ハローワークモンスターズ

かつて、人間と魔物のあいだで大戦争が勃発したが、「勇者」の異名を持つジラークが魔王のライリーを討ち果たし、世界に平和が訪れた。現在、人々はジラークの息子のスタンに父親の再来を期待しているが、彼は偉大な父親の力はおろか、一般的な魔力すら持っておらず、その期待に応えることができずにいた。そんな中、スタンは親友で元魔王軍総司令官のハイムからの依頼を受け、従者のマイラと共に魔物と人間が共存する街へ移住することになる。スタンは魔物に対してまったく偏見がなく、平和な時代に馴染めない魔物たちのために、それぞれに適した仕事を斡旋することを思い立つ。

スタンとハイムは、それぞれの魔物の特性を見極め、吸血鬼には血液検査を、蜘蛛（くも）の魔物には仕立て屋を任せるなど、適材適所の采配を行い、ハイムが治める街に平和と活気をもたらしていた。人間の少女、マイラは、お人好しで少し天然なスタンとハイムに振り回されながらも、ドラゴンの子供になつかれたり、人狼のルフと喧嘩友達になったりと、充実した日々を送っている。そんな中、魔物に強い敵意を抱くバイエモンド王国の騎士、フレールが街を訪れる。フレールはスタンの実の弟であり、兄とは対照的に優れた資質を持っていた。魔物たちと共に暮らすスタンやマイラの身を案じたフレールは、ハイムに対して不信感を募らせる。しかし、人間と魔物が幸せそうに共存する姿を目の当たりにするうちに、次第に魔物に対する認識を改め、スタンの活動を心から応援するようになる。

スタンとマイラによる魔物への仕事紹介は順調に進んでいた。しかし、彼らの前に人間に心を閉ざした魔物のコミュニティ「冥闇帝国」の指導者、ウィルバーが現れ、「ハイム様を解放してほしい」と要求してきた。ウィルバーの話によれば、かつて魔王のライリーは動物を愛する心優しい人間だったという。しかし、心無い狩人が彼の愛する動物を殺し、それを誇示するように振る舞ったことで、ライリーの心は「弱者が強者に狩られる運命なら、最強の存在である人間をすべて排除すればいい」と憎悪に染まり、ハイムと手を組み、魔物をあやつって人間との戦争を始めた。しかし、勇者、ジラークは魔物たちの洗脳を解き、彼らが人間から報復されないように保護した上で、戦いではなく共存の道をライリーに進言する。その言葉に心を打たれたライリーは、自らの死をもって戦いを終結させることを決意した。残されたハイムと共に、人間と魔物が平和に暮らせる世界を築いてほしいという願いをジラークに託す。 ライリー、ジラーク、そしてハイムの真意を知ったスタンは、自らの無知をウィルバーとハイムに詫び、彼らが命がけで望んだ世界を実現させると固く誓う。