史実を基にしたコミカルな人間ドラマ
本作の題材となっているのは、13世紀にスイスの辺境小領主から興ったハプスブルク家。神聖ローマ皇帝を世襲し、広大な領土を支配し続け、約650年にわたり中欧の覇者として栄えたヨーロッパ屈指の名門王朝である。ドイツ・オーストリア文化史専攻でハプスブルク家に関する著書を多数持つ、明治大学名誉教授の菊池良生が監修しており、物語は概(おおむ)ね史実通りに進行していく。また、欄外の「ハプなんメモ」では歴史用語の解説、番外の「おまけ」漫画では本編の補足やうんちくなどが史実に即して記されている。一方、史実の完全再現ではなく、ギャグを交えた会話や状況説明のための図解などが本作の大きな特徴。ハプスブルク伯ルドルフがローマ王に選ばれた際の「壮大なドッキリに遭ってませんか?」という息子のセリフや、教皇選挙を「教皇ガチャ」に例えるといった現代的なアレンジで、コミカルな人間ドラマが繰り広げられる。
一族のユニークな歴代当主
1273年、スイス辺境の小領主、ハプスブルク伯ルドルフ(後のルドルフ1世)がローマ王に選ばれることから物語は始まる。神聖ローマ帝国の七人の有力諸侯は「適度に仕事ができて、自分たちに手出しができない程度に弱い」という理由でルドルフを選出した。誰も予想だにしなかったが、このローマ王ルドルフ1世の即位こそが、何百年と続くハプスブルク家の王朝の発端となる。金にも軍事力にも乏しいルドルフは、政略結婚で帝国諸侯を抱き込み、反抗的な強豪は騎士道精神に反した奇襲で排除する。なりふり構わない生存戦略で地盤を固めたハプスブルク家は、その後、圧政を敷き権勢を拡大したアルブレヒト1世、「大公」という存在しなかった爵位のため、偽の特許状と手紙を捏造(ねつぞう)したルドルフ4世などへ引き継がれていく。こうした歴代当主のユニークな人物像とエピソードをコメディタッチで描いている点が本作の大きな魅力である。
登場人物・キャラクター
ルドルフ1世 (るどるふいっせい)
ハプスブルク家初の神聖ローマ帝国ローマ王(1273年即位)。スイスの貧乏領主だったが「扱いやすい老人」と見られて、突然ローマ王に選出された。ユーモラスで人が良さそうだが、じつは野心家で老獪(ろうかい)な人物。「黄金の王」と称されるボヘミア王オタカル2世を破り、オーストリアを獲得してハプスブルク家の基盤を築く。歴史上の同名人物をモチーフにしている。
マクシミリアン1世 (まくしみりあんいっせい)
神聖ローマ帝国ローマ王(1493年即位)、神聖ローマ皇帝(1508年即位)。ハプスブルク家初の神聖ローマ皇帝、フリードリヒ3世の嫡男。1477年、ブルゴーニュ女公マリーと結婚しブルゴーニュ公に即位。これにより、ハプスブルク家はフランス王家に次ぐ大勢力となり、ヨーロッパの表舞台に立つことになった。容姿端麗で天性の武芸の才とカリスマ性を持つ。歴史上の同名人物をモチーフにしている。
クレジット
- 原作
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あずま 零
- 監修
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菊池 良生
書誌情報
ハプスブルク家の華麗なる受難 3巻 講談社〈KCデラックス〉
第1巻
(2025-12-09発行、978-4065415139)
第2巻
(2026-05-08発行、978-4065430309)
第3巻
(2026-09-09発行、978-4065445051)








