、金融業者「マルトクローン」がヤクザと結託し、債務者に対して執拗な恐喝を行い、ついには自殺にまで追い込んでいる。また、食品製造業の「もみあげ本舗」は、製造日を偽造し、食中毒を引き起こす危険な行為を続けているが、まったく反省の色を見せていない。朝倉は、こうした非道な行為を行う者たちを「害虫」と呼び、忌み嫌っている。「あー、死にたい」と世に害を成す輩(やから)の多さに嘆きながらも、今日も朝倉は悪人と戦い続けている。
登場人物・キャラクター
朝倉 草平 (あさくら そうへい)
警察庁生活安全局特殊防犯課に所属する男性。階級は警視。ボサボサの髪で、眼鏡をかけている。超が付くほどのネガティブ思考で、ことあるごとに「死にたい」と口にしている。動物アレルギー体質で、特に黒猫に対しては過敏に反応し、くしゃみが止まらなくなる。また、飛行機に強い苦手意識を抱いている。身体能力は非常に高く、一人でヤクザの集団を制圧したこともある。法の目をかいくぐる犯罪者に対しては、いっさいの情け容赦なく追い詰める正義感を持ち、ほかの警察官よりも強い意志を有している。他者からの好意を面倒に感じている一方で、仕事仲間である辻や叶に対しては情を見せることもある。好物はオムライス。
辻 恵一 (つじ けいいち)
豊島警察署捜査一係に所属する青年。階級は巡査ながら警視の朝倉と近しい関係を築いている。ふだんは朝倉にこき使われることが多いが、緊急時には息の合った連携を見せる。生活安全局特殊防犯課の関係者の中では常識人として知られ、朝倉の突飛な行動に対して心の中でツッコミを入れることが日常化している。一方で、朝倉ほどではないが仕事に対する意欲が薄く、上司に対してもやる気を見せることはないいが、立てこもり事件の際には自ら人質役を買って出るなど、熱い正義感を持っている。また、犯罪者の悪行に対して強い憎悪を抱いており、朝倉が彼らに仕置きをすることを自業自得と考えている。当初は朝倉から「名前が覚えやすい」という理由で助手に指名されたが、なぜか朝倉に気に入られ、なし崩し的に彼の相棒となった。